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    『青い鳥』重松清

    青い鳥
    青い鳥
    重松 清 2007/7/20発行 新潮社 P.325 ¥1,680
    ★★★★★
    ……うまくしゃべれないっていうのは。つらいんだ。自分の思いが。伝えられないっていうのは、ひとりぼっちになるって。ことなんだ。言葉が。つっかえなくても。自分の思いが。伝えられなくて、わかってもらえなくて。誰とも。つながっていないと思う。子は、ひとりぼっちなんだよ、やっぱり。
     でもなぁ、ひとりぼっちが二人いれば、それはもう、ひとりぼっちじゃないんじゃないか、って先生は思うんだよなあ。
     先生は、ひとりぼっちの。子の。そばにいる、もう一人の、ひとりぼっちになりたいんだ。だから、先生は、先生をやってるんだ。   〜『進路は北へ』より〜

    国語の先生、なのに上手くしゃべれない村内先生。
    「タ行」と「カ行」と濁音は全部だめで、特に緊張すると言葉の最初がつっかえてしまって、生徒達からは陰で馬鹿にされ、迷惑がられてしまう。

    上手くしゃべれないから、「たいせつ」なことしか話さない村内先生。

    そんな村内先生は、非常勤講師として赴く先々の中学校で、ひとりぼっちの子のそばに寄り添い、こう話す。
    「間に合ってよかった――」と。

    学校以外の場所では普通に話すことができるのに、クラスでは声を出せない「場面緘黙症」の女の子…『ハンカチ』

    担任に重症を負わせ、3ヶ月ぶりに学校に戻ってきたものの、自分の居場所を見つけられない男の子…『ひむりーる独唱』

    交通事故の加害者となってしまった父親の心の痛みを側で感じる女の子…『おまもり』

    自分たちせいで自殺を図った友達へのいじめの罪を背負わされていることに耐えられない男の子…『青い鳥』

    クラスの女王さまのように振舞う友達の側にはべり、いつも顔色を伺っている女の子…『静かな楽隊』

    突然父親を失い仕方なく公立に転校してきた、勉強も運動もクラスのトップで医師になることを目指している男の子…『拝啓ねずみ大王さま』

    大学までエスカレーター式の私学に通いながらも、高校受験をすると言い出して担任を困惑させる女の子…『進路は北へ』

    そして、村内先生を「恩師」と慕う、かつての「ひとりぼっち」だった青年の物語…『カッコウの卵』 

    『そばに、いるんだ。
    「ひとりぼっち」になってしまった人へ―― 
    涙を超えたほんものの感動に出会う(孤独と希望)の物語。』だ、そうで。


    やっぱり重松さんは「いじめ」とか「少年犯罪」とか「虐待」とか、小中学生のそういうの書かせたら天下一品だなぁと(なんで、こんなにその子たちの気持ちが分かるのかが不思議なくらいに…)。
    そして、重いし。

    吃音の村内先生のことを、中学生達が冷ややかな目で見てるのも、ある意味残酷な年頃なので仕方ないんだろうし(寂しいことだけど)、自分が中学生だったらどうしてたかなと考えるけど、もうあの頃の気持ちには戻れないし、あの頃の気持ちは理解できないので、何とも…今なら、良くしゃべる人(特に男の口先だけ上手い人は大嫌い)より、無口な人の言葉の方がたいせつで、側に居て安心できること分かってきたので、村内先生とも仲良くなれそうだけど…。

    なので、村内先生を必要とする子どもたちだけにでも、ちゃんと村内先生がそこに居る意味が伝わったことが、本気でしゃべる村内先生の言葉が届いたことが、本当にものすごく嬉しくて何度も涙してしまった(『カシオペアの丘』よりも、私にはこっちの方が涙のつぼかな)。

    上手くしゃべれなくても、「たいせつ」なことを一生懸命に相手に伝えようとする気持ちさえあれば、伝えたいことがあるならば、それが伝わる相手は必ずいてくれると思いたいし、せめて人の気持ちをふみにじらない人間になりたいなと。

    装丁の鳥篭も綺麗だけど意味深だし…これは是非、「ひとりぼっち」を感じてない子でも、感じてる子でも、現役の中学生に読んでもらいたい極上の物語だなと。

    に、しても学校の黒板の向きにそんな深い意味があったとは…まったく気付かなかったし、全国の生徒がみんなそっち向いてるって想像すると、ちょっと変な感じで気持ち悪いかも。

