スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『最後の命』中村文則


    2007/6/11発行 講談社 P.207
    ★★★★
     人間が野人のように猿と大差なかった時代、人間は人間を殺したのだろうか。それとも、そうなっていったのは、脳の進化、理性や知性によるものなのだろうか。となれば、進化とは、理性とはなんだろうか。私の考えは乱れた。
     汚い命であっても、それが命であるというただそれだけで自分を悩ませるあの存在に、私は怒りを覚えた。私は自分の行動に、判断を下すのを保留せざるをえなかった。

    17年前、小学生だった「私」と、当時の親友だった冴木が、秘密基地と名付けた工場跡の遊び場近くで、偶然目撃してしまった卑劣な犯罪行為。

    その場から逃げ出してしまった罪の意識からと、恐怖に竦み、通報が遅れたばっかりに、後日遺体となって発見された被害者の女性の叫び声が、視線が忘れられず、その出来事の一部始終が心の中心に置かれたまま数年が過ぎ、別々の高校に進み、疎遠になっていた二人の前に再び現れた、汚らしい犯罪者。

    その時二人がとった行動に苦悩し続け、「死」を間近に据えながらしか「生」を感じることが出来ないと、大人になった今も、線路沿いのアパートに閉じ篭り、無為な日々を過ごしていた「私」。

    そして最後に会ってから7年の歳月を経て、突然「会いたい」と電話を寄越してきた「秘密を共有する唯一無二の存在」である冴木との再会により、「私」は再び深い闇の中へと引きずり込まれてしまうことに……。

    「ある日、帰宅するとベッドの上で女が死んでいた―。欲望の生みだす罪。人は、人を許し、理解することができるのか?深遠なテーマと向きあい、人の心の根源に迫る!芥川賞受賞後はじめての長篇小説。」だ、そうで。


    著者のHPでの本作の紹介文に「……犯罪者的な傾向を持ちながらも、我慢して我慢し続けているような人間、そのような悲しい存在についての小説です。」とあるように、ここに出てくる男のメールでの告白には、嫌悪感を抱きつつも、その心の葛藤には同情してしまえるような側面もあって、なかなか深く考えさせられてしまった(かといって、そういう行為自体は絶対許せることではないんだけど…)。

    まだ性の知識もおぼつかないままに、そういう犯罪行為に一部加担させられた少年二人のその後が、表面的には「善」と「悪」のように全く反対の方向に進んだかのようでいても、根っこのところは同じだったのかもしれないなと(そこら辺は、少々私には難解すぎて読みきれなかったかな)。

    昨今の性犯罪のニュースなんかを見ていて、例えば地位も名誉もあるいい歳をした大人の男が、何で何もかも失うと分かっていながらその衝動を抑えることができないのかと不思議でしょうがなかったけど、その人達の心の中でもこういう苦悩や葛藤があったりするのかなと(全くなかったとしたら、その方が嫌だし)。

    「自分の性が、犯罪でなくては、絶対に満たされない奴がいる。そういう人間が生きていくには……」という男の独白に共感できる男の人は結構いそうで、それはそれで本当に悲しい話かもしれないなと…。

    これを読んで、ドストエフスキーの『罪と罰』も読んでみようかなと(原作は長そうなので、手塚さんの漫画の方で)。
    そういうお話。
    0

      『なぎさの媚薬〈2〉哲也の青春|圭の青春』重松清

      なぎさの媚薬〈2〉哲也の青春・圭の青春
      なぎさの媚薬〈2〉哲也の青春・圭の青春
      重松 清 2005/7/20発行 小学館 P.315 ¥1,575
      ★★★★
      「あなたの人生は変わりません。あなたはいまの奥さんと結婚して、いまの会社で働いて……いまと同じ人生です。やり直しができるとすれば、あなたが愛した女の人の人生だけ、なんです」
       なぎさは立ち上がって、「それでもいいですか?」と訊いた。
       哲也は目を伏せる。長い沈黙のあと、「かまわない」とうなずいた。真理子が――かつて愛した女性が、あんな哀れな死に方をせずにすむのなら、それだけで、いい。
      〜『哲也の青春』より〜

      メジャーデビューの夢を諦め、バンドに見切りをつけ、一人、大学卒業とともに一流商社に就職したことで仲間から裏切り者扱いされてしまった、24歳の頃の哲也。

      バンドを脱退した本当の理由を隠したまま20年近い時が過ぎ、普通の結婚をして家庭を持ち、41歳になった哲也の耳に飛び込んできたのは、かつてのバンドのボーカリスト、紅一点の真理子の訃報。

      同じバンド仲間のメンバーの一人と、東京から離れ今は北海道で暮らしていたはずの真理子の、突然の死を受け容れることができないまま、夜の街をさまよい、ボロボロになった哲也の前に現われたのは、伝説の娼婦「なぎさ」。

      「なぎさ」と寝れば、過去に戻って不幸な女の未来を変えることが出来ると知った哲也は、不幸な死を遂げた真理子のために「なぎさ」の力を借りることに…『哲也の青春』

      子供ができないことを理由に実家に帰され、悲惨な最期を遂げた義姉のために、兄、秀夫の二度目の結婚式の祝宴を滅茶苦茶に壊し、ふるさとを捨て「家」を捨てた、地元の名家・斉藤家の次男坊、18歳の頃の圭。

