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    『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾

    評価:
    東野 圭吾
    角川書店(角川グループパブリッシング)
    ¥ 1,680
    (2012-03-28)
    Amazonランキング: 271位

    悩み相談お任せください――。
    時空を超えて交わされる、温かな手紙交換。
    すべての人に捧げる、心ふるわす物語。

    あの時の回答は、あなたを救いましたか?

    あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。しかしその正体は……。
    物語が完結するとき、人知を超えた真実が明らかになる。
    東野圭吾が贈る、感動と驚愕の物語。


    生まれ育った小さな町で雑貨店を営む浪矢雄治。
    その苗字から子どもたちがからかい半分に悩み相談を持ちかけたことから始まって、いつの間にやら評判となった『ナミヤ雑貨店』
    そんなこととはつゆ知らず『ナミヤ雑貨店』に忍び込んでしまった三人組。
    そこで彼らが手にしてしまったのは、時空を超えて届いた一通の手紙。
    真剣に悩みを打ち明ける女性に、彼らなりのアドバイスを送ることに。
    そして相談者は次々と現れて…。

    『回答は牛乳箱に』『夜更けにハーモニカを』『シビックで朝まで』『黙祷はビートルズで』『空の上から祈りを』の五編からなる物語。

    過去や未来が入り混じり、全てのお話が一つの場所に向かって終結していき、そしてその場所の持つ意味が明らかになったとき、ふいに涙がぽろぽろと。
    「そういうことか」と理解したとき、とても暖かい気持ちになれました。

    とてつもなく大きな愛の物語。

    いつもの東野さんのとは違うけど、こういうのもたまには良いなと思える。素直に。

    でも、ナミヤさんが最初の頃に店先に貼り出した悩みと回答はまるで「生協の白石さん」のような。
    そして迷える子犬さんは、宮部さんのお話に出てきそう(もしくは宮部さん御本人のイメージかも)
    な感じがしてしまった。なぜか。

    ああ、あれがこうなって、こう繋がっていたのか、というのがとてもきれいにまとまって、それぞれのお話の主人公たちの相談の背後にあった真実もまた、涙なくしては…という感じ。
    不器用すぎる愛の形というか…。

    もしも迷える子犬さんのように、私にもその当時こんな相談相手がいれば…かえすがえすも残念無念。

    1

    『みんな邪魔』真梨幸子

    評価:
    真梨 幸子
    幻冬舎
    ¥ 800
    (2011-12-06)
    Amazonランキング: 13861位

    少女漫画『青い瞳のジャンヌ』をこよなく愛する狎弔は賛猷餃瓠1熟辰般兪曚魍擇靴狠翡女性たちだったが、あるメンバーの失踪を機に正体を露にし始める。飛び交う嘘、姑息な罠、そして起こった惨殺事件――。辛い現実から目を背け、ヒロインを夢見る彼女たち。その熱狂が加速する時、新たな犠牲者が……。殺人鬼より怖い平凡な女たちの暴走ミステリ。

    かつて彼女たちが少女だった1970年代、少女漫画雑誌に掲載され、絶大な人気を博したという伝説的漫画『青い瞳のジャンヌ』。

    掲載が未完のまま打ち切られ数十年経った今でも、ネット上では根強いファンに支えられ、その中でも特に熱狂的な人たち、お互いを怪しいハンドルネームで呼び合うファンクラブの主要メンバー六人。

    夫のDVに悩む41歳のエミリー、バツイチ子持ち43歳のシルビア、42歳で二人目の子どもを妊娠中のジゼル、無職で独身49歳のミレーユ、会のリーダー46歳のマルグリット、会のアイドル的存在で誰からも慕われる32歳のガブリエル。

    彼女たちそれぞれの家庭問題が露呈するなかで起こった最初の殺人事件。
    犯人はすぐに逮捕されたものの、なお次々と呪いのようにメンバーたちは事件に巻き込まれ…。