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        コメント
        重いですね〜、やっぱり。
        さすが重松!って感じですが、
        村内先生のような先生が今本当に必要なんじゃないかと思います。
        一人ぼっちではないということを
        きちんと伝えられる先生が。
        考えさせられる小説でした。
        す〜さん、またまたこんばんわ(^^)
        生徒も色々なんだから、色んな先生がいて当然だし、こんな先生一校に一人は必要ですよね。ひとりぼっちが二人いれば、もうひとりぼっちじゃないというのは、良い言葉ですね。
        す〜さんなら、村内先生のように生徒に寄り添える先生になれるのでは?「間に合わせて」あげてくださいね。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/08/20 10:46 PM
        こんばんは。
        重松さんにしか書けない作品ですよね。
        困窮している生徒に手を差し伸べる村内先生のアプローチが心に響きました。
        私も上手くしゃべれない方なので
        (ほとんど話の腰を折られて、言いたかった事に戻すと相手が不機嫌になります、涙)
        必ずいてくれると思いたいっていうレビューの文に、うなづいていました。
        こんにちわ。
        自分が生徒のときは村内先生タイプを個性と
        考えていたように思いました。思春期を必死に思い出しても村内先生を、皆と一緒になって馬鹿にすることはなかったかなと。。まだ子供の年のわりに、右へならへをする周囲の生徒が幼稚に思えたりしていましたが、、その感情がまた反感を買ったり邪魔になったりしました。この本は子供特有の残酷さがでてそうですね。落語家の桂ざこばもそこそこ吃音ですが、憎めない可愛さを感じます。

        藍色さん、こんばんわ(^^)
        そんな経験がおありなのですね。そんな、不機嫌になるって…何でだろう。私は人の話を最後まで聞かない人は、どつきたくなるほどむかつくので、きっとそんな人とは二度と喋らなくなりそうです。
        そして「みんな」の中の一人より、一人ぼっちの二人の方が断然好きだなぁと。
        こうやって、つたない文章だけど、伝えたいことちゃんと分かってくれる藍色さんの存在も、とても大きいです(^^)。本当にいつもありがとうです。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/08/21 10:52 PM
        タジイさん、こんばんわ(^^)
        私は中学時代とかは、ろくな子供じゃなかった(今もかもだけど)ので、ここに出てくる中学生たちのこと責められないかもなのです(こんなにひどくはなかったと思いたいけど)。大人になってようやく分かったこと、沢山あります。今の子供たちも、きっと大人になって後悔したり、反省するんだろうなぁと。
        そして、ざこばさん、全く気になりませんでした。あせるあまりにそうなってるのかなと(^^;好きな人のそういう癖は、本当に可愛く思えてしまうのかも。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/08/21 11:04 PM
        urirnさん こんばんは。
        私には読んでいて辛い部分が多かったです。
        でも『カッコウの卵』で全てが救われた
        気がしました。
        ほんまええ先生や!!
        家族3人で必ず幸せになって欲しい!!と思い
        ましたね〜。
        • naru
        • 2007/08/22 7:19 PM
        naruさん、こんばんわ(^^)
        本当に今の学校がこんなんで、村内先生がいないのならば、救われない生徒が山ほどいそうで、ちょっと気の毒…。
        昔はもっとあっけらかんとしてたというか、けんかでもあからさまな殴り合いとかだったような。なので、なんでこんなに陰湿になってしまったのかと、つくづく悲しくなってしまいます。
        そして『カッコウの卵』には、私も救われました。こんなふうに、全てをゆるして受け入れて側に居てくれる人、いたらいいなぁとも(^^)。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/08/23 12:05 AM
        こんにちは、チョロです。
        村内先生は、重松氏のなかである意味自己に重ね合わせた、先生としての理想形なのだと思います。
        私にも大人になってますます吃音がひどくなる友人がいるのですが、自分も吃音だっただけに話しているうちに、息苦しくなってくるのです。
        そのことが、小説では実によく書かれていたのが印象的ですが、「ふつうに話せる」人たちはどう思ったんでしょうかね。
        ではまた。
        • 2007/08/25 6:55 AM
        チョロさん、こんばんわ。
        コメントありがとうございます。
        みんな「ふつうに話せる」人たち…なのかな、直接話すよりもある意味簡単にメールで済ませてしまっている私は、本当に言わなければいけない大切なことを、自分の言葉で懸命に話す村内先生の教壇に立つ姿が、苦しくて、でもその「強さ」は、凄いと思いました。ごめんなさい、うまく言えないけど、「凄い」というのが感想です。
        • uririn
        • 2007/08/28 12:39 AM
        こんにちは。
        TBさせていただきました。
        素敵な話でしたね。
        あまりにリアルで目を背けたくなる部分もありましたが。
        村内先生のような先生がいたら、素直になれる生徒がたくさんいるんじゃないかなと思います。
        村内先生は強い先生ですね。
        「カッコウの卵」には、涙しました。
        • 苗坊
        • 2008/03/09 9:54 AM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        『カッコウの卵』私もぼろぼろ泣きました。
        こんな先生が側に寄り添っていてくれたら、救われる子がたくさんいそうですね。
        重松さんの本は、ティッシュなくしては読めない(^^;そして、執筆が早すぎて追いつけない〜。
        嬉しいけど…。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/03/10 11:56 PM
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