      「齊藤家」の大事な一人娘の結婚式に出席するようにとの兄、秀夫の言葉に従い、二度と戻らないと心に決めていた故郷に恋人を伴い、23年ぶりに足を向けることにしたのは、結婚できない事情を彼女に知ってもらうため。

      そして無事に結婚式を終えて間もなく、圭が決して義姉さんとは呼ばなかった斉藤家の二度目の嫁、智子の突然の訃報に再び兄に呼び戻された圭は、その死の真相を知り、あまりにも不幸な現実に翻弄され、「斉藤家」のために死ななければならなかった二人の女性を救うため、過去に戻って義姉とのあの一夜をやり直そうとするのだが…『圭の青春』

      「今度こそ、あなたを救い出してみせる。過去に戻れることができるなら。もう一度すべてをやりなおすことができるなら。ぼくは、あの夜のあなたを、抱きたい。不思議な娼婦・なぎさが男たちに見せる、一夜の夢―。待望のシリーズ第2巻。」だ、そうで。


      今作には異常な性描写の必要性を感じた分、前作ほどエロいとは思えなかった(というか、なぎさとのその部分が減ったのかな?それとも、もう慣れてしまったのか…)。

      『哲也の青春』の方は、まあ蛇の生殺しみたいな話だなと思ったぐらいだったけど、『圭の青春』の方は、結構サスペンスタッチで、すごく面白かったし、重松さんらしいなというお話。

      全てにおいて優秀だった兄の、ただそれだけが思うようにならないもどかしさというか、そういう苦悩を、こういった異常な形でしか女にぶつけられないというのは良く分かるような気がするし。

      子どもさえ出来れば…という切実な思いの末に義姉の選んだことも、こういう家に嫁いでしまったのならそんなことしても致し方ないかなと。
      歪んだ愛し方しか出来なかった兄、秀夫への義姉の愛も証明されるし、ラストもこれはなかなか良くて。

      なぎさは、男が愛した女性を救うことはできても、男の人生は変えられないと言うけれど、ほんの少しの勇気がなくて、過去には出来なかったことができたことで、愛した女性を救えたことで、男性自身の「これから」にも大きな変化が訪れるわけで…。

      「どんなに悔やんでも過去には戻ることができないのが、人間というものだから……」というなぎさの台詞に、だから、後から悔やまないように、「勇気がない」などと言わずに、その時に思ったように、言ったり、やったりしといて欲しいもんだなとつくづく思えてしまう(女の人って多分あんまり後悔しないような気がするので、特に男の人には)。

      まあ、たとえ現実には、絶対に過去に戻れないとわかっていても、ここに出てくる「なぎさ」の助けを借りたいと思うような男の人はいっぱいいそうな…それはきっと、私がこの歳になってもまだ「ドラえもんが本当にいてくれればなぁ」と思うのと同じようなもんかな(て、ドラえもんがいてくれれば、なぎさはいらないのかな…いや、男の人にはなぎさの方が良いのかな…どちらにせよ、「夢」のまた「夢」のお話…)。
      0

        『オール』山田悠介

        オール
        オール
        山田 悠介 2007/5/31発行 角川書店 P.293 ¥1,155
        ★★★★★
        今はこの『何でも屋』で働くのが心の底から楽しい。時折ヤバイ仕事もあるが、それはそれで刺激があって、やり甲斐がある。だからいつか、母にも真実を告げようと思っているが、それはもう少し先になるだろう。今はまだ何もかもが中途半端だ。この仕事をずっとやり続けていくという決心がついた時に、全てを話そうと思う。もしかしたら、この仕事にも飽きて、もっと違う何かを見つけているかもしれないし……。

        高知の田舎から上京し、希望通りにアパレル関係の一流企業に就職したものの、思っていたより刺激がなく、こき使われるだけの日々に嫌気が差し、一年ももたずにさっさと辞めてしまい、それからはアルバイトを転々とし、少ない給料で東京での生活を何とか維持してきた「こんなはずじゃなかった」の荻原健太郎、25歳。

        新しいバイトもまた、飽きてしまったからという理由で昨日辞めてしまい、携帯代を支払うと、手元にはわずかな残金しかなく「田舎に帰ろうか…」と弱気になっていたところに偶然見つけた、道ばたの電柱に貼ってある「何でも屋・花田」のバイト募集の怪しいビラ。

        このまま田舎に帰ったのでは負け犬だ!と奮起して、指定された場所に面接に出向くと、そこにいたのは三人の訳ありげな男たち。

        中でも一番強面の男、社長の花田に気に入られ、即採用を言い渡された健太郎の最初の大仕事は、離れていても悪臭漂うゴミ屋敷の大掃除。

        可能な限り全ての注文を受け、給料は完全歩合制だという「何でも屋」に舞い込んだ、報酬5百万ものラッキーな「大掃除」のメールの依頼文のタイトルにある「私を見つけて」の文字と、四桁の数字の意味を深く考える間もなく、仕事に取り掛かった3人が、タイムリミットを過ぎた後、ゴミ屋敷で見つけたものは…『ゴミ屋敷』

