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    『かび』山本甲士

    かび (小学館文庫)
    かび (小学館文庫)
    山本 甲士 2006/7/1文庫化 小学館 P.435 ¥690
    ★★★★★
     仮に、労災の認定を取るために闘えばどうなるのか。ヤサカは当然のことながら労災にはならないと主張し、訴訟に持ち込まれる。……そして十年越しの争いに勝って、マスコミからマイクを向けられて「長い闘いでした。やっと春が来たという感じです」などとコメントする。そのとき、自分は何歳になっているのだ。それまでの間、どうやって食べていくのか。
     とんでもないことだと思った。そんなことをして世間からほめられたくはない。
     ではどうする?

    化学製品を取り扱う中では、最大手の企業「株式会社ヤサカ」の本社や関連工場が立ち並ぶ企業城下町、八阪市で「ヤサカ」グループの恩恵に与りながら何不自由なく暮らしていた35歳の主婦、伊崎友希江。

    「ヤサカ」の研究所で研究員として働く夫との夫婦仲はとっくに冷め切り、4歳になる娘を可愛がるあまり何かと干渉してくる義母や、日常の些細なことに不満を溜め込みつつも、できるだけ周囲との摩擦を避け、つつがなく暮らす小市民、友希江を襲った突然の不幸…。

    夫、文則が勤務中に脳梗塞で倒れてしまい、会社での激務が原因ではないかと考える友希江をうまくいいくるめ、会社側はある提案を持ちかける。

    退院の目途もたたない夫を、体よく厄介払いをしようとする会社側の態度に不信感を覚えた友希江は、思い切って新聞社に投稿してみることに。

    ところが「ヤサカ」の権力をもって当然の如く友希江の些細な反乱は握り潰され、友希江の兄妹たちの職場にまで圧力をかけられてしまい、友人にも手ひどい裏切りに合ってしまう。

    パート先でも諍いを起こし、クビになった友希江は次第に「薬」に依存するようになり、とうとう常軌を逸した復讐に手を染めることに…。

    『もう我慢はしない!
    「身体を壊すまで働かせて、後はさいならですか」
    倒れた夫に代わって、主婦たったひとりで大企業に「宣戦布告」!
    人間誰しもが孕む狂気を、緻密に描き出す「巻き込まれ型小説」の傑作、ついに文庫化!』だ、そうで。


    以前、す〜さんのブログで見かけて、奥田さんの『邪魔』のような「壊れていく主婦」というのが気になって…本屋さんでわざわざお取り寄せしてもらってしまった(Amazonでも良かったけど、送料無料にしようと、ついつい買いすぎてしまうので…)。

    舞台が大阪で、大阪弁というのも、ちょっと迫力倍増なのかも。
    娘の幼稚園での他の父兄との諍いの際に心の中でつく悪態なんかは、いかにもだし、ねちっこいし、えげつないし…。

    友人との罵り合い(専業主婦VSキャリアウーマンの図式)も、本音も、良くわかるなぁと。

    まあ依存する「薬」というのも、いわゆるそういうのじゃなくて、そこら辺にあるようなものなんだけど、そんなになってしまうものなのかと…(あくまでも友希江は飲みすぎなんだけど)。

    その常軌を逸した壊れっぷりは、本当に怖いし、普通に犯罪だし、よく普通の主婦がこんな恐ろしくて手の込んだこと(あっちこっち行ったり、お金もかかるし、考えただけでも面倒くさいのに)考え付いたなぁと、ある意味感心してしまった。

    でも、それだけ追い詰められてしまって、ここまでやるとは天晴れなのかもとも(強いというか、恐いというか何というか)。

    こんなこと、どこの企業でもありそうなことだし、泣き寝入りしてる人がほとんどなんだろうなと(確かに裁判とかになったら、時間もお金もかかるし、その間どうやって生活すればいいのやらと、他人ごとながら考えたことあるし)。

    まあ、ここまでは誰もやろうとは思わないだろうし、真似はできないだろうけど、その手口のせこさというか、そこから狙うかというのが、いかに大企業の社長でも、泣き所があるというのがなかなか面白かったかな。

    ラストまで気を抜けないのも、うーん…なかなか好きな終わり方かも。

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        コメント
        いや、気にしてもらってよかったです。
        これはかなり怖い物語でした。
        平凡な毎日ってちょっとしたことで
        壊れていくんだな、って思い知らされました。
        人が狂気に走っていく過程が怖かった。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        狂気の前例(夫の浮気相手)も、なかなか怖かったですね。それに、そんな簡単に教えられてすぐに出来る技術というのも、なかなかすごい。
        山本甲士さんの作品、結構つぼに嵌るので、これからも読もうかなと(「三丁目の夕日」のノベライズ本は意外だけど、漫画と映画はとても好きなので、それも読もうかなと。続編も出たらそっちから)。また参考にさせてもらっちゃいますね。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/08/24 11:56 PM
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        これは・・・ 普通の主婦だったはずが・・・ 日々の小さなことに不満を抱きつつも でも自分は普通の主婦だと思っていた・・・。 なのに、 夫の病気が引き金になり、 少しずつおかしくなっていく。 自分でも気付かな
        • My Favorite Books
        • 2007/08/23 8:05 PM

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