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    『映画篇』金城一紀

    映画篇
    映画篇
    金城 一紀 2007/7/30 集英社 P.363 ¥1,470
    ★★★★★
    でも、何よりも大切なことを話そうとすると、いつだって言葉は僕の口をすり抜け、音にならないままどこかに消えてしまう。僕はいつでも拙い話し方のせいで大切な言葉がうまく伝わらずに、にせものの響きが宿ってしまうのを恐れた。そんな臆病な僕が、一度だって龍一を救えたはずはなかった。誰よりも身近で、誰よりも最初に救わなくてはいけない存在だったはずなのに。             〜『太陽がいっぱい』より〜

    デビュー小説が映画化されることになり、撮影現場を訪れた原作者の「僕」は、そこで撮影スタッフとして働く、懐かしい同級生と再会することに。
    特別に親しい間柄ではなかったその女性に、一番聞きたかったこと「龍一はどうしてる」の言葉を言えずにいた「僕」。
    そんな「僕」に彼女がぜひとも渡したいというのは、かつて「龍一」にやったはずの「ブルース・リー」のブロマイド。
    奇妙な縁で繋がった中学生の頃、一緒に映画を見倒し、夜が更けるまで川辺で感想を熱く語り合った「龍一」との過去と、疎遠になってしまった、それからと…『太陽がいっぱい』

    理由も分からず夫が自殺した後、マンションの一室に引き篭もり電話線も抜いたままにしていた「わたし」が、心配のあまり手紙を寄越した母親に促され電話線を繋ぐとすぐにかかってきたのは、ずっと掛け続けていたという、レンタルビデオ店からの督促の電話。
    夫が自殺したその日に借りてきたビデオを返却するために数ヶ月ぶりに外に出た「わたし」に、アルバイトの店員が渡してくれたのは、彼のお薦めだというコメディ映画。
    その日から、「わたし」はビデオ店に通うようになり…『ドラゴン怒りの鉄拳』

    初めて会話を交わした日を境に学校に来なくなった、「席が隣なだけ」だったはずのクラスメイトから突然映画に誘われた「ぼく」。
    その日は彼女の誕生日だと打ち明けられ、そして彼女の父親から大金を強奪するという計画を打ち明けられた「ぼく」は、「ぼく」自身のために彼女の計画に乗ることに…『恋のためらい/フランキーとジョニーもしくは トゥルー・ロマンス』

    夏休みの自由研究用の映画を借りに出かけたレンタルビデオ店の前で、クラスのいじめっ子たちに取り囲まれた小学生の「ぼく」を救ってくれたのは、全身黒ずくめの女ライダー。
    映画の主人公のような女性を想像した「ぼく」の前でヘルメットの中から現れたのは、真ん丸えびす顔でパンチパーマの、中年のおばちゃんライダー…『ペイルライダー』

    60年連れ添った連れ合いに先立たれた後、息子にも先に逝かれてしまい、すっかり「だいじょうぶオーラ」を失くしてしまった「ぼく」たち五人の孫の大切なおばあちゃん。
    おじいちゃんの一周忌の法要に集まった「ぼく」たち五人は、「ぼく」たちの避難場所的隠れ家でもあるおばあちゃんの家の存続を守るために、おばあちゃんに元気を取り戻してもらおうと、おばあちゃんとおじいちゃんの楽しかった思い出を蘇らせるという計画を立てるのだが…『愛の泉』

    「友情、正義、ロマンス、復讐、
     そして、
    笑いと感動――。
    五つの物語の力が、あなたを救う。現実よ、物語の力にひれ伏せ。
     金城一紀の最高傑作
     今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった完全無欠のエンターテイメント!」だ、そうで。


    8月31日に区民会館大ホールで上映される、入場無料の『ローマの休日』というのが物語のキーワードというか、それを軸にそれぞれの物語がうまく繋がっていて、最後に「あ〜、そういうことか…」と。
    そしてまた、最後の最後のオチがなんとも良くて…。

    金城さんとは同年代だから、ここに出てくる映画の多くは「懐かしい〜」と思わず声に出してしまうほど懐かしくて、忘れてた記憶も蘇ってきて、ついでにその頃の感傷に耽ったりなんかして、読むのにものすごく時間がかかってしまった。

    初めて見た映画とか、初めてデートで行った映画とか、大好きだった映画とか、大好きだった俳優さん(特に、スティーブ・マックィーンとか、リバー・フェニックス!)とか、とにかくいろんな「映画」に纏わるあらゆることどもが頭をぐるぐる巡って、脳みそがパンクしそうなくらいに、一気に色んなこと思い出せたというか(最近記憶力が乏しくなってるなぁと実感していたので、余計に嬉しくなってしまって…)。

