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    『幽霊人命救助隊』高野和明

    幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1)
    幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1)
    高野 和明
    JUGEMテーマ:読書

    2007/4/10文庫化 文春文庫 P.598 ¥720
    ★★★★★
     救助隊は助けた。命だけを。必死になって打ち消した。死んでしまおうという刹那の気まぐれを。
     黙々と働きながら、裕一は考えていた。どうして人は、もっと幸せになれないのか。弱いからか、無知だからか、欲があるからか、いつかは老いてしまうからか。
     死を急ぐ人たちに対して、救助隊は「待て」と言い続けた。待つ手段はいくらでもある。休息をとる方法だっていくらでもある。ただ漠然とした生きる虚しさにも、相談に乗ってくれる専門家はいる。辛い現実から逃げるのは恥ではない。頑張る必要はどこにもない。とにかく寿命が来るのを待て。

    神様の言うところの「馬鹿な死に方」をしてしまったがために天国に行きそびれ、天国と地上との中間地点に放置されていた3人の男女。
    ここに来てから24年が経つという、元やくざの親分で最年長者の八木剛造。
    真面目でで気弱な中年男、市川春男。
    覇気のないうら若き美女、安西美晴。

    そしてたった今、崖をよじのぼってここに辿り着いたのは、東大受験に失敗し、自殺を図ったばかりの浪人生、高岡裕一。

    自殺した時代背景も、年齢もバラバラな4人の顔ぶれが揃ったところで、天上から現れた「神様」。
    「神様」が彼らに与えた指令は、自分たちが粗末にした命の償いとして、49日の間に100人の自殺志願者たちの命を救うということ。
    その指令を無事に果たし終えた時、彼ら4人は天国に行けるという。

    そして2003年の下界に、幽霊となって現れた4人は、神様から与えられた秘密道具を駆使して今にも自殺しそうな人間を探し出し、彼らの意識に入り込み、その苦しい胸の内をまざまざと見せ付けられることに…。

    一人目の救助対象者は、孤独に耐え切れなくなった、冴えない中年男小杉。
    とりあえず、アパートまでは後をつけてみたものの、幽霊となってしまった彼ら4人は、閉められたドアを開けることも出来ず…ただ見守るだけの彼らの眼前で、服毒自殺を図ろうとする小杉。

    なすすべもない4人の「幽霊人命救助隊」は、生きる気力を全く失くしてしまった小杉に、どのようにして再び生きる力を取り戻させ、命を救おうというのか…。

    〈天国に行けない霊たちがこの世に降りて、自殺志願者の命を救って救って救いまくる。
    「夕方までは死なないでください。僕たちが必ず助けてあげます」
     涙と笑いの波状攻撃、ここに炸裂!養老孟司氏推薦!〉だ、そうで。


    テーマは重いし、ページ数もかなりのものだけど、文体がなんとも軽くて読みやすいので、サクサクと読めてしまった。

    幽霊となった4人の生きていた時代背景の、ほんのちょっとのズレで、言葉が通じなかったり、懐かしい「死語」がいっぱい出てきたりで、なかなか笑えるし、自殺志願者達を救う作戦のネーミングが、また軽くて、「そ、そんな安直でいいのか…」という感じだけど、まあその「くささ」もツボと言えばツボだったりするし。

    救助対象者の年齢も小学生から、高齢者まで多岐にわたるし、その人たちの背景も、死にたくなる理由も、それぞれ納得してしまうし、「この世は、無責任な人ほど楽に生きられる」という裕一の不公平感もすごく良く分かる…(私は多分そっちかなと…)。

    「人と人との結びつき、心身の健康、そして経済」この三拍子が揃っていれば…というのも、確かにねと。

    『13階段』では、冒頭の死刑囚の心理部分が圧巻だと思ったけど、こちらは最後の50ページぐらいが秀逸で、思わず涙がこぼれてしまったし。

    そして養老さんの解説、これがまたなかなか面白かったりして、何だかとても得した気分になれたかも。

    こんなに上手くいくとは思わないけど、少なくとも知らないよりは、知っておいたほうがいいなと思えたことが沢山あって、これはなかなかのオススメ本かなと。
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        コメント
         神様の登場のしかたには思わず失笑でしたが、最後はなかなか良かったですかね。

         ところで先日、高野さんの顔を拝んできましたが(考えたら写真も見たこと無かったような)、は〜こんな人だったのね〜。
        higeruさん、こんばんわ(^^)
        最後のほう、こんなに感動するとは思いませんでした(^^;
        そして、なんとも羨ましいイベントがあるのですね〜。めちゃくちゃ羨ましいです(東野さん見たい!!!!)。近くなら、絶対行きたかった…。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/15 11:17 PM
        こんにちは。
        ちょっとしんどいですが、ユーモアある軽さが良かったです。
        この軽さがあざとい。やりすぎのような気もする。
        でも笑ってしまいました。
        最後はこう来きたか、とここでもやられました。
        しんちゃん、こんばんわ(^^)
        この軽さがなければ、とても重ーい本に(ぶ厚さもだけど)なってましたね。サクサク読めて、笑えるのに、最後には感動させられてしまう、このパターンはとても好きです。人にも薦めたくなる一冊でした。こんな時代だから、余計にかな。
        では、では。
        • uririn
        • 2008/06/23 9:41 PM
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        幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1)(2007/04)高野 和明商品詳細を見る 浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で三人の男女に出会った。スタミナあふ...
        • しんちゃんの買い物帳
        • 2008/06/11 11:41 AM
         初読み作家なら買わない厚さ(約600ページ)と胡散臭いタイトルだが、『13階段』を読んだことがあったのと、《養老孟司氏推薦!》という帯のコピーにつられて購入。  45分しかない昼休みに、会社から往復15分もかかる書店まで来て手ぶらで帰れるか〜、って理由もあ
        • higeruの大活字読書録
        • 2007/11/14 12:20 AM

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