スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『東京島』桐野夏生

    東京島
    東京島
    桐野 夏生 2008/5/25発行 新潮社 P.281 ¥1,470
    ★★★★
    「ああ、疲れた。あんたたち男って何を考えているのかしら。あたしが邪魔なの、それとも必要なの」

    リストラに遭う前にさっさと会社を辞めて得た退職金を投入し、クルーザーに狂った夫とのクルーザーでの世界一周の冒険旅行の途中、嵐に遭った夫妻が辿り着いたのは、どこの国の領域かも分からない無人島。

    日本の生活では威張り散らしていたものの無人島では無能な夫隆と、サバイバル本能に目覚めた妻、清子が救助を待ちながら暮らし始めた無人島に、三ヶ月後に漂着したのは、おいしいバイトに飛びついたものの、あまりの仕事のきつさに逃げ出した日本のフリーター、若い男ばかりの23名。

    さらに、金銭トラブルでこの島に捨てられた中国人の男たち7名。

    日本の若者達が、食物には困ることのないこの無人島を「トウキョウ」と呼び、それぞれ好き勝手にバラバラに暮らし始めるのとは対照的に、7人で結束し、役割分担を決め、ずば抜けた生活力を見せ付ける日本人たちから「ホンコン」と名付けられた中国人たち。

    無人島での生活が一年を過ぎた頃、清子の夫隆が死んでしまったことから、島でただ一人の女性である40歳を過ぎた清子を巡って、男達はいろめきたつことに。

    そして、この島での暮らしも5年目を迎える頃、清子は4度目の結婚をし、若くて美しい夫との生活に満足していたものの、「ホンコン」たちにそそのかされるままにこの島からの脱出をはかるも失敗に終わり、妊娠に気付いたものの、一度は清子が捨てた夫からも見捨てられてしまい……。

    「あたしは必ず脱出してみせる。
    無人島に漂着した31人の男と1人の女。
    食欲と性欲と感情を剥き出しに、生にすがりつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読者の手を止めさせない傑作長篇誕生!」だ、そうで。


    「無人島生活」と言えば、すぐさま「電波少年」を思い出して、懐かしくて(大好きだったので)珍しく即買いして、一気読みしてしまった。
    島でたった一人の女性であるが故に、46歳の清子が若い男たちからモテモテって…なんとも羨ましくなるお話で。

    これは何だかめちゃくちゃ馬鹿馬鹿しくて面白いかも。
    日本人の若者たちが生活能力よりも、文化を優先させるというのも、「ホンコン」たちが保存食を作ったり、船を作ったり、着々と島からの脱出準備を図るというのも、何だかリアリティがあるようでいて、でもやっぱり描写が軽妙(「横山やすし」が何故か何度も出てくるし…)というか、桐野さんらしくないというか、それぞれのキャラが滑稽すぎて漫画みたいな。

    ちくちくと現代社会を風刺してる部分も多々あって、そこもなかなか。
    自分の姿を見ることの出来ない鏡のない無人島が「自分のことを棚に上げ、他人を見ては笑ったり憐れんだりする、厚顔無恥な場所」というのも、鏡で自分の姿が見えたところで、本質的には現代社会もそんな感じだし。

    「紙」がそれほど大事というのには、すごく考えさせられるし、それぞれ好き勝手に生活する若者達も、なかなか適応能力があって面白いし、清子の逞しさとしたたかさは、女性ならでわだし。

    「愛」が全くなくて、みんな自分のことだけが大事で、でも、どろどろもしてなくて、ただ「生きる」ってこういうことかなと。

    そして最後は、まあこうなんだろうなと…めでたし、めでたし、という感じかな。
    女は強し。

    JUGEMテーマ:読書

    0

      『回転木馬』柴田よしき

      回転木馬
      回転木馬
      柴田 よしき 2007/3/20発行 祥伝社 P.369 ¥1,785
      ★★★★
      自分と貴之とは、並んだ木馬に乗っていた。そのまま何事もなければ、回転が停まるその時まで、木馬は二つ、並んだまま、そして二人も、並んだままでいられただろう。だが途中で、貴之は、別の木馬に跨った。回転は続く。終わりの日が来るまで続く。そして、回転木馬の上で、それぞれの木馬は決して変わることがない。……
      そして、回転が終わるその日まで、自分の手は、貴之の心に届かないのだろう。
      貴之が、それを望んだのだ。