        他、『運び屋』、『政略結婚』、『母』、『最期の仕事』の5編から成る、ノンストップ・ワーキング・ノヴェル。

        「変な奴らに、怪しい依頼、仕事はいつも危機一髪“何でも屋”には全部ある!!
        『リアル鬼ごっこ』『パズル』の山田悠介待望の最新刊!」だ、そうで…。


        うーーん…。
        読んでる途中で「今誰の本読んでるんだっけ?」と、混乱してしまうくらい、いつものこの人らしくないお話で…普通すぎるというか、奇抜さがないというか…。

        まあ、今どきの若者ならこんな感じで「やりがい」だの「大きな仕事」だの「刺激」だの、自分の器を知らずに聞こえの良いものばかりを求めて、簡単に仕事を辞めてしまうのかもな、とは思わされたけど…でも主人公の口癖のような「刺激のある仕事」って、いったいどんなんだろう?

        母親思いで、仕事を辞めたことをいつまでも言えずにいるという可愛い一面もあるし、母親との関係や、それぞれの依頼を通して、人間的にも成長していく姿を描きたいのは分かるけど、やっぱり「飽きたから」と、仕事を辞めてしまう主人公が、短期間で成長するのは、ちょっと無理があるような…(章のタイトルも、あまりにもそのまんまだし)。

        読者からの何でも屋への「仕事の依頼」を募集して、続編も書かれるみたいなので、若者に絶大な支持を受けてる山田さんなだけに、もっと、働くことの意義とか、大人としての責任とか、そういうのも書いてもらえたらいいなと思えてしまった(ついでに、いつものような奇想天外なアイデアなんかも、盛り込んでいただれば、読者としてはもっと嬉しいかなと)。

        ちなみに、何でも屋「指令」募集中!だそうで。詳細はこちら

        0

          『純愛小説』篠田節子

          純愛小説
          純愛小説
          篠田 節子 2007/5/31発行 P.263 ¥1,470
          ★★★★★
           永遠の愛を素朴に信じる女が、この国にはどれだけいるのだろう、と香織はそのブルーの表紙に目をやる。
           バラの花びらと香りに包まれたロマンティック・ラブに導かれ、愛する人と結ばれ、愛する人の子供を産むことに結婚の意義と人生の目的を見出す彼女たちに、柳瀬の虚無感を伝えることはできない。多くの女を知った後に、心ならずも見えてしまった恋や性愛のその向こうに広がっている荒涼たる景色を、妻に伝えることはできない。伝えられたところで彼女たちには理解はできない。
          〜『純愛小説』より〜

          有能ながらも男社会の理不尽さゆえに出世の先が見えた40代後半の女性編集者は、妻から突然離婚を言い渡された、良きアドバイザーでもあり、古くからの友人でもある男友達の、離婚にいたる本当の理由を知り愕然とし、自分が手がけた「純愛小説」の愛読者であるという、男の妻の誤解を解こうとして…『純愛小説』

          早くに亡くなった父親の代わりに妹二人の面倒を見、妹達が自立して出て行った後も残された屋敷を守り、年老いた母の介護を一手に引き受け、独身を通して60代半ばを迎えた長女との連絡が途絶えてしまい、慌てて駆けつけた次女が目にしたものは、更地となってしまった自分たちの屋敷があったはずの広大な土地。
          母親を看取った後、殆ど家に引きこもり、趣味も持たず、近所づきあいもなかったはずの姉の身に何が起こり、姉が相続した莫大な遺産はどうなってしまったのか、必死に姉の行方を探し始めた妹に突きつけられる現実…『鞍馬』

          他、一人暮らしを始めた大学生の息子のマンションを突然訪ねた父親と息子との、母親には言えない話…『知恵熱』、一回りも歳上の「土偶」のような女性に夫を寝取られてしまった、美しく聡明で完璧なはずの妻は精神科医のドアを叩くことに…『蜂蜜色の女神』

          「大人だからこそ、隠せない想いがある。
          歳をかさねたからこそ、抑えきれない衝動がある。
          愚かしくも愛おしい衝動からうまれた、4つのビター・ロマンス。
          ――成熟の向こうになお存在する、愚かしくも愛おしい衝動を、時にシニカルに、時にエロティックに描く、篠田節子の最新短編集。」だ、そうで。


          一番好みなのは『鞍馬』のお話。
          人間とは、立場が違うとこうも感情が行き違うのか、と感心させられたというか、妹から見た姉と、姉の実体験とのギャップがリアルで…。

          身を削るようにして家族に尽くし、独身を通して挙げ句の果てに…の姉にものすごく同情してしまうし、立派な仕事をしているからという、ただそれだけで誰からもちやほやされるけど、実際人間としての妹はどうなの?と、本当に世間知らずはどっちなのかと…。

          ただ、どちらが世間から認められるのかと言うと、社会的に目立ってる方なのかと、ちょっと悲しくなってしまうようなお話で。

          『純愛小説』は、近ごろよくありがちな「泣ける」?「純愛」?小説ブームに、ちくちくと針を突き刺すようなお話で、篠田さんらしいブラックさがなかなか良くて…。

          『蜂蜜色の女神』は唯一エロティックだったかな?
          これも見る人によって「土偶」だったり、「女神」だったり…どんな人なのかなと、ちょっとその女性をこの目で確かめたくなってしまった。
          なかなかサスペンスタッチでもあり、ここに出てくる完璧な妻に少々反感を覚えてしまった私にとってはなかなか小気味良い結末。

