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    『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

    ゴールデンスランバー
    ゴールデンスランバー
    伊坂 幸太郎 2007/11/30発行 新潮社 P.503 ¥1,680
    ★★★★★
    「思えば俺たちってさ、ぼうっとしている間に、法律を作られて、税金だとか医療の制度を変えられて、そのうちどこかと戦争よ、って流れになっていても反抗ができないようになっているじゃないですか。何か、そういう仕組みなんだよ。俺みたいな奴がぼうっとしている間にさ、勝手にいろいろ進んでるんだ。前に読んだ本に載っていたけど、国家ってさ、国民の生活を守るための機関じゃないんだって。言われてみれば、そうだよね。」

    テレビ中継も行われる地元での凱旋パレードの最中、公衆の面前で暗殺されたのは、「理想を叶えるために政治家になった」若き野党の党首、そして半年前、野党から初めて首相に選ばれたばかりの金田。

    ほどなく、数々寄せられる目撃情報から容疑者として浮かび上がったのは、二年前、ある事件のヒーローとして一躍時の人となった元宅配ドライバーの優男、青柳。

    警察官のいきなりの発砲に身の危険を感じ、身に覚えのないまま「森の声」に従い、ただ逃げ続けるしか生きる道の残されていないことを悟った青柳は、最新の監視システムが整備された仙台の街を駆け抜ける。

    携帯も自由に使えず、友人を頼ることもままならず、逃げ場をなくした青柳は、二日間の逃亡の末、ある場所に姿を現すと公言し……。

    「伊坂的娯楽小説突抜頂点
    首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?
    2年ぶり 1000枚 直球勝負の書き下ろし大作」だ、そうで。


    どこかのブログで『砂漠』と『魔王』を足したような作品と書かれていたけど、なるほどうまいこと言うなぁと…まさにそんな感じ。
    あと、これまでの色んな作品の良いとこどりというか、集大成というか…。

    こんな風に犯人をでっちあげることって、実は意外とあったりするんだろうなぁ…と思えるし、テレビで流される情報の不確かさや、それらの情報のみで人のイメージや印象が簡単に変えられることの怖さも良く分かるかなと。

    国家とか権力を敵に回したら、逃げるしかないというのも…。

    青柳の逃亡劇は、映画『逃亡者』のようでもあり(ある部分で、私は楳図かずおの漫画『漂流教室』で未来の息子の危機の為にメスか何かを埋めたお母さんを思い出してしまった)。

    ただやっぱりそこは伊坂さんらしくて、青柳は飄々としているし、殺されそうな危険な目に遭っているのに、何故かわくわくしてしまうというか。

    学生時代の友人たちや、仕事仲間、そして親子の信頼関係がものすごく良くて、実際私なら、こんな風に信じること出来るのかなと考えさせられるし、信じてもらえるのかなとも…岩崎の「どうせ、おまえじゃないんだろ」も、樋口の「だと思った」も、父親の「ちゃっちゃと逃げろ」も、とにかく人間の関係性がすごくいいなぁと。

    なかでも「痴漢は死ね」は、素晴らしいのひと言に尽きるかな。

    最後の最後まで「たいへん良く出来た」お話で。

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      『風に顔をあげて』平安寿子

      風に顔をあげて
      風に顔をあげて
      平 安寿子 2007/12/15発行 角川書店 P.239 ¥1,470
      ★★★★★
       誰かに何かをしてあげたいという思いは、エネルギーだ。その反対に、何かしてもらいたいという渇望は、何も生まない。
       自分を救うのは、この「何かしてあげたい」という思いかもしれない。
      自称プロのフリーター、25歳で独身で、定職についていないことを負い目に感じながらも、夢や希望を持つことより、一人で「生活」をしていくことで精一杯の風実。

      女を作って出て行った父親の愚痴ばかり言う母親につきあいきれず、高校卒業後すぐに一人暮らしを始めたものの、どのアルバイトも長続きせず転々とし、自称ボクサーの彼氏らしき男の存在はあるものの、どうやら自分が相手からはそれ程には求められていないことに薄々勘付きながらの、まるで追っかけのような関係では満たされるはずもなく…。

      そんな不安と不満を抱える風実のアパートに突然転がり込んで来たのは、母親から押し付けられそうな進路を受け容れられず、ゲイであることをカミングアウトし、家を飛び出してきた高校生の弟、幹。

      ゲイバーで働きたいと言い出した幹の将来を案じながらも、風実自身のことさえも全く先が見えなくて……。

      「25歳フリーターは自由?それともヤバイ?
      元気が取り柄の風実が密かに抱える、弟のゲイカミングアウトより、自称ボクサーの彼との恋より、心配なことは?05年度本の雑誌が選ぶ文庫ベストテン1位獲得の『グッドラックららばい』以来初の書き下ろし長編!
      これでいいのだろうかと今の仕事と先行きに不安を感じている人へ、家族関係で悩んでいる人へ、恋もままならずに淋しいと感じている人へ、すべての人に贈る物語だ。〜北上次郎氏」だ、そうで。


