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    『平等ゲーム』桂望実

    平等ゲーム
    平等ゲーム
    桂 望実 2008/8/25発行 幻冬舎 P.346 ¥1,575
    ★★★★★
    「平等だと幸せなんでしょうか?」
     息を呑み、僕は途端に不安になった。
     わからない。
     平等であることが幸福の条件だと思っていた。だが……。

    住むところも食べ物も、仕事さえも与えられ、島民全員が何不自由ない暮らしができるユートピア、瀬戸内海に浮かぶ「鷹の島」。

    人口1600人の小さな島では、代表者は存在せず、どんな小さな決まりごとでも、何もかもが島民の投票による多数決で決定され、そこに住む人たちはみんな、本土の人間から「いい人」と呼ばれ、争いも妬みも、もちろん格差もなく、誰もが平等。

    そんな楽園のような「鷹の島」から、「勧誘係」の仕事で本土に渡ったのは、生まれてから34年間、ずっとこの島で暮らし、この小さな島を誰よりも誇りに思う、芦田耕太郎。

    島民の補充のため、抽選で選ばれた本土に住む「対象者」に島の素晴らしさを懸命に伝えようとする耕太郎。

    ところが、一度は「鷹の島」での暮らしを希望していた「対象者」たちの中には、島での暮らしを拒む者も…。

    そんな対象者たちの島での暮らしを望まないという気持ちが理解できない耕太郎が、「対象者」に近づくために習い始めた「華道」をきっかけとした様々な人達との出会いから、「達成感」や「敗北感」、そして「悪意」といった、島ではおよそ知ることのなかった感情を知ることに。

    そうして島に戻った耕太郎は、不正のないはずの島「鷹の島」の真実の姿を目の当たりにし……。

    『瀬戸内海に浮かぶ「鷹の島」。そこでは1600人が、全員平等。果たしてそこは楽園か、それとも……?現代社会に蔓延する「平等幻想」をテーマに描く傑作エンターテインメント長編。』だ、そうで。


    実際にこんな島があって、住みたいかと聞かれれば、私もあんまり魅力を感じないかも(もう少し歳取ってからなら、多分住みたいと思うかもだけど)。

    ここに出てくる女性のように、特に誰かと比べて、より良い暮らしというのを望んでるわけではないし、ごくごく普通でいいと思っているけど、その普通がなかなか難しいのも現実かな…、でもやっぱり運動会でみんなでお手つないでゴール、みたいな社会は面白くないなと思えてしまうし。

    「格差」があまりにもありすぎるのは嫌だけど、「平等」もどうなんだろう…と、ものすごく考えさせられてしまったかも。

    いい歳の大人のはずの耕太郎が、本土の人たちとの出会いによって、どんどん成長していく過程は興味深いし、人間の成長に「挫折」が必要というのも、ものすごく納得。

    その人のエピソードを知って、似顔絵が変わるというのも、興味深いお話で。

    今回一番魅力的なキャラの、船員の柴田さんの「だいたい、その守らなくてはいけないルールって本当に完璧なんでしょうか? 最善で最高のものなんでしょうか?」という台詞も、すごく良くわかるし、融通の利かない「正しい」とはいったい何ぞや?というか…。

    不正を許そうとしなかった耕太郎もだけど、過ちばっかり繰り返している私みたいな人間も、きっとユートピアには住めないのだろうなと、つくづく。

    JUGEMテーマ:読書

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      『告白』湊かなえ

      告白
      告白
      湊 かなえ 2008/8/10 双葉社 P.268 ¥1,470
      ★★★★
      私は聖職者になりたいなどと思っていません。
      警察に真相を話さなかったのは、AとBの処罰を法に委ねたくなかったからです。殺意はあったけれど直接手を下したわけではないA。殺意はなかったけれど直接手を下すことになったB。警察につきだしたとしても、二人とも施設に入るどころか、保護観察処分、事実上の無罪放免になりかねません。………私は二人に、命の重さ、大切さを知ってほしい。それを知った上で、自分の犯した罪の重さを知り、それを背負って生きてほしい。では、どうすればいいのか。

      ある中学校での終業式の後のHRで、クラスの生徒に幼い愛娘の命を奪われた女教師が、淡々と語り出した事件の真相。

      当初、事故で片付けられてしまった職場内での母親の監督不行き届きによる娘の死が、実は悪意ある生徒の手によるものであったことを知り、事実関係を確認した上で教師が自らの手で、犯人である生徒に下したおぞましい制裁。

      そして教師が去った後、残されたクラスの生徒達の間で起こる二重、三重の悲劇――。
      「先生は、少年二人を自分が直接裁いたことを、今どう思っていますか?」

      『「愛美は事故で死んだのではありません。
      このクラスの生徒に殺されたのです」
      第29回 小説推理新人賞受賞
      選考委員をうならせた、驚異の大型新人現る!』だ、そうで。


      評判が良いのはあちこちのブログをのぞかせてもらって知ってたけど、これは本当になかなか…おぞましくて、ぞくぞくするようなお話で(これが作り事で良かった、というか)。

      本当にこの先生は生徒に対して、こんな怖ろしいことをしてしまった(これは半端なく怖い…)のか???も、気にはなったけど、それ以上に、罪を犯した生徒たちをばっさりと切り捨てるような一刀両断口調が結構小気味良くて、子供におもねないところが、読んでいて、すっきりしてしまうような(「馬鹿ですか?」には、かなり…)。

      少年犯罪の罰の軽さに対する作者の(?)静かな怒りみたいなのが、沸々と感じられて、その辺も読み応えがあったかも。

      教師の告白から始まり、関係者、当事者それぞれの視点に切り替わって語られる事件の真実と、その後の彼らや、彼らの生活環境、その他もろもろ…そして全てが明かされた後の衝撃の結末?も、なかなかなもので。

      少年二人の関係も、子供ならありそうな関係で、動機そのものも子供なら…と思えるし、でも子供だから…で許されることは決してないというのが、この教師の復讐の方法の是非は抜きにして、考えさせられるお話だったかな。

      本当にまた次回作を期待してしまうような作家さんが出てきてくれて嬉しいなと。

      ただ、「世直しやんちゃ先生」のネーミングには、「うーん?」という感じがしないでも…。

      JUGEMテーマ:読書


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