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    『福袋』角田光代

    福袋
    福袋
    角田光代 2008/2/29発行 河出書房新社 P.232 ¥1,365
    ★★★★
    ……ひょっとしたら私たちはだれも、福袋を持たされてこの世に出てくるのではないか。福袋には、生まれ落ちて以降味わうことになるすべてが入っている。希望も絶望も、よろこびも苦悩も、笑い声もおさえた泣き声も、愛する気持ちも憎む気持ちもぜんぶ入っている。福と袋に書いてあるからってすべてが福とはかぎらない。袋の中身はときに、期待していたものとぜんぜん違う。安っぽく、つまらなく見える。ほかの袋を選べばよかったと思ったりもする。それなのに私たちは袋の中身を捨てることができない。……

    「やばそうな人」と「そうでない人」を見分けることのできる駅ビルの洋菓子屋で働く葛原さん。店に入ってきた一見「やばくなさそう」な見知らぬおばさんから「すぐに取りに来るから」と、中身の分からない大きな段ボール箱を無理矢理押し付けられてしまい、箱の中身を店のみんなでいろいろ想像してみたものの…『箱おばさん』

    別々の部屋に引き込む、生活習慣の異なる夫婦。妻が毛嫌いする「拾いグセ」が治らない夫が今回拾ってきたのは、手書きでタイトルの記された数本のビデオテープ。早速自分の部屋でテープを1本ずつ見始めた夫は、ビデオの元の持ち主に自分たちの姿を重ね…『イギー・ポップを聴いていますか』

    夫婦揃って離婚届を提出した帰り道、夫と別れ、ひとりぼっちになった妻は、公園で見知らぬ若い母親から、赤ん坊を押し付けられてしまい…『白っていうより銀』

    社内で「フシギちゃん」と陰で呼ばれる年長の派遣社員、長谷川さんに彼氏の愚痴をこぼしたことから、一緒にご飯を食べることになった十歳年下の「私」。お酒が進むうち、長谷川さんの壮絶な過去の恋愛話を聞かされて…『フシギちゃん』

    母親の四十九日の法要の後、母の遺言に従って遺産を分配することになった、四人兄妹。それぞれの使い道に思いを巡らせる兄妹たちが、遺言状を開けてみると…『母の遺言』

    別の相手とやり直したいと家を出て行った夫宛てに届いた同窓会の案内状。代理で出席することにした妻は、夫の同窓生達から、自分の知らない大学時代の夫のエピソードを聞かされて…『カリソメ』

    同棲生活をはじめることにした、恋愛経験の少ない似たもの同士の男女。引っ越してきた一軒家の玄関先から動かない一匹の犬を異様に気にする彼女の奇行に、彼女の意外な一面を見た彼氏は…『犬』

    両親から縁を切られたろくでなしの兄の行方を捜すために、兄に逃げられた兄の結婚相手と称する面識のないケバイ女と、土地勘の全くない「大阪」へ遠路はるばるやってきた「私」。兄の行方などどうでもいいと考えていた「私」は、女のペースにすっかり嵌り…『福袋』の8編から成る短編集。

    「私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない…
    人生に当たりハズレなんてない!?
    直木賞作家が贈る8つの連作小説集」だ、そうで。


    『母の遺言』の遺言の中身の意外さには驚かされたけど、母親って「女」だし…なんだかものすごく納得できるようなお話で、それ以前の兄妹たちのバトルというか、そういうのも結構面白くて好きなお話。

    『犬』も、お互いのことをまだ良く知らないでいる恋愛馴れしていない男女が一緒に暮らし始めて、こんなことでこうなるのかと、何か身につまされるようなお話で。

    もしも私が結婚したら、きっとこうなるだろうなぁと思える夫婦の関係というのが、なかなか絶妙で、相手のこと、どれだけ知っているのか、本当に知っているのか、知ってなくちゃいけないのか、知らないほうがいいのか、なんだかぐるぐると考えさせられてしまうようなお話が多かったような。

    何が入っているのか分からないからそそらてしまう「福袋」。
    期待しすぎて、開けてがっかりすることの方が多いけど、普段自分では買わないようなものでめっけものなんかがあったりするのも「福袋」ならではなのかもなと。
    結局は自分の心の持ちよう次第と言うか。

    そして、どれだけ相手が分からなくても『フシギちゃん』の、長谷川さんの真似だけは絶対にしたくないなと。こわすぎるし。

    JUGEMテーマ:読書
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        コメント
        『フシギちゃん』ホラーテイストでしたね。
        疑い始めるとキリが無いので気をつけたいです。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        相手の携帯、絶対見たくないものの一つです(^^;
        この世で一番怖ろしいものかもです。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/03/12 11:41 PM
        実は怖い話が意外と多かったですよね。
        「母の遺言」たまげました。
        それまでの兄弟のやりとりがアレで遺言がアレ…
        「犬」は私はめちゃめちゃ怖かったです。あんな女性一緒に住めん…
        ちきちきさん、こんばんわ(^^)
        「母の遺言」、兄弟のどろどろさが良かったですね。遺言の先にあったものには唖然、でもなかなかパンチが効いてて面白かった、かな。
        「犬」の、彼女のストーカーまがいの執念はすごかったですね。私も無理(^^;
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/03/28 11:40 PM
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        • 2012/11/16 1:05 PM
        福袋 # 出版社: 河出書房新社 (2008/2/15) # 言語 日本語 評価:79点 福袋は生まれてから一度も買ったことがない。 いくら「お得ですよ」と言われても、自分にとって必要性があるかどうかわからないもののために金を出せる考え方がどうしてもわからない。 ほ
        • デコ親父はいつも減量中
        • 2008/09/01 12:39 AM
        何が入っているんだろうとワクワクしながら買った福袋。 だけども、その中には絶対といっていいほど、 ガッカリするものが入っていて。 それでも、「これもなかなかいいんじゃない?」なんて、 ムリヤリ納得させちゃう。 そうじゃなきゃ、損したような気になるか
        • *モナミ*
        • 2008/06/21 12:25 PM
        JUGEMテーマ:読書 読書期間:2008/4/2〜2008/4/4 [河出書房HPより] 私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない……八つの短篇を通して直木賞作家が描く、心と人生のブラックボックス。話題の連作小説集。
        • hibidoku〜日々、読書〜
        • 2008/04/13 1:23 PM
        装幀は大久保伸子。装画は東ちなつ。初出「文藝」。短編集。 預かったり拾ったり見つけたり届いたりやってきたり…様々なものの中身は?。 ...
        • 粋な提案
        • 2008/03/12 3:18 AM

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