      25歳の頃といえば、結婚なんて全く頭になくてただただ夢ばかりあったような…。母親からは極楽とんぼと呼ばれ、仕事も恋愛もめいっぱいで友達と旅行三昧の、人生で一番楽しい日々だったなぁとしみじみ(多分バブルの名残だったのかも)、それゆえ今こうなってしまっているのかもだけど…。

      なので、25歳でこんな風に将来を案じる風実はしっかりしてるのねと感心してしまうし、弟の幹君はもっとしっかりしてそうだし、なかなか世渡り上手そうなので何の心配もいらなさそうな(ちゃんと導いてくれそうな心強いゲイの大人も身近にいることだし)…。

      風実の飲み友達の小池さんや、バイト先の尊敬できる先輩三益さんの存在や、色んな人に支えられて、風実は冒頭の引用部分のことに気づくけど、これって本当にその通りだなと思えるし、自分自身にも常に言い聞かせないといけないなと思えてしまった。

      タイトルの『風に顔をあげて』も、寒さ厳しい今だからこそ、何かに立ち向かっていくようでなかなか良いかなと、読んだ後、「私も頑張ろう!」と思わせてくれるようなお話だったかな。

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        『ブラック・ジャック・キッド』久保寺健彦

        ブラック・ジャック・キッド
        ブラック・ジャック・キッド
        久保寺 健彦 2007/11/20発行 新潮社 P.228 ¥1,365
        ★★★★★
        ふと、ページの合間から、引きずるようなロングコートを着て走り回る、自分の姿が浮かび上がる気がした。あの頃のおれは娘とは違い、字を読んで台詞を追える年齢になっていた。暗記するまで読み込み、なんでも分かっているつもりだった。世の中のことも、人の気持ちも。理不尽としか思えないできごとが、時には起きてしまうことまで。
         もちろん、おれはまだ子供で、分かったつもりだった事柄を、一つ一つ学び直さなきゃならなかった。それには長い時間がかかったけれど、どれだけ大人になれたのか、本当はいまだに心もとない。

        毎週雑誌で読み、単行本も全て揃え、全エピソードを暗記するまで読み直すほど、マンガ『ブラック・ジャック』に傾倒し、ブラック・ジャックそのものになりたいと本気で考えていた小学生3年生の「アッチョン(このあだ名は、もちろんあそこから)」こと織田和也。

        服装も、髪型も、ブラック・ジャックにできるだけ近づくように似せ、誕生日に買ってもらったオペの道具で「オペ」の真似事をして仲間と遊んでいた、のどかな小学生時代。

        ところが突然母親がいなくなってしまい、借金をこしらえた父親とやむなく引っ越し、転校した先でつけられた和也のあだ名は「死神」。

        転校先のクラスに馴染むことができず、いじめの標的とされてしまう和也。
        唯一のよりどころだった以前の友人たちとも疎遠になってしまい、独りぼっちで居場所をなくしてしまった和也の目の前に、突然不思議な少女が現れ……。

        「雪降る聖夜、奇蹟が起きる! 三冠制覇、青春小説の超新星!
        ブラック・ジャックになりたいおれと、『ガラスの仮面』を教えてくれた内気な宮内君。そして、眼鏡を外すと超綺麗な泉さん。イブの晩、駅の向こう側の見知らぬ街に姿を消した泉さんの弟・健太を捜して、三人の大冒険が始まった――。ドラマ原作大賞選考委員特別賞、パピルス新人賞同時受賞に輝く、驚異の超大型新人登場!」だ、そうで。


        私も単行本でも文庫本でも揃えるぐらい『ブラック・ジャック』には思い入れがあるので、ここに出てくる色んなエピソードはかなり懐かしくて、和也の気持ちも良く分かるかも…(なりたいとは思わなかったけど、現実にこんなお医者さんがいたらいいなとは思ってたかな)。

        同級生の女の子とのお医者さんごっこのシーンはちょっとひいてしまったけど、小学生時代の独特の空気感は「なんかこんなだったなぁ」と、これまた懐かしくて(当時は学級崩壊なんてなかったような…)、転校した後の元のクラスメイトたちとの関係はちょっと酷だけと、実際そんなもんだった気もするし…。