      最愛の夫、貴之の突然の失踪後、貴之の興した探偵事務所を引き継ぎ、ずぶの素人から始め、ほそぼそと夫の居場所を守り続けてきた女探偵、下澤唯。

      夫の帰りを待ち続けるだけの12年…大手探偵事務所の下請けとして引き受けた調査の途中、思いもかけない場所で偶然貴之らしき人物とすれ違った唯は、大手探偵事務所に夫の捜索を依頼し、自身も細い糸のような手がかりを手繰り寄せるように夫の捜索を開始することに。

      生きていたなら、自分を裏切っていないはずがない…それでも、逢いたいという一心の唯。
      そんな唯の前に現れた「ゆい」と名付けられた少女、そしてかつて二人が寄り添っていた頃の思い出の数々。

      それらを手がかりに、夫貴之の居場所を突き止めた時、12年もの間、たった一人で貴之を待ち続けた唯につきつけられた、あまりにも残酷な現実……。

      『「逢いたい。もう一度彼に逢いたい」
      失踪した夫を追い続ける女探偵・下澤唯の前に、
      忌まわしい過去の事件が浮かび上がる……
      希望と哀しみが交錯する著者渾身の感動ミステリー
      作家 新井素子さんも推薦!』だ、そうで。


      実に12年も経ってようやく完結した、前作『観覧車』の続編の物語でもあり、これだけでも充分に読み応えのある、哀しい人間たちの物語でもあり。

      唯が僅かな手がかりとして訪れた病院で出会った、愛人を失くした女性然り、自殺未遂を繰り返す、理不尽な事件で大切な人たちを失った女性然り、そして夫、貴之然り、本当に哀しいし、切なくて泣けてしまった。

      特に「逢いたい」と切望し続ける人にもう二度と逢えなくて、最後に別の生き方を選択する女性の気持ちが痛いほど伝わってきて、まだ最愛の人に逢える望みのある唯にその思いを託すところがなんとも良かったなと。
      でも、待つ女って本当に辛いなとつくづく。

      敵討ちを心に誓う女性のエピソードも良かったし。

      ただ、夫の失踪の真相は何だか「はいからさんが通る」のような展開かも…。
      でも、読み終わった後、心から「良かった」と思えてしまった。

      JUGEMテーマ:読書


      0

        1

        calendar

        S M T W T F S
            123
        45678910
        11121314151617
        18192021222324
        25262728293031
        << May 2008 >>

        読書メーター

        uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

        新刊チェック

        selected entries

        categories

        archives

        recent comment

        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          uririn
        • 『痺れる』沼田まほかる
          uririn
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          uririn
        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          いちれん
        • 『痺れる』沼田まほかる
          くり
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          智広
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          uririn
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          苗坊
        • 『永遠の0』百田尚樹
          uririn
        • 『永遠の0』百田尚樹
          苗坊

        recent trackback

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        悪人
        悪人 (JUGEMレビュー »)
        吉田 修一
        読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

        recommend

        しずく
        しずく (JUGEMレビュー »)
        西 加奈子
        サイン本買っちゃった。

        recommend

        recommend

        たぶん最後の御挨拶
        たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
        東野 圭吾
        猫なんです…。

        recommend

        recommend

        recommend

        ねこの肉球 完全版
        ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
        荒川 千尋,板東 寛司
        たまらん。

        recommend

        ニャ夢ウェイ
        ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
        松尾 スズキ, 河井 克夫
        たまらん…

        recommend

        recommend

        僕たちの戦争
        僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
        荻原 浩
        とにかくお薦め。

        recommend

        出口のない海
        出口のない海 (JUGEMレビュー »)
        横山 秀夫
        たくさんの人に読んでほしい…

        links

        profile

        search this site.

        others

        mobile

        qrcode

        powered

        みんなのブログポータル JUGEM

        使用素材のHP

        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

        PR