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    『ボーイズ・ビー』桂望実

    ボーイズ・ビー (幻冬舎文庫 か 23-1)
    ボーイズ・ビー (幻冬舎文庫 か 23-1)
    桂 望実 2007/10/10文庫化 幻冬社文庫 P.264 ¥520
    ★★★★★
    「僕も本当はよくわかってないんだ。死ってこと。」
    ……
    「二度と会えないってことはわかってるけど――直也が目を閉じて母さんと話したって聞いて、同じことをやってみるんだけど話せなくって。直也はかわいがられてたからかなって、ちょっと羨ましかったんだ。僕が母さんを焼くのをやめてって父さんに言ったとき――母さんは心のなかにずっと生きているんだからって言われた。それもよくわからなかった。心のなかに生きてるってどういうこと?」

    歳のせいなのか、昔のように納得のいく靴が作れなくなった自分に苛立ち、アトリエを構える同じビル内で働く仲間にも悪態をつき、面倒な他人との関わりを極力避けて生きる孤独で頑固な靴職人、園田栄造、70歳。

    栄造のアトリエのあるビル内の絵画教室に通う小一の弟直也の帰りを、一人宿題をしながら栄造の部屋の前で待つうちに、いつしかアトリエ内への出入りを許されるようになった小学6年生の隼人。

    この夏、母親を病気で失ってからは、消防士として忙しく働く父親に心配をかけまいと、母親代わりに甲斐甲斐しく弟の面倒を見、自分自身の寂しさは後にする隼人の健気さに、誰も寄せ付けようとしなかった頑なな栄造の心も次第にほぐれてゆき、父親にも誰にも相談できないことを栄造に話すうち、隼人にとっても栄造の存在が頼もしくなっていくことに…。

    そして、まだ母親の「死」を理解できず、母親の姿を追い求める幼い弟のために心をくだく隼人と深く関わるうちに、気がつけば栄造のアトリエには、これまで寄せ付けなかった人々までもが集まるようになってきて…。

    「出会うはずのない二人、出会っても通じ合うはずのない二人。
     そんな彼らが、徐々に心を通わせていく。衝突を通して成長する二人の姿が胸を打つ感動のロングセラー。年齢差58歳の、不器用な友情。」だ、そうで。


    これまで読んだ桂さんの中で一番好き、大好き(『死日記』は、絶対忘れられない本だけど、これはまた、心の別の場所を鷲掴みされたというか…)。

    プリンの作り方一つで、そこまで少年の心の変化をうまく描けるかと、桂さんの少年の心理描写の上手さにつくづく惚れぼれ。
    70歳でアルファロメオを乗りこなし、お洒落にも気を抜かない栄造さんにも惚れぼれしてしまったし。

    利発な少年と頑固な老人…このパターンは、大好きな宮部さんもお得意なところだけど、この物語では、二人がちょっとダメダメなところが、より身近に感じられると言うか、愛しくなるというか。

    ダメダメで人間味溢れる二人が、お互いの存在を認め合ってお互いに成長(?)していく姿が、何とも微笑ましくて、本当に素敵な物語。

    栄造の生い立ちも、隼人の学校での話も、どちらも胸を打つお話で良く出来てるし…読み終わるのが寂しいと、久々に思わせてもらえる物語に出会えて良かったなと。

    人はひとりぼっちでは生きられないということ、そして自分自身が優しくなれれば、他人も自分に優しくなるというようなことを、改めて教えられるような、とてもためになるお話でもあったのかも。

    これを読み終わってしまって、明日から読む本がないから本屋さんで探してみたけど、どの本にも全くそそられなくて(文庫のみだけど)…こんなの初めてなので自分自身に驚愕してしまった。
    それくらい、これ良すぎたかも。

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        コメント
        uririnさん
        おおお。これは期待度大ですね。ご紹介くださってありがとうございました。買ってみますね★

        実は9月10月はよく京都に行ってました。
        それももう打ち止めになっちゃったけど。。。
        栄蔵さんの頑なさが最初凄くいやでしたね。
        なんでここまで?って思いましたが、
        その頑なさを解していった二人の少年。
        その栄蔵さんの内面の変化が
        読んでいて心地よかったですね。
        uririnさん こんばんは。
        読みました〜。ほんまにええお話でした。
        少年の戸惑いや怒り、悲しさ、淋しさが
        うまく描かれていましたね。