          あくまでも成熟した大人のためのお話という感じで、私の好きな篠田さんの作品のタイプとは少し違ってたけど、全編を通して出てくる「ハーブ」の怖さを勉強させてもらえて良かったかなと。
          0

            『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子

            しゃべれどもしゃべれども
            しゃべれどもしゃべれども
            佐藤 多佳子 2000/6/1文庫化 新潮文庫 P.416 ¥620
            ★★★★★
             自信って、一体何なんだろうな。
             自分の能力が評価される、自分の人柄が愛される、自分の立場が誇れる――そういうことだが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を猯匹鍬瓩版柴世垢襪海箸もしれない。猯匹鍬瓩療戮過ぎると、ナルシシズムに陥り、猯匹鍬瓩足りないとコンプレックスにさいなまれる。だが、そんなに適量に配合された人間がいるわけがなく、たいていはうぬぼれたり、いじけたり、ぎくしゃくとみっともなく日々を生きている。

            大の落語好きだった祖父の遺言を守り、18の歳に小三文師匠に弟子入りし、真打手前の二ツ目になって5年、正統派の古典落語を何より愛するものの、あまり受けの良くない短気ですぐにかっとなる噺家「今昔亭三ツ葉」こと、外山達也、26歳。

            最近になってまた出始めたという吃音のせいで、テニススクールでのコーチの仕事に自信をなくしていた従兄弟の良に頼みこまれ、祖母と暮らす下町の自宅で、にわか「話し方教室」を開くことになった三ツ葉の元に噂を聞いて集まったのは、それぞれ「話すこと」に深刻な問題を抱え、このままではいけないと真剣に考える3人の男女。

            素直な気持ちが言葉にできないせいで男にふられた、人間嫌いで会話嫌いの「黒猫」のような美女、十河。
            転校してきてからもいつまでも大阪弁を話すせいで、クラスでいじめられているのではと心配する母親に連れてこられた小学生、村林。
            アナウンサーに二人分しゃべらせてしまうほど解説が下手くそな野球解説者、強面の元プロ野球選手、普段は毒舌家の湯河原。

            とりあえず、話すことと言っても、落語以外に何もできない三ツ葉は、4人に手作りのテキストを渡し落語を覚えてもらうことに。

            そうして4人それぞれの抱える問題に、持ち前のおせっかい気質から、どんどん関わってしまうことになる三ツ葉自身もスランプに陥り、どんどん噺家としての自信を失くしてしまうのだが…。

            『みんな、何とかしたいと思ってる
            今のままじゃ、だめだから
            歯切れのいい語り口で、言葉にできないもどかしさと不器用な恋を描き、「本の雑誌が選ぶ年間ベストテン」第一位に輝いた名作。本屋大賞受賞作家の代表作!』だ、そうで。


            国分君主演で映画になってるのは、友達が見たいと言っていたので知ってたけど、Musagoroさんのブログでこの本のこと知って、こういう内容だったのかと、私も映画が見たくなったので(もっと落語がメインの話だと思っていたので)とりあえず映画見る前に読んでみようと読み始めたら、あまりのテンポの良さに惹き込まれて止まらなくなってしまった。

            不器用で、短気で、でも人情に厚い三ツ葉も、もちろんだけど「話すこと」に問題を抱える4人のキャラも強烈で個性的で…クラスでいじめられても「いじめやない喧嘩や!」と言い張る、プライドの高い小学生村林と、大人の十河のライバル関係や、村林に本当のところを衝かれてぼろくそに言われても、村林のために野球を指導してあげるときの元プロ野球選手、湯河原の「父親の顔」や、細かいところまで実に丁寧に活き活きと描かれていて、すっかり物語の中に嵌り込んでしまった(みんなほんとは優しくて、いい人で…)。

            人に嫌われることを人一倍怖がるあまりに、思ったことを言葉にできなくて…というのは、何だかとても良く分るし、普段無口な人の発する言葉というものの重みというか大切さというか、そういうもの、舌先三寸で適当にその場その場を切り抜け、人からいつも「軽い」と言われる私には、ここに出てくる人達の、心の底から搾り出されるような伝えたい「本当の気持ち」というものが、結構羨ましく思えたりしたかも。

            でも「気持ちだけじゃだめなの。以心伝心じゃだめな時があるの。言葉が必要なの。どうしても言わなければいけない言葉というのがあるの。でも、言えないのよ!」という十河の叫びには、言いたくてもどうしても言えないというもどかしさには、心が痛くなって、ほろりとさせられてしまった。

            そして昨日はレディースデーでお安かったので、映画の方も見に行ってきたけど、原作のイメージそのまんまで(特に十河役の香里奈さんなんて、この役はこの人のためにあるんじゃないのか?と思えるほどイメージ通りだったし)、大好きな松重さんも良かったし、何より村林役の子役の子は本当に上手くて面白くて可愛くて良かった!(落語のシーンでは、話し方が枝雀師匠のそれにそっくりだったので、お孫さんか何かかと思ったくらい)。