    お話の方は、最初の『太陽がいっぱい』(アラン・ドロンと言えば当時の男前の代名詞みたいなもんだったなぁと…)の友情物語は、金城さん自身の話なのかな?と思える話で、良い意味で裏切られたし、『ドラゴン怒りの鉄拳』(子供の頃、自家製ヌンチャク作って振りまわしてたなぁと…)の10代の頃のような恋愛の始まりもちょっと可愛くて良かったし。

    『恋のためらい/フランキーとジョニーもしくは トゥルー・ロマンス』と『ペイルライダー』(大好きなクリント・イーストウッドが、うちの父親と同い年と知って愕然としたなぁとか…)は、話の途中から意外と重い話になって愕然としてしまった。

    そして何といってもラストの『愛の泉』のおばあちゃんとおじいちゃんのエピソードがすごーーーーく好き。
    おばあちゃん思いの孫達も良いし、孫からこんだけ慕われるおばあちゃんのキャラも良いし、60年連れ添っても、おじいちゃんを好きでい続けるおばあちゃんが本当に可愛くて、私もこうありたいと心から思ってしまった。

    「アホアホパワー」のケン坊はじめ、五人の孫のキャラも良いし。

    そして『ローマの休日』、これはもう何十回と見ても全く飽きないし、面白いし、オードリ・ヘップバーンは可愛いし綺麗だし、グレゴリー・ペック(うちの母親の理想の男性だったそうで…)は渋いし、男前だし…こんなに美しくて切ない映画は後にも先にも見たことないかも。

    アン王女の記者会見での「ローマ」の言葉…ここでは拍手喝さいだったけど、私はいつもここで涙がどっと出てしまったりするし…。
    思い出しても、やっぱりものすごく切ない……本当に切ない…。

    唯一、どのお話の中でもクソみそに言われていたくだらないフランス映画、てっきり『エマニエル夫人』かと思ったら、そうではないみたいだし、うーん、それもとても気になる…。
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        コメント
        こんばんは。
        懐かしかったですね〜!。
        まさに、記事の通り“脳みそがパンクしそうなくらいに、一気に色んなこと思い出せた”でした!。
        映画好きな私たち…もしお会いしたら徹夜で映画のお話をしそうですね。
        それぞれの短編もメリハリがありました。
        『ローマの休日』の記者会見での言葉、どの都市が一番気に入りましたか?の質問への答え方、
        子供の頃は拍手喝さいでしたけど、アン王女の気持ちまでわかる年頃になると切なさも。

        ところで、あれって『エマニエル夫人』じゃないんですか?。なんだろう?。気になります。
        どの映画も見てません。
        あの『ローマの休日』でさえも。
        でも、映画知らなくても本編は楽しく読めました。
        『ペイルライダー』のパンチパーマのおばちゃんに
        感情移入しまくりでした。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        あら意外!『ローマの休日』は、うちの高校生の男の子もテレビでやってたのを見て、「感動した」と、すぐにヘップバーンのポスターを買ってたくらいに、年代を超えて、時代を経ても全く色褪せない作品です。す〜さんなら好きそうなのに(^^)
        『ペイルライダー』のおばちゃんは、強くてかっこ良かったですね。女なら、みんなそういう目に遭わされたら、こんな風に強くなるのかもと思えました。でも、ちょっと残酷すぎるお話でした…。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/09/07 12:30 AM
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        では、いつか夜を徹して語り明かしましょう(^^)
        映画とか音楽って、その作品に触れると、すぐさまその時の記憶が蘇ってくるのがすごいですね。『ローマの休日』は、各年代で見てるのですが、確かに切なくなったのは、大人になってからかも。そういう気持ちを知ってしまったからなんでしょうね(^^;
        そして、やっぱりあれは『エマニエル夫人』かな?あれってそんなに絶賛されて何か賞獲ってたっけ?そこだけが疑問で…。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/09/07 12:36 AM
        こんばんは。
        とっても良かったです♪

        ひとつひとつのお話も良かったのに、全体を通してオチまであってそれが気持ちよく決まってるなんですごい贅沢な本!

