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    『ホテルジューシー』坂木司

    ホテルジューシー
    ホテルジューシー
    坂木 司
    JUGEMテーマ:読書

    2007/9/30発行 角川書店 P.355 ¥1,470
    ★★★★★
    「正しい」ことはいいことだ。そう教えられてきた。だから正しさを守りたいし、他の人にも守ってもらいたいと思う。でも、それをしようとすると必ずどこかで嫌な顔をする人がいる。ていうことはつまり、私の方が間違っている?

     ねえ。私の「正しさ」は、間違ってるのかな?

    大家族の長女として育ち、物心ついた頃から下の子たちの面倒を見ることばかりに時間をとられていたせいで、自分のことはいつでも後回しにしてしまうという、働き者で面倒見が良くて、しっかり者で、「だらしない人間が大嫌い」という、少々融通の利かない女子大生、「ヒロちゃん」こと柿生浩美。

    同じ大学に通う親友の「サキちゃん」との卒業旅行の資金稼ぎの為、少しの空いた時間も無駄に過ごすことができない「ヒロちゃん」が夏休みに選んだのは、東京から遠く離れた「石垣島」のホテルでの住み込みのアルバイト。

    ところが、仕事にも慣れ「このままここに就職しても…」とまで、リゾート全開の石垣島でのバイトを気に入っていた「ヒロちゃん」は、皮肉にもその真面目な働きぶりをオーナーに買われ、人手の足りない那覇市内のC級ホテルに「派遣」されてしまうことに…。

    狭い路地裏の雑居ビルの5階から7階までが客室という、一風変わった『ホテルジューシー』で、いきなり一人きりのフロント業務、雑務全般を任されることになった、責任感の強すぎる「ヒロちゃん」。

    昼間と夜とではまるで別人、そして昼間は全く役立たずの、変わり者のオーナー代理や、室内清掃担当、かなりのご高齢なのに、元気で豪気な双子の姉妹「クメばあとセンばあ」。料理だけは石垣島のホテルより上と「ヒロちゃん」も絶賛の調理人「比嘉さん」。いかにもな沖縄体質のあたたかくて一見呑気な従業員達。

    そして次から次へとやってくる「ヒロちゃん」には理解不能な「お客様」たち。
    よせばいいのに、「正しいこと」が大好きで「おせっかい体質」の「ヒロちゃん」は、「お客様」のプライベートに踏み込んでしまい、業務を超えてあれこれ奔走することに……。

    「柿生浩美20歳。しっかり者ですが、それが何か?
    路地裏ホテルの名物は、がんばる女子と日常の謎!!
    職場は沖縄C級ホテル、冷暖房一応完備、掃除アバウト、朝食激うま、そして……
    注目の覆面作家がおくる、ひと夏の青春&ミステリ」だ、そう。


    去年発売された『シンデレラ・ティース』の姉妹版ということで、お友達の「サキちゃん」との電話のやり取りも出てきたりなんかして、そう言えばその頃「サキちゃん」の身に、そんなこともあったかなと(あんまり覚えてないけど)…。

    甘えたでべたべたの可愛らしいタイプの「サキちゃん」とは正反対の、アネゴ肌タイプの「ヒロちゃん」というイメージだったけど、これを読む限り、実はただの「わがまま」と思えなくもないし(全て自分の思い通りにならないと気が済まないというか…)、周囲にこんなタイプの人いたら、しんどいなと(こういう世話焼きタイプも必要なんだろうけど、とても「いい加減」で「だらしない」私は確実に叱られそうなので、ちょっと苦手かも)。

    まあ、正義感が強くておせっかいな「ヒロちゃん」が、みんなに「正しいこと」を押し付けようとして、勝手に右往左往して悩んだりしてるだけで、『ホテルジューシー』の常連客の「子供を失くした」おじいちゃんも、『越境者』の典型的なギャル二人も、『等価交換』の骨董品屋のおじさんも、『嵐の中の旅人たち』の非日常のスリルを求めて危険な旅を続ける若者も、『トモダチ・プライス』の夢を叶えに沖縄にやってきた女性も、『≠(同じじゃない)』の人前で平気でべたべたする仲の良すぎる夫妻も、お客さんには、お客さんの事情がきちんとあって、それぞれにそれなりに「正しく」なくても、当たり前にちゃんと生きているのに(それぞれの話は、結構ほろりとさせられるのもあって、なかなかなんだけど)…頭の固い、若すぎる「ヒロちゃん」のあまりの経験不足というか、自意識過剰が鼻につくというか、読んでいて結構「イラっ」としてしまった。

    なので、最後のオーナー代理の台詞にガツンとやられてしまうところは、ちょっと胸がすっとしたかも。

    そして、その後に続く台詞「いなくてもなんとかなるけど、いたらもっと楽しい。…」というのには、世の中きっと、みんなそんなもんでいいんじゃないかなと(自分は特別な人間だとか考えて、驕ったり、何もかも背負い込んだりしないで、もっと軽く生きられれば楽なんじゃないのかなと、「適当」という言葉と高田純次さんが大好きな私は、そう思う)。

    沖縄にはうんとこさ若い頃に一回行ったきりだけど、この本を読むと当時を思い出して、ものすごく沖縄に行きたくなってしまった…ぐらい、沖縄、沖縄した物語ではあるし、沖縄料理も食べたいし、「スパム缶」も食べてみたいし(て、この前スーパーで見つけたら、意外と高かったので驚いた)、「クメばあ」の作る「指ハブ」も欲しいし。

    ただ、坂木さんの、女性が主人公の物語は、クセのある男性が主人公のこれまでのに比べると若干面白みがないかも…と、思えてしまう(『シンデレラ・ティース』には、大好きな鳥井さんっぽいのがいたのでまだ良かったのに…)。