            映画の中で「まんじゅうこわい」の噺が一番お上手だったのは、もしかしたら祖母役の八千草さんかも(ちょこっと話すだけだけど)。この人は本当に幾つになっても「可愛らしい人」だなと。

            「ゆず」の主題歌もすごく合ってて、久々に最後の最後までスクリーンに釘付けになってしまった映画だったかも(時間が経つのがあっという間だったし)。
            0

              『るんびにの子供』宇佐美まこと

              るんびにの子供
              るんびにの子供
              宇佐美 まこと 2007/6/4発行 メディアファクトリー P.207 ¥1,260
              ★★★★★
              ひとつだけわかったことは、人は大人になるにつれ、そういう存在(こうと定義することはできないが、何かしら不思議な存在)を感じとる能力が衰えていくということだった。私の場合は特異なケースで、なぜかその能力をなくさないでいるらしい。けれども、久美ちゃんの存在は、あまりにも私の日常に溶け込みすぎてしまって、ことさらその能力のことを意識することもなかった。なにしろ、久美ちゃんは何ひとつ私を悩ますことなどなかったのだから。ただその子はそこに「いる」だけなのだ。〜『るんびにの子供』より〜

              幼稚園の頃の遠足で出会って以来、みんなに混ざって「るんびに幼稚園」に時々姿を見せるようになった「久美ちゃん」。
              「私」が大人になり、結婚してからも、久美ちゃんはつかず離れずの距離を保ちながら、時々姿を現しては消えるだけで…。
              そして、跡取りのできないことを理由に、「私」をマンションから追い出そうとする姑の身にある日異変が起き、その視線の先には…『るんびにの子供』

              強盗犯として警察に追われる身となった男は、身を隠すために覗き込んだ老夫婦だけの暮らす家で、数年前に姿を消した孫と勘違いされ、温かく迎え入れられることに。
              寝る場所さえままならなかった男は、そのまま居座ることに決め、寝たきりとなっている老女の夫の介護にもかいがいしく手を貸すのだが…『石榴の家』

              子供の頃から、姉である「史子」のものを何でも欲しがり、ライバル心をむき出しにする強欲な妹のせいで、何かと我慢を強いられてきた「史子」。
              だらしない妹の代わりに世話をすることになった愛犬の散歩の途中で、片方だけの手袋を拾った「史子」が、落とし主の元に戻るようにと、目につくところに置いておいたはずの手袋の場所は見るたびに移動して、それはだんだんと「史子」の家に近づいているようで…『手袋』

              他、平日の昼間、客の少ないハンバーガーショップで大声で交わされる、主婦二人のおぞましい会話…『キリコ』
              子供の頃に一時期棲んでいた家に戻ることになった男は、過去に封印したはずの本を再び開いてしまい…『とびだす絵本』の5つの「怖〜い話」から成る短編集。

              「平凡な主婦の当たり前な毎日。スカートをはいた、久美ちゃんが見えること以外は…。嫁と姑の重苦しい日常にちらつく、少女の影は何をもたらすのか。何気ない暮らしにひたひたと入りまじる怪異を描く、怪談文学の真髄5編。
              『ダ・ヴィンチ』『幽』主催第一回『幽』怪談文学賞 短編部門大賞受賞作」だ、そうで。


              「るんびに」とは何ぞや?と興味をそそられて読んでみたけど…。
              うーん、これはなかなか身の毛のよだつようなお話ばかりで、霊的なものの怖さもそうだけど、それよりも、普通の生活を営む「人間」の恐ろしさがひしひしと伝わってきて、地味〜にぞわぞわっときたかも。

              なかでも一番ぞぞぞっとなったのは『石榴の家』の老女。

              『手袋』の、主人公「史子」の妹への嫌悪感も、妹のだらしなさ、汚さの描写もなかなかで…、そして『キリコ』の話には唖然とさせられて、最初から読み返して「なるほど」と、納得させられたような。

              長編部門の大賞受賞作『夜は一緒に散歩しよ』同様、これからの季節にはちょうど良い本かも(この季節によくみかける稲川さんが話してくれたら、怖さ倍増かな…)。

              0

                『私たちの幸せな時間』孔枝泳、蓮池薫

                私たちの幸せな時間
                私たちの幸せな時間
                孔 枝泳 2007/5/30発行 新潮社 P.270 ¥1,995
                ★★★★★
                …あのときの温かかった彼の手……どうしてあのとき笑いながら彼の手を握り返してやれなかったのだろう……どうして愛していると言えなかったのだろう……ユンスの言うとおりあまりに簡単なことだったのに、ただ愛せば、それでよかったのに……今はもうその温もりすら消え失せた。
                身体の温もりが冷めるのが死だとしたら、人間の魂から温もりがなくなる瞬間もまた死と言えるだろう。私も彼も、それを知らずに生きていたし、死にたいと考えていた。それがすでに死だったことにも気づかずに。

