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    『タルト・タタンの夢』近藤史恵

    タルト・タタンの夢Amazonで購入書評/ミステリ・サスペンス
    ★★★★★
    ……要するに、気心が知れたスタッフだけだから、安心してまかせて、自分は楽ができる、ということなのだろう。さすがに、スタッフが十人近くなれば、まかせっぱなしにしておくわけにはいかない。
    だが、たしかに小さな店だからこそ生まれる、お客さんとの親密な関係だとか、心地よさというものも存在する。
     この、事件とも呼べない小さな事件が起こったのも、〈パ・マル〉が小さい店だったからなのだ。

    下町の商店街の片隅にある小さなフレンチ・レストラン〈ビストロ・パ・マル〉。
    カウンター七席、テーブル五席、従業員はたったの四人。

    フランスの田舎町を転々とし修行を積んだという、風変わりで一見気難しい三舟シェフと、正統派フレンチの修行を積み、高給ホテルのメインダイニングで働いていたにもかかわらず、三舟の味に惚れ込み、自ら働かせて欲しいと〈ビストロ・パ・マル〉にやってきてサブに徹する、温厚な志村シェフ。

    思ったことを何でも俳句にしてしまう俳句好きで社交家の「紅一点」のソムリエ、金子さん。そして、この店で働き始めてまだ日の浅い、ギャルソンの「ぼく」こと高築。

    取材嫌いの三舟シェフのせいで、雑誌などには取り上げられないものの〈ビストロ・パ・マル〉は今日も予約で満杯で。

    そんな〈ビストロ・パ・マル〉の味に惚れ込んでやってくる常連客たちが抱える、料理にまつわる不思議な出来事の数々…。

    結婚間近の常連客、西田さんは婚約者のふるまってくれた手料理を食べてから、どうも腹の調子が良くないという。彼女も同じ料理を食べたはずなのに、何故彼だけが…『タルト・タタンの夢』

    あまりにも偏食が過ぎるために、粕屋さんからの予約の電話は受けないよう言い渡されていたにもかかわらず、予約を入れてしまった「ぼく」。食べられる食材の方が少ない粕屋さんのために、三舟シェフが特別に作った料理が、粕屋の連れの女性にとって「人生を変える料理」になったと言うのだが…『ロニョン・ド・ヴォーの決意』

    シャンソン歌手である志村シェフの奥さんに、クリスマスに店で歌ってもらうことを提案する三舟シェフと、どうしても奥さんを店に呼びたくない志村シェフが珍しく衝突することに。志村シェフの意外な抵抗の理由とは…『ガレット・デ・ロワの秘密』

    奥さんに出て行かれ、近ごろ一人で頻繁に店に来るようになった脇田さん。脇田さんには妻が出て行った理由がさっぱりわからないと言うのだが…『オッソ・イラティをめぐる不和』

    近ごろ三舟シェフお気に入りの商店街にある甘味屋〈はぎのや〉。プロからも誘いが来るほどだったという〈はぎのや〉の若旦那が、野球を諦め、結果店を継ぐことになった当時の不可解な事件の真相とは…『理不尽な酔っぱらい』

    出版社に勤める常連客が今度店に連れてくるという人気エッセイストのリクエスト料理は、彼女にとって「嫌な思い出」のはずの料理。彼女のエッセイにヒントを得、当時の味をそっくり再現してみると…『ぬけがらのカスレ』

    〈パ・マル〉で出すデザートを「まずい」と言い放ったのは、最近店を開いたばかりなのに、行列ができるほどの人気のチョコレート専門店のショコラティエ。試しに早速チョコレートを買いに行かされた「ぼく」。その店のチョコレートの詰め合わせは、何故か全て素数になっていて、その割り切れなさと、男の不遜な態度の裏にあったのは…『割り切れないチョコレート』

    「ビストロ・パ・マルへようこそ。
    客たちの巻き込まれた不思議な事件や不可解な出来事。
    その謎を解くのは、シェフ三舟。
    絶品料理と極上のミステリをご堪能あれ!」だ、そうで…。


    語り手である「ぼく」の存在感がちょっと薄いけど、主役はどうやら見た目もインパクトの強い、謎解き名人の三舟シェフ(というより、シェフの作る料理)みたいなので、それはそれで良いのか…(そもそも、食いしん坊な私は、謎解きよりも、食べたことのない名前も知らなかった料理にばかり気が行ってしまったし)。

    『タルト・タタンの夢』の、常連客西田さんのお腹を壊している理由は、「へー、あれでそんなことが…」と、ちょっと驚き(こんなことされたら堪らんなぁというか…)。

    『ロニョン・ド・ヴォーの決意』の、一見雑な料理の下ごしらえに隠された真実にも「なるほど…」と感心させられてしまったし、この物語の結末はなかなか辛口で好きかも。

    『オッソ・イラティをめぐる不和』の、奥さんが出て行った理由は、女の人ならものすごーーーく共感できると思える理由だし、男の人って、本当にこういうタイプ多いなと、この何でもないような理由の目のつけどころに感心。