    『殺人鬼フジコの衝動』の著者 最高傑作 不快すぎて痛快イヤミス
    女のえげつなさに足をとられているとラスト絶対騙される!〜帯より〜

    だそうですが、途中で「もしや…」という感じ。
    「イヤミス」とは「嫌な気分になるミステリ」のことだそうで、そんな言葉も初めて知りました。
    結構「イヤミス」読んでるのに。

    でも本当におぞましかった。
    何が怖いって、やっぱり普通の人間の中に潜むどろどろしたものが一番怖い。普段隠してるから。

    会合で見せる顔と、それぞれの家庭内の顔とは全く別人で(当たり前か)、特に2章目の「ミレーユ」こと、稲子さんの話は本当に嫌な気分満載で、こういう母親の考え方、世間一般的かもしれなくて、それがすごく怖くて、頼むから離れてくださいと懇願したくなる。
    小町の相談に良くありそうな話かも。

    同世代のお話だけど、ここまで何かにのめりこむということがなかったので、こんなどろどろした世界とは無縁で良かったかなと。

    そんな私でも子供のころから愛読していた『ガラスの仮面』と『悪魔の花嫁』はまだ続いてるし、まあもし真澄さまとマヤちゃんが結ばれなかったりしたら、ちょっと怒るかも。

    単行本では『更年期少女』のタイトルだったそうで、装丁もタイトルもそのままがインパクト大で良かったのになぁという感想。

    0

      『モンスター』百田尚樹

      評価:
      百田 尚樹
      幻冬舎
      ¥ 760
      (2012-04-12)
      Amazonランキング: 2266位

      田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった―― 。
      「美」の価値観を根底から覆す、『永遠の0』の著者、最大の問題作!

      百田さんの『永遠の0』を、読もうかなどうしようかなと本屋さんで手にとって迷っては元に戻し、を繰り返して早2年。
      とりあえずあまり考えずに読めそうなこちらから先に。

      物語は、誰もが振り返るような美貌の持ち主である主人公が、生まれ故郷に戻ってくるところから始まり、醜かった頃の彼女の壮絶な半生が語られる。

      高校生活の最後に、ある事件を起こして町を追われ、整形という手段に辿り着いた彼女が言葉通り身を粉にして稼いだお金を全て整形につぎ込み、何度も何度も手術を繰り返した末に、ようやく人並みの幸せを手に入れたかに見えたものの…。

      そして美貌によって大金を手にした彼女は、故郷でレストランをオープンし、ただ一人の客を待ち続け……。

      読んでる間中、ずっと誰かをイメージしようとしたけど、全く思い浮かばなかった(ちょっと前なら松坂慶子?)。
      ただ『嫌われ松子の一生』の主人公だけがなぜか頭をちらちらとよぎる。

      醜いからと誰にも相手にされずに幼少期を過ごし、それでも思春期は訪れ、恋もする。
      まだ物心つく前の、かすかな希望だけを胸に秘めてきた主人公が、過去をすりかえられて絶望してしまうというのもまあ分かるけど、その後の行動がちょっと理解に苦しんでしまう。
      それか、恋とはそういうものなのか。

      過去に出会った人物たちへ復讐を企んだり(出てくる男はみんなしょーもなすぎるけど)、顔はどんなに綺麗かしらんが、性格は決して褒められたものじゃなくて、整形をオープンにしながら、同じ職場でずっと働き続けられるのもすごいなと思ったし、その開き直り方もすごいなと。

      途中までは面白くて食い入るように読めたけど、最後の何ページめかでトーンダウンしてしまった。
      そんなに乙女だったのか…と、がっかりしたというか。
      もっと強い人だと思ってたのになぁという感じ。

      あまりに整形の描写がリアルなので、そんなに安くて簡単に済む手術ならと、ふと整形がしたくなってしまうような。
      ここまで綺麗だと不幸になりそうなので、ちょっとだけ。
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        『三匹のおっさん』有川浩

         還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、とかつての悪ガキ三人組が自警団を結成。
        剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械いじりの達人の頭脳派・ノリ。
        ご近所に潜む悪を三匹が斬る!
        その活躍はやがてキヨの孫・祐希やノリの愛娘・早苗にも影響を与え……。痛快活劇シリーズ始動!

