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    『残虐記』桐野夏生

    残虐記 (新潮文庫 き 21-5)
    残虐記 (新潮文庫 き 21-5)
    桐野 夏生 2007/8/1文庫化 新潮社 P.244 ¥420
    ★★★★★
    ……私はその時も屈辱を感じた。皆が勝手に私を思い遣り、どんなことをされたのか、好きなように想像するのだ。子供にそんな複雑な感情がわかるのか、という質問は意味がない。子供ほど屈辱に敏感な存在はないのだ。屈辱を受けても晴らす術を持たないからである。

    10歳の頃、稽古事の帰り道に見ず知らずの男によって連れ去られ、男の働く工場の二階にある男の部屋で、一年間もの監禁生活を強いられたという経験を持つ、作家の小海鳴海、本名北村景子。

    16歳で作家としてデビューし、ペンネームで活躍する彼女の元に事件から二十数年後に届いた、犯人からの稚拙な手紙。

    犯人からの手紙を受け取った後、彼女は突然失踪してしまい、そこに残されていたのは『残虐記』とタイトルの付された一編の小説。

    そこには、これは事件当時の記憶の検証と、その後の自分自身に対する考察であると言及し、この小説が誰の目にも触れられないようにと記されていたのだが……。

    「私を監禁したケンジと真実に死を。作家は事件を巡る衝撃の手記を残して消えた。
    誰にも明かされない真実をめぐって少女に注がれた隠微な視線、幾重にも重なり合った虚構と現実の姿を、独創的なリアリズムを駆使して描出した傑作長篇 柴田錬三郎賞受賞作品!」だ、そうで。


    内容とか全然知らなくて、ただ桐野さんのが文庫化されたから、と手にしてしまったけど…うーん、これはちょっと理解に苦しむかも。

    もちろんこれはフィクションだけど、やっぱりあの事件を思い出させるわけで、読んでいてあまり良い気はしないというか…。

    ただ、物語として読めば、事件の後も周囲の好奇の目に晒され、無邪気な子供でいられなくなってしまった少女の失ってしまった「現実」というものや、少女が絶望の淵に立たされる「毒の夢の行き着く先」の描かれ方の部分は圧巻で…。

    「十歳の女の子を拉致するほどの欲望」というのは、私にも全く想像し得ないし、なんでそこまで自分の欲望を満たすことしか考えられない人間が存在するのかが(男の人からすればたいしたことないのかもしれないけど、痴漢にしてもそう)理解できないし、そういう犯罪がこの世から消えてなくなってほしいとただ、ただ思うばかりで…。

    アマゾンのレビューでは、結構非難もされていたし、読み手を選ぶ本かもしれないなと。
    ただ、桐野さんのインタビューを読んで、この本を読んだことを後悔したこと、ちょっと撤回する気になったかも。
    以下、その記事を抜粋させていただきました。

    主人公の少女は大人の男の欲望にぶち当たり、それがどういうものなのかを想像します。つまり、自分にはない欲望について想像するのです。想像力がなくて欲望だけある人は、ある意味で犯罪者だと思うのですが、想像力を働かせるという方法こそ、想像力を持たず欲望だけがある人物と戦う手段になりえるんじゃないか、と思いました。そして、欲望に取り囲まれ、肉体的にも精神的にも奪われるのは常に弱い者――男性よりも、やはり女性や子どもであると思うのです。その闘争が残虐なのです……
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        コメント
        こんにちは。TBさせていただきました。
        文庫化されていたんですね。知らなかった・・・
        私も読んだ事を後悔しました^^;
        桐野さんの作品は初めてだったんです。
        この作品以来読んでないです、そういえば・・・。
        でも確かに、桐野さんのインタビューの言葉はなるほどなと思います。
        • 苗坊
        • 2007/09/01 12:12 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        インタビューの記事は、本当に納得なんだけど、この本自体は、こんなの有り得ないって言うか、そんなに美化してしまってはいかんだろうと…。
        でも、桐野さんは読んでしまう作家さんの一人なのです。かなりダークだけどね。短編集とか、苗坊さん好みのもありそうでなかなかお薦めですよ(^^)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/09/04 12:25 AM
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