        ふむふむ。『死日記』もいいのですか。
        早速読んでみま〜す。
        • naru
        • 2007/11/05 7:51 PM
        こんばんわ。
        私も桂望実大好きです。
        > 読み終わるのが寂しい
        ってこの気持ち凄くわかります。
        死日記は残りページ数が少なくなることが逆の意味で哀しかったけど。
        違う種類の涙を教えてくれる作家さんですよね。
        やぎっちょさん、こんばんわ(^^)
        これはきっとやぎっちょさん好みかなと勝手に思ってしまいました(違ってたらごめんね)。
        京都に来るのなんで打ち止めになっちゃったの?そんな残念な…。
        • uririn
        • 2007/11/06 12:20 AM
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        いくつになっても、人の心は変われるのだなというか、栄造さん、もともと心の優しい人だと思うので、何だかこの交流は本当に癒されてしまいました。にしても、桂さん、少年の心理の描き方お上手ですね。父親に対する気持ちが絶妙だと思いました(想像すると、きっとこんなんだろうなというか…)。桂さんは、次回作も本当に楽しみな作家さんです。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/06 12:27 AM
        naruさん、こんばんわ(^^)
        これは絶品でしたね。なんでこんなに少年の気持ちが解るんだろうというか、母親の双子の妹への気持ちとか、何かものすごく真実っぽいというか…子供ってきっとこういう時、こう思うんだろうなぁと思わされてしまいました。
        『死日記』は、読んだ後もしばらく涙してしまうほど、悲しくなってしまうお話(本当にあった話だったから余計にかな)でした。すごくお薦めです。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/06 12:35 AM
        さくらさん、こんばんわ(^^)
        >死日記は残りページ数が少なくなることが逆の意味で哀しかった
        私も、さくらさんのこの気持ちすごくわかります。思い出しても、母親への怒りがこみあげてくるし…。昨今のどんな「泣かせる」小説よりも泣いた記憶が…。
        桂さん、次回作も楽しみです。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/06 12:40 AM
        uririnさんこんにちは♪
        恵文社の記事UPしちゃいました。あんまりよく覚えていなかったりして・・・(笑)

        良かったら読んでみてくださいね〜。
        http://blog.livedoor.jp/honblo/

        この本も近々読みますので、終わったらまた現れます!ではでは★
        やぎっちょさん、こんばんわ(^^)
        約束を果たせずで、本当にごめんね(^^;
        表からしか見たことなかったから、普通の本は置いてないのかと(海外の絵本とかそういうのばっかりかと思ってました)。
        素敵なお店ですね(トイレ以外…)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/15 11:21 PM
        uririnさんこんばんは♪
        読みました〜♪ご紹介くださってありがとうございました!!
        いいお話というのはもちろんですが、隼人があまりに抱え込むのでちょっと辛くなってしまいました。(それ以上に父親に腹たった!)
        でもこういう友情の形っていいですよね。好きだなぁ。宮部さんもそういう設定多かったでしたっけ?あ、でもミステリーよりもこういうお話でこの設定がいいですよね★
        やぎっちょさん、こんばんわ(^^)
        早速読んでいただけて嬉しいです(^^)。
        (でも、いまひとつだったかな(^^;)。そういえばお父さん、影薄かったというか、隼人君は子供なのにいろんなもん抱えすぎでしたね。なので、栄蔵さんの存在がとても頼もしくて好ましかったです。おされだしね。理想の年の取り方というか…大好きなキャラでした。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/21 12:56 AM
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        ボーイズ・ビー この本はほんだらけのuririnさん、気楽に♪気ままに♪のんびりと♪のゆきさんにお勧めいただきました。ありがとうございました。 ■やぎっちょ書評 表紙がキレイですね。 主人公は小学生の隼人。お母さんを亡くしたところで父と弟(小1)の直也がい
        • "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
        • 2007/11/20 10:03 PM
        この夏、ママを亡くした小学6年生の隼人。弟、直也6歳、小学1年生。直也はまだママが「死んだ」ということがわかっていない。消防士のパパは夜勤が多い。隼人が直也の面倒を見なければならない。隼人には泣いてる暇はない。
        • My Favorite Books
        • 2007/11/04 11:26 AM

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