        久々に時間を忘れて読みふける、ぐらい面白かった。

        内容はというと、
        60歳の誕生日に定年を迎え、時間を持て余し気味になってしまった物語の主人公の清田さん。
        還暦のお祝いの席で、息子夫婦とひと悶着。

        そんなこんなで、同じく暇を持て余す、ご近所さんの元居酒屋店主のシゲさんに声をかけられ、工場経営のノリさんも交え、自分たちの町の安全を守るため、夜な夜な見回りを始めた幼馴染の三人組。

        そして清田さんの孫である祐希のバイト先で起こる事件を皮切りに、痴漢や詐欺や動物虐待といった事件に次々と巻き込まれ……という感じ。

        定年を迎えて暇を持て余して…というのは、重松さんの『定年ゴジラ』のようなものかしらん、と思ったら、こっちの「おっさん(あえて、おっさんと呼ばれたいのだそう)」たちは、パワーが有り余ってるというか、下手な若者、中年よりも全然身体の鍛え方が違っててやたら強いし、変な武器持ってるし。

        事件の解決の仕方も、さすが、亀の甲より年の功…という感じで人生経験を積んだ大人ならでわの解決方法で、直接手を下さないのも良かったりする(でも、相手に与えるダメージは結構強烈そうで)。
        シゲさんの奥さんが出てくるお話の最後は、シゲさんに惚れ惚れしてしまったし、三人の中では比較的小柄で、体力のなさそうなノリさんのアブナイ戦いっぷりもかっこいいし。

        最初は悪態ついていた、いまどきの若者代表のような孫の祐希が、どんどん祖父を尊敬?するようになっていくのも微笑ましいし、祐希のアドバイスを素直に聞き入れてどんどんスタイリッシュになっていく清田さんが変わっていく様もまた素敵。
        理想的な祖父と孫の関係かな。

        私の中での清田さんは、もう少し若かりしころの宇津井健さんのようなイメージなんだけど。
        いかんせんきょーびの60才の方々は、若すぎて、キヨさんのイメージの俳優さんが浮かばない…。
        (なんせアルフィーの高見沢さんだって、あんなにキラキラツヤツヤなのにあと二年で還暦だというし。)

        有川さんの『図書館戦争』は残念ながら一冊で挫折したけど、この三人のおっさんたちの痛快な活躍ぶりは、続編もぜひ読んでみたい(文庫になってから)と思えたし。

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          『傍聞き』 長岡弘樹

          評価:
          長岡 弘樹
          双葉社
          ¥ 550
          (2011-09-15)

           「おすすめ文庫王国」2012本の雑誌増刊国内ミステリー部門ダントツの第1位!!
          この20年で最高の傑作!
          仕掛けと感動の珠玉短編を堪能せよ


          と帯に書いてあったので、つられて読んでみた。単純なので。名前も知らなかったけど。

          中身はというと、

          病人を搬送中の救急隊員の行動が謎、な『迷走』
          女手一つで育てた刑事の娘の行動が謎(若しくは、服役中の犯人の行動が謎)、な『傍聞き』
          火災現場での消防士の行動が謎、な『899』
          更生保護施設を退所したばかりの元受刑者の行動が謎、な『迷い箱』
          の4編からなる、普通では考えられないような、不可解な行動を取る人たちの短編集。

          どのお話も何の説明もなくいきなり主人公たちが動き始める(?)のでちょっと躊躇してしまったし、最初は読みづらいなと。
          どこの誰?というか何してる人?というか…。
          なので、最初の2ページぐらいで断念しかかったけど、何とか気を取り直して読み進め、登場人物の謎の行動の謎も最初は分からぬまま(状況がよく掴めなくて)、最後に「なるほど、そういうことだったのか」という感じ。

          その最後の納得感が、予想だにしていなかっただけに、大きいというか、謎が全て解けて、すっきりさわやか。

          表題作の『傍聞き』と『899』の伏線には、私のゆるゆるの涙腺がやられてしまったし。

          これを読み終わってすぐに、『陽だまりの偽り』も買いに行ったぐらいなので、なかなか中毒性のある作者さんかも。






           

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