        映画が見たくなりました。
        こんにちわ。
        「ドラゴン怒りの鉄拳」は面白そうですね。
        この映画が好きな人は、ヒーローものの真髄が分かっている気がします(←大げさな)。ブルースリーのなかでは個人的に一番好きな映画です。
        「ローマの休日」のラストの場面、、いいですね。
        記者のグレゴリーペックと対面したときのヘップバーンの表情といい、セリフといい、、昔の監督は凄い名作をつくったんだなとしみじみ感じます。
        秋らしくなってきたので、映画を見たり、何故かジクソーパズルがやりたくなる今日このごろです。
        ちきちきさん、こんばんわ(^^)
        久々の金城さん、とても堪能できました。最後のオチは本当良かったし、ここにでてくるおばあちゃんやおじいちゃんみたいに、一途にいつまでも人を好きになれたらいいなと強く思いました。
        そして、私も久しぶりに「ローマの休日」見たくなりました。に、しても、「ローマ」の映画って…?
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/09/10 11:28 PM
        タジイさん、こんばんわ(^^)
        ブルース・リーのは、ずっと昔に全作見た記憶があるのですが、タイトルははっきりとどれがどれとは覚えてなくて…もう一度見直そうかなと。
        夜は本当に涼しくなってきましたね。読書もいいけど、ジグソーパズルも良いですね(^^)。私の部屋にはムンクの「叫び」の1000ピースの完成品が飾ってあります。これ良いですよ〜。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/09/10 11:42 PM
        uririnさん おひさしです♪
        映画好きにはたまらない作品でしたよね。
        ラストも爽やかだし。
        私もマックイーン大好き!!!!!!
        例のフランス映画、トップガンの頃のカンヌ
        って書いてたので、調べたけど、やっぱり
        架空の作品ではないかと...。
        どう読んでもエマニエルっぽいけど(笑)
        • naru
        • 2007/10/05 8:21 PM
        naruさん、こんばんわ(^^)
        本当にこのラストは良かった!!!
        マックイーンは本当に渋くて男前で、格好良いですよね〜。最近の俳優さんには全く興味が持てないのだけど…。あと、ユル=ブリンナーも大好き(^^)。
        そして、やっぱり「エマニエル夫人」以外考えられないですよね〜。うーん、あの籐の椅子に足組んでるポーズ、今もしっかり脳裏にやきついてるんだけど…(もちろん当時は子供だったので、中身は良く知らないけど(^^;)
        では、では〜。

        • uririn
        • 2007/10/06 1:23 AM
        こんばんわ^^TBさせていただきました。
        私は「ローマの休日」を観た事がないんです^^;
        すみません、ごめんなさい。
        感動的な話でしたよね。
        最後の最後で全てがひとつに繋がる所は流石ですよね。
        映画を観たくなりました。
        • 苗坊
        • 2007/11/18 12:28 AM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        「ローマの休日」は、母親がとても好きな映画だそうで、子供の頃から話を聞かされてるうちに、私もオードリ・ヘップバーンやグレゴリー・ペックが大好きになってしまったのです(^^;遺伝子かも。
        ものすごく切なくなってしまう映画だけど、苗坊さん好みだと思うので是非是非。
        ついでに、金城さんと岡田君の『SP』も面白いですね(^^)。では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/21 12:51 AM
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        映画篇 オススメ! 「太陽がいっぱい」 僕のデビュー小説の映画化が決まり、撮影現場を訪れた時、一人の女性に話しかけられた。彼女は懐かしい僕の本名を呼び、自分は「永花(ヨンファ)」だと名乗った。「ドラゴン怒りの鉄拳」 買い物から帰ってきたら夫が自殺して
        • 苗坊の読書日記
        • 2007/11/18 12:18 AM
        映画がきっかけで友達ができる。恋が始まる。人生が変わる。ちょっと大人になる。幸せになる。そんな人々の姿を描いた中篇5作を収載。 映画篇(2007/07)金城 一紀商品詳細を見る ...
        • ぱんどらの本箱
        • 2007/09/12 1:49 PM
        物語の力が弾ける傑作!! 笑いと感動で胸が温かくなる傑作ぞろいの作品集。『ローマの休日』『太陽がいっぱい』など不朽の名作をモチーフに、映画がきっかけで出会った人々の友情や愛を描く。 集英社HPより 待ちに待った金城一紀の新刊は、映画をモチーフにした
        • ぼちぼち
        • 2007/09/09 10:58 PM
        映画篇金城 一紀 (2007/07)集英社 この商品の詳細を見る 映画をモチーフにした5篇が収録。その元になった映画は5作中1作しか観ていませんが、そんなのは関係なかったです。ちなみに観たことあるのは「ドラゴン怒りの鉄
        • しんちゃんの買い物帳
        • 2007/09/06 4:49 PM
        初金城一紀でした。 この作品に出てくる映画・・・ どれも見たことないんだよね〜。 唯一、『ローマの休日』だけは知ってるけど、 ちゃんと見た記憶がない・・・。 まぁ、それは抜きにしても楽しめる作品でした。
        • My Favorite Books
        • 2007/09/05 8:22 PM
        扉画は鴨居まさね。装丁は岩瀬聡。書き下ろし短編集。 太陽がいっぱい:作家になった僕と永花の再会。甦る龍一との映画の日々。…再生。 ドラゴン怒りの鉄拳:夫を喪った主婦のわたしとビデオ店員鳴海との交流。…決意。 恋
        • 粋な提案
        • 2007/09/05 4:22 AM

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