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    『悼む人』天童荒太

    悼む人
    悼む人
    天童 荒太 2008/11/30発行 文藝春秋 P.450 ¥1,700
    ★★★★★
     彼の名前は、聞きそびれました。だからわたしは、〈悼む人〉と呼んでいます。
     彼のことを知りたいです。あのときもですけど…時間が経つごとにいっそう、彼のことをどう考えればいいのか、わからなくなってきたのです。
     彼はいまどこですか。何をしていますか。なぜあんなことをしていたのでしょう。いまもああした行為をつづけていますか。
    〈悼む人〉は、誰ですか。

    大好きだった祖父や親友の死をきっかけに、この世で唯一の存在であったはずの人たちを忘れ去ってしまうことの罪悪感から、仕事を辞め、見ず知らずの死者を「悼む」ために全国を放浪する青年、坂築静人。

    そんな静人の「悼み」の現場を偶然目撃し、「そんなことをして一体何になるのか」と静人の偽善的とも取れる行為に疑問を抱き、彼が本物なのかどうなのか確かめるように目撃証言をネットで募りだしたのは、取材の強引さから陰では「エグノ」と呼ばれる週刊誌記者、父親との確執から、自らの家庭もうまく築けなかった薪野。

    夫を殺害し、罪を償って出所したものの居場所をなくした女は、殺害現場で、夫を「悼む」静人に出会い、彼の旅に同行することに。

    一方、静人の心情を理解しつつも、その身を案ずる母巡子は、末期の癌に侵され、家族に見守られながらの自宅での死を望み、静人の帰りを待ちわびる。

    母の病を知りもせず、ひたすら死者を「悼み」続け、時には、遺族から罵倒され、また、時には感謝されながら、さまざまな死者を心に刻みつけようとする静人。

    そして蒔野のHPには、日に日に「悼む人」静人の目撃証言の書き込みが増えていき、蒔野自身の取材の方向にも変化が訪れ、凄惨な事件の被害者の、あまりにも意外な「生前」の過去を知らされることに……。

    「聖者なのか、偽善者か?〈悼む人〉は誰ですか?七年の歳月を費やした著者の最高到達点!」…だ、そうで。


    大切な人や、大切な生き物たちが唯一の存在であったことを、忘れないように…というのは、ものすごく理解できるけど、見ず知らずの赤の他人のそれだけの膨大な数の死者のこと、本当に全部覚えていられるかなと、最近記憶力の全くなくなった私には、何だか「痛む」お話で。

    うーーーん……これは難しい。
    何だか『包帯クラブ』の大人版のようでもあり。
    テーマや、天童さんの「思い」はすごく伝わるけど、その分なんだかしんどくなって、読むのにものすごく時間がかかってしまった(正直、最初はつまらないと思えてしまったし)。

    ただ、静人に同行するようになる倖世が登場したあたりから、ちょこっと読み進めやすくなったかな(夫を殺害するに至った真相も、興味深くて)。

    何より、延命を望まず自宅でのケアを望む母親の、ひしひしと迫り来る癌との闘いは圧巻で、ものすごくリアルに感じられるし、でも、もし自分がそうなったら…多分こんなに強くなれないなと、そこは素直に感動してしまった。

    相変わらず、天童さんらしく、記者の薪野の父親との確執や、倖世の夫との関係とか、「家族」の難しさみたいなのも書かれているけれど…いったい天童さんはどこへ向かおうとしているのかなぁと。
    天童さん自身が、静人のようにノートをつけていると知って、なおさらに…。

    結構エグかった『家族狩り』や、『孤独の歌声』にはものすごく癒されたけど、そういうのがあまりなかったこれにはあまり癒されなかったのが、逆に不思議かも。

    JUGEMテーマ:読書


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        コメント
        はじめまして
        この本はこれから読もうと思ってます。
        天童荒太は全部読んできましたが、いままでのでは
        家族狩りが一番よかったかと・・
        最後のあたりでほんとにいやされる感じでした。
        またいろいろと参考にさせていただきます。
        • ken
        • 2009/01/23 10:22 PM
        kenさん、はじめまして(^^)コメントありがとうござます。
        結構エグかった『家族狩り』で癒されたのは私だけじゃないんだと、すごく嬉しくなりました。こちらこそ、いろいろと参考にさせていただきます。因みに私も西陣の子で、もしかしてご近所さんなのかと…。そして鯛の子の炊いたんは、私も大好物です。水菜もお揚げさんと炊きます(^^)vこれからもよろくですm(_ _)m
        • uririn
        • 2009/01/23 11:07 PM
        どのような本なのか気にはなっていたのですが・・・ま、いつかは読みたいと思います。というか、読んでおきたいと思います。
        カバチャさん、こんばんわ(^^)
        読んで損はないお話だと思います。天童さん好きには、どうなのかわからないけど。是非感想をお聞かせください。楽しみにしています。では、では。
        • uririn
        • 2009/02/04 12:16 AM
        トラックバックさせていただきました。
        トラックバックお待ちしていますね。
        • 藍色
        • 2009/02/07 2:46 PM
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        遅くなってごめんね。
        TBさせていただきました。
        • uririn
        • 2009/02/16 10:01 PM
        ようやく読みました!
        私は「ぱぱぱぱんだのお買い物」あたりは違和感が出てたのですがそれでも天童さんの本の中では一番読みやすかったです。今までのはずしっと重くてしんどくて読み進められなかったから。でも今また読み返すと読めるのかもしれないなぁと思いながら「悼しむ人」を読んでいました。
        そうそう「悼しむ人」をよんでいるととても心が穏やかで今もまだ穏やかなままなのが不思議です。
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        第140回直木賞受賞作 私が天童荒太氏の作品を読むのは、氏の「包帯クラブ」以来 どうも氏の作品は、タイトル等の印象から重いような気がして、手が出ませんでした。 本作も直木賞受賞という事で、気にはなっていましたが、単行本を購入してまで読みたいかどうか…
        • 映画と読書とタバコは止めないぞ!と思ってましたが……禁煙しました。
        • 2011/06/24 10:15 PM
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        • 2010/01/23 12:29 AM
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        • 2009/12/03 12:21 PM
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        • 2009/09/11 11:28 PM
        この主人公の悼む人である静人に、ずっと違和感を感じながら読み進んで行き、でも、こういう旅に出るに至る彼の過去や、後半の展開で、何か私の気持ちも変わるかもしれない・・と少々期待しました。しかしながら結局、、最後まで、何か違う・・・共感が出来ない・・とい
        • ポコアポコヤ
        • 2009/03/03 9:50 PM
        全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける坂築静人。彼を巡り、夫を殺した女、 人間不信の雑誌記者、末期癌の母らのドラマが繰り広げられる。第140...
        • 粋な提案
        • 2009/02/07 2:45 PM

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