    まあ、ただ単に「ひきこもり探偵」シリーズが、好きすぎるからそう思えてしまうのかもだけど。
    絶対あのシリーズの続編が読みたいし。

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        コメント
        こんばんは。

        ヒロちゃんは本当に自己満足な感じでちょっとつらかったですね。
        私も周りにこういう子がいたらちょっと嫌って思ってしまいました(私もいい加減なもので…)

        沖縄はいい感じでしたよね。沖縄行きたくなりました。暖かそうだし〜。
        なんかみんな同じような気持ちでヒロちゃんを見てるんですね〜。
        このヒロちゃんは結構イラッときたかも。
        まぁ、それを補ってあまるほど、他のキャラが濃かったからいいんですけど。
        沖縄いいですよ。
        これ読んでまた行きたくなりました。
        そうそう
        『引きこもり探偵』シリーズに出演(?)した
        松谷さん(だっけ?)もちゃっかり出てましたね。
        こんにちは。
        ヒロちゃんの思い込み、押し付けはちょっと苦々しさもありました。
        オーナー代理の台詞、誰かが言わなきゃでしたね。

        沖縄の魅力がいっぱいでした。
        ちきちきさん、こんばんわ(^^)
        じゃあ私たち、ヒロちゃんに怒られっぱなしですね、きっと(^^;
        そして沖縄、これ読んだら行きたくなりますね〜。急に寒くなったので、特に…あったかいところに行きたいし…。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/26 10:42 PM
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        ヒロちゃん人気ないですね。ちょっと可哀相かな(^^;(でも仕方ない…)。
        松谷さん(だっけ?私も名前忘れてしまった)「お友達セット」か何か持ち歩いてた動物園の人でしたよね?なかなか不思議ちゃんで…。
        ほんとクメばあやセンばあのキャラに救われましたね。
        次回作『先生と僕』(だったかな?)に期待。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/26 10:47 PM
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        オーナー代理とうまくいったりするのかな…と最初は思ってたけど、それ程でもなかったですね。オーナー代理はなかなか魅力的で、私なら恋してしまいそうだけど…。ヒロちゃんは、あのひと言で一回り大きくなったかな?にしても、いきなり沖縄で住み込みで働くなんて、ヒロちゃんなかなか大胆ですね。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/26 10:51 PM
        「シンデレラ・ティース」は既読だったので、ヒロちゃんの夏休みが気になっていました。
        いろんなことがあったんですねぇ。
        ヒロちゃんは男前で素敵でしたけど、最後まで共感できない所もありました。
        自分の意見を捻じ曲げない所が過度すぎるところとか^^;
        最後に分かったようで良かったですけど(ちょっと偉そう)
        これは同じ長女だけどヘタレな私は嫉妬してるのでしょうか^^;
        • 2008/11/27 9:23 PM
        こんばんわ。TBありがとうございました。
        ↑これ、私です。
        何で名前が消えてるんでしょう^^;
        匿名で失礼致しました。
        • 苗坊
        • 2008/12/05 11:49 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        正しいことが、時には人を傷つけることもあるというか…、ここまで極端だと、そのまんまで生きるのはしんどそうというか。でも、こういうおせっかいな人が、周りに一人はいてくれたほうが良いのかもなとも思える今日このごろ。他人に対して「無関心」よりは、よっぽどいいのかもしれませんね。そして、決して苗坊さんは「ヘタレ」ではないですよ(^^)
        • uririn
        • 2008/12/05 11:51 PM
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        ホテルジューシー 「ホテルジューシー」卒業旅行の資金をためるため、夏休み中沖縄の民宿でアルバイトをする事になった浩美。行った先はとてもいいところだったのだが、那覇のホテルに助っ人に行ってほしいといわれる。そこには頼りないオーナー代理がいた。バイトを始
        • 苗坊の読書日記
        • 2008/11/27 9:20 PM
        ホテルジューシー ■やぎっちょ書評 読み終えましたホテル・ジューシー。シンデレラ・ティースとの姉妹本ということで興味津々でした。 普通に考えたら、全然別の本として別の物語を書けばいいんだけど、友達同士の夏休みの過ごし方という設定をしてくれたおかげで、
        • "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
        • 2008/02/11 4:42 PM
        ホテルジューシー坂木 司 (2007/09)角川書店 この商品の詳細を見る 大学の卒業旅行に備えてまとまったお金を手に入れたい柿生浩美ことヒロちゃんは、友人のサキちゃんと、大学の図書館...
        • しんちゃんの買い物帳
        • 2007/12/15 11:51 PM
        装幀はtheGARDEN石川絢士。「野性時代」掲載+書き下ろし。連作短編集。 語り手の柿生浩美は大学の夏休み、石垣島の民宿でアルバイト。オーナーから頼まれ那覇のボロ宿、ホテルジューシーへ。先輩の松谷さんはさらりと去って残る
        • 粋な提案
        • 2007/11/23 4:03 PM
        『シンデレラティース』の姉妹作品といっていいですよね。 冒頭の部分は『シンデレラティース』重なっており、 サキメインが、『シンデレラティース』へ、浩美メインが『ホテルジューシー』へと 繋がっていきます。
        • My Favorite Books
        • 2007/11/22 11:02 PM
        JUGEMテーマ:読書 柿生浩美20歳。しっかり者ですが、それが何か? 職場は沖縄C級ホテル、冷暖房一応完備、掃除アバウト、朝食激うま、そして・・・・・・ 注目の覆面作家がおくる、ひと夏の青春&ミステリ 路地裏ホテルの名物は、がんばる女子と日常の謎!!
        • ぼちぼち
        • 2007/11/21 9:14 PM

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