                韓国の富裕層の家庭で何不自由なく育ち、フランス留学を経て芸術家の道を進み、親戚の経営する大学での専任教授の椅子をたやすく手に入れたものの、人生に退屈しながら周囲の人間誰彼かまわず悪態をつき、アルコールに溺れ、死ぬ意志もないくせに三度も自殺未遂を繰り返す、優秀な一族の鼻つまみ者「ユジョン」。

                三度目の自殺未遂の後、入院中の「ユジョン」の身を案じた、ただ一人の「ユジョン」の理解者であり、「ユジョン」と同じく一族の変り種、修道女として生きる道を選択した「モニカ叔母」が、精神科医である叔父の許しを得て「ユジョン」を連れ出した先は、叔母の慰問先である「ソウル拘置所」。

                そこで「ユジョン」は、死刑執行の日をただ待つばかりの一人の死刑囚「ユンス」と叔母の面会に立ち合い、目前に死を控え「このまま、ただ死なせてほしい」と願う、残忍な殺人犯に興味を抱き、今まで自分が知ろうともしなかった、表向きは美しく発展した国、韓国の「闇の部分」に初めて目を向けようとする。

                そうして最初は渋々ながらの、叔母との約束を果たすためだけの「ユンス」との一ヶ月の面会期間が過ぎた頃、自らの意志で「ユンス」との面会に臨み、「ユジョン」自身がこれまで心の中に抱え込んでいたあまりにも辛い「本当の話」を「ユンス」に話し始める。

                その日から、いつ終わるとも知れない週に一度だけの二人の時は始まり、これまで「死ぬこと」しか願わなかった二人は、自分たちが「生かされている」ことの意味を知り、「生きたい」と願うようになるのだが…。

                『男は3人を殺した死刑囚。女は3回自殺未遂をした元人気歌手。死を切望するふたりが惹かれ合い、初めて「生きたい」と思った時…。蓮池薫訳で贈る、哀絶ラブストーリー。カン・ドンウォン主演映画原作。』だ、そうで。


                何となく韓国映画のイメージから、甘あまなラブストーリーなのかと思ったら、全く違って、どちらかと言えば「死刑制度」についても深く考えさせられる硬派な本、という感じ(男女の恋愛というよりも、もっと広義の人間愛かな?と、私には思えてしまった)。

                最下層の暮らしを強いられ、母親に捨てられ、父親からは虐待され、幼い弟と二人で屈辱的な人生を歩んできた「ユンス」が、最後に残した「ブルーノート」には、あまりにも厳しくて哀しい真実が綴られているけど、結局は育った環境がこうだから、こうなったと言うのは、読んでいても、なかなかやり切れないものがあって。

                一方の裕福なわがまま娘「ユジョン」は、最初、ものすごーーーく嫌な奴(というのも、多分あまりの偏屈さや不器用さが、どこか自分と似ていると思えたからかも)で、その心の変わり様は目を見張るものがあるけど、それでもやっぱりあまり好きにはなれなかったかも(母親との確執もあまりにも子供じみてるような…)。

                ただ「ユジョン」の「死刑制度」への考え方は、結構考えさせられるし、娘を殺害された年老いた母親の、「ユンス」への言葉「許せるときまでは必ず生きていておくれ…」というのが、いつまでも心に残るし(対峙のシーンは圧巻)、こんなことが言える人間になれればいいなと。

                そして最後、「ユンス」の弟への思いが少しだけ報われたことに、心の中から温かいものがこみ上げてきて、やっぱり泣かずにはいられなかったかな。

                愛のあとにくるもの』も美しい文章だと思ったけど、蓮池さんの翻訳のこちらもやっぱり流れるように美しい文章だなと(蓮池さんの翻訳本、結構出版されてるの知らなかったので意外に思えたもので…)。

                「生命」という言葉そのものが、「生きろという命令」という考え方は、まさに目から鱗(そんなこと考えたこともなかったし、言われてみれば、ああそうなのかと)で、そして「愛」の反対語が「無関心」というのも、なんだか納得。

                改めて「本当に生きる」ということ、「自分以外の他者を愛する」ということについて、ものすごく考えさせられてしまうし、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思えるような一冊だったかも。
                0

                  『エンド・クレジットに最適な夏』福田栄一

                  エンド・クレジットに最適な夏Amazonで購入livedoor BOOKS書評/ミステリ・サスペンス
                  ★★★★★
                   静まり返った空間に一人になると、俺は目を閉じて自分の神経の昂り具合を確かめた。駄目だ、……膝が震え、喉がカラカラに乾いて吐き気が込み上げてきた。
                   頬の内側の肉を噛み切った。鋭い痛みと共に、鉄臭い血の味が口内に広がる。
                   その味が、胸の奥底に眠っていた暴力衝動を僅かに蘇らせた。恐れよりも、目の前の相手を叩き潰すという興奮の方が徐々に勝っていく。

                  食費を節約するために、安く手に入れた人間用のものではない「缶詰」にさえ手をつけてしまうほど、切迫した貧乏生活を強いられていた、大学生「浅木晴也」。

                  以前に泥棒を捕まえたことがあるという「晴也」の度胸と貧乏っぷりを見込んで、最初に「金になる依頼」を持ち込んだのは、同じ大学に通うものの、親からの仕送りを充分に受け、優雅に遊び暮らす友人の「和臣」。

