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    『光』三浦しをん

    光

    三浦 しをん 2008/11/30発行 集英社 ¥1,575 P.297
    ★★★★
     不幸というなら、これのこと。
     求めたものに求められず、求めてもいないものに求められる。よくある、だけどときとして取り返しのつかない、不幸だ。

    東京都とはいうものの、全島民がわずか271名の、小さな、そして自然が残る美しい島、美浜島。

    島で生まれ、島で育ち、この島をどこよりも美しいと誇りに思う信之は、たった一人のクラスメイト、島で一番美しい幼馴染の美花と過ごす特別な夜だけを待ち侘びる、少し大人びた中学生。

    美花からの呼び出しを受け、信之がこっそり家を抜け出しみんなが寝静まった夜、島は突然の大津波に襲われ、全てが波にさらわれた中、生き延びたのは信之と美花、信之を兄のように慕い、信之の後をいつもついて回る、卑屈で卑怯な輔(たすく)、の三人の子どもたちと、ろくでなしの三人の大人たち。

    そして自衛隊による必死の救助活動が続き、避難生活を強いられた子どもたちは、死体の山となったこの島で、重大な罪を犯してしまった。

    それから20年の歳月が過ぎ、慎ましく堅実に、平凡な家庭を築き上げていたはずの信之の前に、突如輔が現れたことから、一つの罪を覆い隠すための、さらなる罪に手を染めることに…。

    「暴力はやってくるのではない。
    帰ってくるのだ。
    理不尽をかいくぐり生きのびた魂に、安息は訪れるのか。
    渾身の最新長篇。」だ、そうで。


    これはまた、なんとも救いのない暗い暗いお話で(こういうのかなり好きだけど)…。

    全て分かっていながら、罪を正当化しようとする醒めきった信之も、性を売り物にして這い上がろうとする美花も、父親の虐待から逃れられない卑屈な輔も、輔の父親も、信之の妻も…登場人物の誰一人として救いようがなくて「光」はどこにも全くなくて、みんながみんな「影」のよう(美花が信之の光だったとはとても思えないし)。

    これほど暗い暗い話だし、津波の後の島の様子も淡々と描かれている分、かえって怖ろしいし、かなり共感できる言葉もたくさんあったのに…なのに、それほどのパンチがないというか(装丁はインパクトあったけど)、今ひとつの「重み」が感じられないのは何でかなと不思議に思えてしまった。

    東野さんの『白夜行』や、重松さんの『疾走』や、宮部さんの『模倣犯』や、吉田さんの『悪人』ような、理不尽に対するどうしようもないやり切れなさというか、怒りというか、苦しみというか、そういうのがあまり伝わってこなかったような…(汚いものが、汚く見えないような感じがするのは、文章が綺麗すぎるのかも)。

    とは言え、求めたものには求められず、求めてもいないものに求められるという不幸、という一節は、かなり心につきささってしまったし(前者の立場でかな)、刑罰が人を救わない、という一文も、かなり強く心に響くものがあったかなと。

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