    『割り切れないチョコレート』の、詰め合わせのチョコの数の割り切れない理由は、ものすごく優しくて、最後の締めくくりに相応しいお話で。

    いわゆる「日常の謎」系のお話なので、ちょっと地味な感じもするけど、「読書の秋」なのに読書力の落ちてきた最近の私には、ちょうど良いボリュームというか、ここに出てくる料理のように優しくて良かったなと(深く考えなくてもいいから、サクサク読めるし)。

    大好きな漫画『ザ・シェフ』っぽくもあり、ドラマ化されたら、結構見ごたえありそうな、とも。

    そして何より、最近読書よりも料理とお菓子作りに嵌っている私には「タルト・タタン」が、かなり気になるので、早速「クックパッド(ここの人気レシピで作った料理は、私でも簡単に美味しくできてしまうからすごい)」で調べて作ってみようかなと。

    そんな無謀なチャレンジ精神をかきたてられるほど、ものすごく美味しそうな一冊だったかな。


    JUGEMテーマ:読書
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        コメント
        uririnさん、こんにちは♪
        ご無沙汰です。お祝いコメントありがとう♪
        すっごく嬉しかったです!かなりローペースな更新になるけれどこれからもどうぞよろしくお願いします☆
        と、この本私のツボ押しまくりです。あぁ、読みたい本ばかりが増えていく・・
        特にタルトタタンの謎はぜひ知りたいですね。関係ないけど私も夫と食事をして夫だけが腹を壊すということがとても多いので(笑)お菓子と料理作ったらオススメ教えてくださいね〜

        musagoroさん、こんばんわ(^^)
        すくすく元気いっぱいですね。ほんとに自分のことのように嬉しいです(^^)幸せのおすそ分けしてもらった気分になってしまいました。私も最近はかなり更新が滞ってしまってます(^^;でも時々来てね。
        タルト・タタンはかなり難しそうなので、今週はシンプル焼りんごを作ろうかなと(大好物だし)。お料理上手なmusagoroさんに、あやかれるよう頑張りますね。では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/12 11:51 PM
        こんばんは。
        次々に出てくる料理、おいしそうでしたね。
        三舟シェフの謎解きも味わいがありました。
        タルト・タタン作られて、お味はいかがでした?。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        三舟シェフ自体が結構謎の人物というか、何でそんなに謎解きができてしまうのか?と。三舟シェフについてもっと知りたくなったのでシリーズ化してもらえたらなと思いました。
        タルト・タタンは、エネルギーの有り余っているときでないと作れなそうなので、お正月にでも頑張ってみます(^^;今週は、簡単に焼きりんごで我慢しました(りんご大好き)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/26 10:32 PM
        初めまして。
        いつも参考にさせてもらってます。
        読み逃げですみません(^-^;)
        この本は本当に秋にぴったりですよね♪
        fumikaさん、はじめまして(^^)
        いつも読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m
        参考にしていただけてとても嬉しいです。最近はぼちぼちやってますが、これからもよろしくお願いいたします。
        本当、食欲の秋にぴったりなお話で、続編も早く読まなければ(^^;
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/09/20 7:18 PM
        コメントする








           
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        タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)/近藤 史恵 ¥1,575 Amazon.co.jp 『タルト・タタンの夢』 近藤史恵(創元クライム・クラブ) 「下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。風変わりなシェフのつくる料理は、気取らない、本
        • りんごほっぺ
        • 2008/09/09 10:17 PM
        タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ) 近藤 史恵 JUGEMテーマ:読書 よく利用するイタリア料理のお店にとてもとても行きたくなる。 そんなとにかくおいしい、お腹も心も幸せになる短編「タルト・タタンの夢」 おいしい料理が出てくる本には目が無いのでu
        • 柚子すき毎日
        • 2007/12/26 2:29 PM
        タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)近藤 史恵 (2007/10)東京創元社 この商品の詳細を見る ビストロ・パ・マルは、カウンターが七席、テーブルが五つという、予約でほぼ埋まって...
        • しんちゃんの買い物帳
        • 2007/12/15 11:52 PM
        タルト・タタンの夢 この本は、Ciel Bleuの四季さんの記事を見て読んでみました。ありがとうございました。 ■やぎっちょ書評 何が気になったって、フランスの家庭料理がものすごい最近気になっているんです。ビストロとかブラッセリー。高級おフレンチではなくて、
        • "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
        • 2007/12/07 10:32 PM
        ブックデザインは緒方修一。カバーイラスト・デザインは谷山彩子、本山木犀。初出「ミステリーズ!」。創元クライム・クラブ。連作短編集。 下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル(悪くない)。風変わりな三舟
        • 粋な提案
        • 2007/11/21 2:51 AM

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