                  「和臣」の女友達を付け狙う変質者を退治すれば、かなりの報酬を得られると聞き、早速被害者の女性宅で張り込みを開始すると、そこにはマンションを見上げる怪しい男の影。
                  ところが話を聞いてみれば、男の目的は別のところにあり、「晴也」は、今度は男の妹探しにも首を突っ込む破目に…。

                  そうして「晴也」は最初の依頼の「変質者探し」の聞き込みに行く先々で、別の相談事を持ちかけられることになり、雪だるま式に「晴也」が抱え込むトラブルの数は増えていくのだが……。

                  「もうすぐ、夏がやって来る――
                  東奔西走 三転四転 絶体絶命、エンド・クレジットまであと少し。
                  にわかトラブル・シューターの活躍を描く軽快な青春小説!
                  次世代を担う新鋭たちのレーベル《ミステリ・フロンティア》」だ、そうで。


                  「そんなあほな」と言いたくなるほど、依頼する方も依頼される方も、お人好しというか、何というか…。
                  皆が皆、単純というか、まるで、RPGをやっているような感覚で話が進むといった感じ。

                  なので、読みやすいといえば読みやすいけど、ただそれだけかも。

                  冒頭のシーンがなかなか面白くて、期待大だっただけに、主人公が通っていたという「荒れた中学」の話(そこで鍛えられたから、こんな超人ハルク並みに強くなったのか、悪いことは全部知ってると言いたいのか…。)や、解決方法が、どうにもちょっと…。

                  帯に「にわかトラブル・シューター」とあるだけに、IWGPの「マコト」と比べてしまったのがいけなかったのかもだけど、登場人物の誰にも今ひとつ魅力が感じられなかった。

                  読み始めはそうでもなかったけど、終わってみれば「ハードボイルド」?
                  ラストはちょっと渋かったかな。

                  0

                    『夜想』貫井徳郎

                    夜想
                    夜想
                    貫井 徳郎 2007/5/30発行 文藝春秋 P.447 ¥1,750
                    ★★★★
                    「……うまく説明できないけど、おれは嬉しかったんですよ。おれがこんなに大きい悲しみを抱えているのに、周囲の人間にとってはあくまで他人事でしかない。そんなときにおれのために泣いてくれる人がいたので、すごく嬉しかったんです。なんというか――助けられました」

                    目の前で妻子が炎にのまれてゆくのを、なす術もなく呆然と見ていることしかできなかった無力な自分を責め、後を追おうにもその気力さえ失くし、絶望の日々をただ生き続けている「雪籐」。

                    職場でも同じミスを繰り返すばかりで一向に立ち直る気配を見せない雪籐に、同僚の憐れみもいつまでもは続かず…。

                    誰にも理解されないことへの不満や孤独を抱える雪籐は、街で偶然出会った女子大生、「遥」の特殊な能力によって癒され、初めて自分に共鳴してくれる相手を見つけられたと信じ、遥の願いを叶えることをこれからの生きる糧とすることで、生きる気力を取り戻そうとする。

                    その能力のせいで子供の頃から辛い思いをしてきたという遥もまた、雪籐の全面的な支援を受け入れ、より多くの人の役に立てればと、人目に晒されることを承諾し、最初は地道だった遥の小さなボランティア行為が、マスコミにも取り上げられるようになると、周囲に支援者も集まり出し、雪籐の思いをよそに、やがて大きな団体「コフリット」へと姿を変えてゆくことに。

                    そしてまた、別の場所には、愛情を注ぎ込んで育てた一人娘に見捨てられ、必死で娘の行方を探し始めた母親の存在が。

                    やがて歪んだ愛情を持つ母親は「遥」の能力に縋ろうと「コフリット」を訪れるのだが…。

                    「――あたしはずっと、夜の中にいました。
                    救われる者と救われない者。
                    名作『慟哭』から十四年。ふたたび〈宗教〉をテーマに、魂の絶望と救いを描いた雄渾の巨篇。」だ、そうで。


                    最初は本当に小さな「善意」に、色んな思惑の人間が集まってきて、どんどん大きくなって、当初の理想が次第にずれていって、やがて「宗教団体」のように見做されて…というような過程が解りやすく書かれていて、今あるそういった団体の多くも、始まりは「一人でも多くの人の為に…」とか、こういうことだったんだろうなぁと。
                    そこに「お金」が絡んでくるのも、なるほどこういうことなのかと、少し納得。

                    ただ、あんまりそういうことには今のところ興味がない(多分救済が必要なほど、苦しいことが今はない、ということだけでいつかは縋りたくなるのかもしれないけど…)ので、途中までは読んでいて正直あんまり面白くなくて、何度も途中で寝てしまった…。

                    「コフリット」が大きくなるにつれて、雪籐の当初の思惑からずれていくもどかしさとか、雪籐が感じる居心地の悪さというか、そういうのは読んでいて「なるほどなぁ」とは思えるし、今の、自分のことしか考えない人間が多すぎる世の中を少しでも良くしたい、というようなニュアンスも何となくは分るけど…。

                    私は貫井さんの本の中に出てくる「狂気の人」が結構好き(正気を逸脱しすぎて、怖すぎるところが…)なので、娘を探す母親の部分はかなり読み応えがあったし、後半からは俄然話の展開が面白くなったというか、ああ、さすがに貫井さん、という感じ。