        とにかく大好きだったマンガがどんどん出てくるのが面白くて最高(そして『ガラスの仮面』好きの宮内君最高!)。

        母親の言う「ブラック・ジャックにはピノコがいたからがんばれた」というのも、私も今なら分かる気がするし、ブラック・ジャックは独りぼっちではなかったと…。

        久保寺さんの『みなさん、さようなら』が読みたくて、これよりも先に図書館で予約してたけど、なかなか回ってこない…とにかく短期間に色んな賞を受賞されているみたいなので、これからも楽しみな作家さんがまた一人増えたかなという感じ。

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          『先生と僕』坂木司

          先生と僕
          先生と僕
          坂木 司 2007/12/25発行 双葉社 P.239 ¥1,470
          ★★★★
          「本の中では、犯罪にも理由やロマンがある。正義を守る人もいれば、スケールの大きな悪をもくろむ犯人もいる。なのに現実は、お金お金お金。そればっかり。殺人にも理由がなくて、被害者だって殺され損だと思わない?どうせ殺されるなら、ものすごい愛や憎しみをぶつけられた方が、生きてるって感じがするよね」

          大学に入って初めてできた友達に誘われるままに「推理小説研究会」に入部する破目に陥った、想像力が逞し過ぎるが故に、人が殺される小説は怖くて読めない、伊藤二葉。
          押しにはとことん弱い、受け身の18歳。

          一人暮らしを始めた東京で、「怪しい人物に声をかけられたら目を見ずにダッシュで逃げること」という田舎のばあちゃんの言いつけを忠実に守ろうとする、流されるままに生きる気弱で「イケてない」大学生。

          そんな小心者の二葉がスカウトされ、顔はジャニ系、頭脳明晰の中学生、瀬川隼人のかなり「オイシイ」家庭教師を引き受けることになったものの、推理小説マニアの隼人は身近で起こる「小さな事件」に首を突っ込みたがり、二葉の唯一の特技を生かして二人で次々と謎を解いていくことに……。

          二人が入った本屋さんで、女子高生たちの万引きを未然に防いだ隼人。
          そんな正義感溢れる(というわけでもないけど)隼人の目に留まったのは、若い女性をターゲットに絞った雑誌の特定のページに貼られた電話番号が書かれた付箋。
          訝しがる隼人が付箋の番号に電話をかけてみると…『先生と僕』

          他、カラオケBOXで忽然と姿を消した二人の女子高生の謎…『消えた歌声』

          友達からもらったタダ券で、区民プールに遊びに来た二人が気になったのは、区の職員らしき男の謎の行動…『逃げ水のいるプール』

          隼人から、あらゆる「詐欺」の手口を叩き込まれ、キャッチには人一倍敏感になっていた人の好い二葉が声を掛けられて思わず入ってしまった店は…『額縁の裏』

          最近飼い始めたハムスターのためにヒーターをネットで探していた隼人が目に留めたのは、掲示板での怪しい取り引き…『見えない盗品』の5編から成る連作短編ミステリ。

          「都会の猫は、推理好き。
          そして田舎のネズミは……?
          あなたのまわりのちょっとした事件。先生と僕が解決します。(ホントに!?)
          大学生になった少し怖がり屋の僕は、ひょんなことからミステリー研究会に入る。同時に家庭教師のアルバイトを始めるが、その教え子は大のミステリー好きだった。身の回りで起きるちょっとした事件を二人で解決していくライトミステリー。」だ、そうで。


          遅まきながら、新年明けましておめでとうございます。
          本年も宜しくお願いいたしますm(_ _)m

          珍しく「食べ物」が焼き芋とクリームパンぐらいしか出てこずに、代わりに(多分)有名どころのミステリ本がてんこもり出てくる(読んだことないのばかりだけど)。

          ジャニ系中学生、「イケてる」ことを充分自覚してる都会っ子の隼人と、田舎から出てきたばかりの「イケてない」大学生二葉の男二人のコンビは、「ひきこもり探偵シリーズ」や「切れない糸」のようでもあり(この二人の関係は中学生と大学生なだけに、全く怪しくはないけど)、やっぱり坂木さんのは男の人(子)が主人公の方が俄然面白いなと。

          「犯罪はエレガントであるべきだ」という持論から、「馬鹿な犯罪」を見るのが嫌だという理由で、様々な「謎」に首を突っ込みたがる隼人の世渡り上手な処世術はなかなか(特に年上の女性に対しての?)で、こんな中学生に見つめられたら私も「ぽっ」となってしまいそうな。

          隼人の世間を分かりきった「天使と悪魔」的な二面性もなかなかよろしくて、それとは対照的に人を信じるお人好しの二葉とのコンビ(人が殺されるミステリが苦手なのは、もしかして坂木さん自身もそうだったりするのかな)は、続編もありかなと。

          二人が入ったマンガ喫茶で、二葉が隼人に薦めてた「人情野球マンガ」というのがものすごく気になるんだけど…「ドカベン」か「野球狂の詩」あたりかな(これは古すぎ)?

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