                    そして、読み終わった後に、「救済」とはなんぞや、と結構深く考えさせられてしまったかも(というか、今もずっと考えてるし、しばらく考え込んでしまいそうな…)。

                    宗教でも何でも、人が何かに救いを求めて、その時救われたとしても、そこから先は?と、最終的な「救い」って何なんだろうと。

                    やっぱり「救い」とは自分の心の問題ではなくて…なのかもしれないなと。
                    でもやっぱり難しい…難しすぎるテーマを、貫井さん選びすぎ。

                    0

                      『生還者』保科昌彦

                      生還者
                      生還者
                      保科 昌彦 2007/4/20発行 新潮社 P.274 ¥1,680
                      ★★★★★
                      もしかすると自分たち六人は、あの場で死ぬ運命だったのかもしれない。それが何かの手違いで助かってしまった。だから運命の歯車がその歪みを正そうとして、自分たちを次々と死に追いやっているのか。もしそうだとしたら、どうすればその連鎖を断ち切れるんだ?

                      奥秩父の山中の鄙びた温泉地で起きた山崩れによって、生き埋めにされながらも四日後に奇跡的に救出され、マスコミから「奇跡の生還者」と名付けられた6名の男女。

                      自分がその場所を選んだばっかりに…と、「彼女」を失い生き残った男は、心に深い傷を負ったまま、図書館司書としての図書館での日常業務にも支障をきたし、周囲の人間の気遣いにも耳を貸さず、ますます孤立していく日々を送っていた。

                      そして事故から一年が経った頃、勤務中、偶然目にした新聞記事のデータベースから、奇跡的に助かった6名のうちの一人の女性が事故の半年後に、川で転落死していたことを知った男は、あの夜、あの生きるか死ぬかの瀬戸際で彼女が語った懺悔の話を思い出すことに…。

                      さらにまた一人、あの時の懺悔の話と酷似した状況で「奇跡の生還者」が遺体で発見されたことから、この事態が偶然ではないと疑い始め、我が身にも危険を感じる男は、自分以外の生き残りの人物を探し出そうとするのだが…。

                      『生き残ったことこそが、罪の証なのか――。
                      二十人以上の犠牲を出した土砂崩れから半年。四日間も飲まず食わずで生き埋めにされながら、一命を取り留めた「奇跡の生還者」が、ひとり、またひとりと不審な死を遂げていく。これは呪い? それとも……。暗闇で得体の知れない何かに背中をなでられるような、極上の恐怖をお約束します。戦慄のサイコ・サスペンス!』だ、そうな。


                      図書館に勤める男の壊れていきっぷりが怖いと言えば怖くて、どんどん嫌な人になっていくし、「奇跡の生還者」たちの懺悔を聞いてると、本当に何でこんな人たちが…と、嫌な気持ちになってしまうし、そんな時にそんなことができてしまうという人間の心理も恐ろしい。

                      生き残った人達の現在の状況と、事故の際のパニックに陥った人々の状況とが交互に描かれていて、臨場感はひしひしと伝わってくるし時々息苦しくなるほどだったけど、ことの真相が…私にはいまいち納得いかないというか、「なんじゃそりゃ」という感じだったかも。

                      なので、手の脂?と思った装丁が、よくよく見ると一番怖かったのかも。
                      0


                        calendar

                        S M T W T F S
                             12
                        3456789
                        10111213141516
                        17181920212223
                        24252627282930
                        << June 2007 >>

                        読書メーター

                        uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

                        新刊チェック

                        selected entries

                        categories

                        archives

                        recent comment

                        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                          uririn
                        • 『痺れる』沼田まほかる
                          uririn
                        • 『絶望ノート』歌野晶午
                          uririn
                        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                          いちれん
                        • 『痺れる』沼田まほかる
                          くり
                        • 『絶望ノート』歌野晶午
                          智広
                        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                          uririn
                        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                          苗坊
                        • 『永遠の0』百田尚樹
                          uririn
                        • 『永遠の0』百田尚樹
                          苗坊

                        recent trackback

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        悪人
                        悪人 (JUGEMレビュー »)
                        吉田 修一
                        読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

                        recommend

                        しずく
                        しずく (JUGEMレビュー »)
                        西 加奈子
                        サイン本買っちゃった。

                        recommend

                        recommend

                        たぶん最後の御挨拶
                        たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
                        東野 圭吾
                        猫なんです…。

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        ねこの肉球 完全版
                        ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
                        荒川 千尋,板東 寛司
                        たまらん。

                        recommend

                        ニャ夢ウェイ
                        ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
                        松尾 スズキ, 河井 克夫
                        たまらん…

                        recommend

                        recommend

                        僕たちの戦争
                        僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
                        荻原 浩
                        とにかくお薦め。

                        recommend

                        出口のない海
                        出口のない海 (JUGEMレビュー »)
                        横山 秀夫
                        たくさんの人に読んでほしい…

                        links

                        profile

                        search this site.

                        others

                        mobile

                        qrcode

                        powered

                        みんなのブログポータル JUGEM

                        使用素材のHP

                        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

                        PR