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    『楽園(上)(下)』宮部みゆき

    楽園 上 (1)楽園 下
    楽園 上 (1)楽園 下
    宮部 みゆき 2007/8/10発行 文藝春秋 上巻P.413 下巻P.361      各¥1,700
    ★★★★★ 
    ……それが真実であるならば、人びとが求める楽園は、常にあらかじめ失われているのだ。
     それでも人は幸せを求め、確かにそれを手にすることがある。錯覚ではない。幻覚ではない。海の向こうの異国の神がどう教えようと、この世を生きる人びとは、あるとき必ず、己の楽園を見出すのだ。たとえ、ほんのひとときであろうとも。……
     血にまみれていようと、苦難を強いるものであろうと、秘密に裏打ちされた危ういものであろうと、短く儚いものであろうと、たとえ呪われてさえいても、そこは、それを求めた者の楽園だ。
     支払った代償が、楽園を地上に呼び戻す。

    世間を震撼させた連続誘拐殺人事件で、真犯人をTVの前で暴き出し一躍時の人となったフリーライターの前畑滋子。

    事件をひきずったまま9年の時が経ち、ようやくフリーペーパー専門の編集プロダクション『有限会社ノアエディション』で仕事を再開した滋子の元へ、一人の母親が相談にやってきたことから、滋子はまたもや人間の心の闇の部分に深く関わることに…。

    12歳の一人息子を事故で失って間もない母親は、息子がスケッチブックに残した不可解な絵が、時効を迎えたある殺人事件を透視していたのではないかと人から指摘され、息子、等にそのような能力があったのかどうなのか、真実を知りたいと滋子に縋る。

    そして取り敢えずの事実関係だけでも調べてみることにした滋子は、等が絵に描いた家の中で、両親が当時中学生だった長女を殺害し、家の床下に埋めたまま16年間もの間普通の暮らしを営んでいたという土井崎家の事件の詳細を知るうちに、土井崎家の人びとに隠された謎の部分に強く惹かれていくことに。

    「土井崎家の人びとが、なぜその人生を選んだのか。なぜあんなことが起こったのか。あんなことが起こってもなお、刑事事件としての時効が成立するだけの年月、秘密を守り通せたのはなぜなのか。そして、なぜそれを荻谷等が知り得たのか。…」そして滋子が土井崎家の事件の真相に迫る時、一人の少女の身にも危険が迫り……。

    『「模倣犯」から9年――前畑滋子 再び事件の渦中に!
    自宅の床下で16年間眠り続けた少女の死体。その死体を狷視瓩靴疹年の交通事故死。
    親と子をめぐる謎に満ちた物語が幕を開ける――
    少年の目には何が見えていたのか。少女の死は何を残したのか。
    新たなる拉致事件も勃発、物語は驚愕の結末へ!』だ、そうで。


    上下巻一気読み…(気がつけば朝の四時)。
    これは途中でやめられない、と思う。

    滋子さんが知りたいこと、はそのまま私も知りたいことで、16年前、土井崎家で起こったこと、いかに素行が悪かったにせよ、何故中学生の娘を両親が殺害するに至ったのか、6つ離れた妹は、本当に何も知らなかったのか、突然いなくなってしまった姉の存在をどう捉えていたのか、今現在、両親はどこでどうしているのか…などなど、本当に気になって仕方なかったし、宮部さんのを読むといつも感じることだけど、本当にそこにそういう人たちがいて、そういう事件が現実に起こったと錯覚してしまうほど、登場人物の描写が細かくて丁寧で…。

    その人のことを知ろうとするときに、家系を遡っていくというのも、本当にただ自分一人がぽんとここに生まれて、ここに存在しているのではないということをつくづく思い知らされるというか、血の繋がりというものを改めて考えさせられる。

    人から見れば愚鈍そうな等の母親に至っては、その気の遣い方から、何から何まで、一人の人間を良く知るのに、これ以上の描写はないのではないかと思うほどで…(そこいらの知り合いよりも、この人のことの方が知ってるようなそんな感じ)そしてこの人には絶対に幸せになってもらいたいと、心の底から思えてしまうし、だからこそ最後に涙してしまったのかなと。

    章の合間に挿まれる、一人の女の子の歪んだ性格も…。

    『名もなき毒』とも少し共通するテーマなのかなと思えるけど、本当にそういう人が身内にいた場合、家族や周囲の人間はどうすればいいのか…、奇麗事ではなく、当事者なら、それは仕方のないことだと思えてしまうかも。

    「誰かを切り捨てなければ、排除しなければ、得ることのできない幸福がある。」というのは、多分真実なんだろうと。

    そういう人間は、環境によって作られるのか、それとも生まれつきそうなのか…どんなに優しい両親に愛情を注がれて育ったとしても、そうなってしまうものなのか…、だとすれば、本当にどうしようもないなと。

    そして、全然話は違うけど、これを読んで天童さんの『家族狩り』の話を思い出して、本当に「家族の中」というのは、周囲からは見えなくて、難しいものなのだなと、つくづく怖くなってしまった。

    やっぱり宮部さんの描く犯罪物は最高だし、時代小説もファンタジーも良いけど、こういうのこれからももっともっと読ませていただきたいなと。

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        コメント
        こんにちは。
        宮部さんのはいつもですが、読み応えがありますね。
        今回も人物の存在感に圧倒的されました。
        荻谷敏子さん、ほんと、
        “そこいらの知り合いよりも、この人のことの方が知ってるようなそんな感じ”
        になりました。
        敏子さんには幸せになってもらいたいですね。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        宮部さんは、ほんとうにすごい!!!とまたもや思わされました。
        敏子さんの幸せ、私も本当に心から願います。物語なのに、こんな風に思わせるってほんとうにすごい…。
        是非映像化されたのも見てみたいけど、映画やドラマが宮部さんの作品に追いつけないのが、ちょっと淋しいかも(赤川次郎さんのは、見事に映像化されるのに…何でだろう?)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/09/07 12:43 AM
        こんばんわ。TBさせていただきました。
        「模倣犯」を読んで5年経っていたので、ちょっと忘れかけていたのですが、読んでいくうちに思い出してきました。
        滋子さんにとってあの事件に終わりはないんだなと思いましたね。
        でも、滋子さんは環境に恵まれていますよね。
        旦那さんも素敵ですし。
        最後に救いがあってよかったです。
        • 苗坊
        • 2008/06/18 11:01 PM
        私も『模倣犯』ちょっと忘れかけてました〜。映画とごっちゃになってしまってたかも(^^;なので、「あれ?旦那生きてる…」とか思えてしまって…。
        最後の救いは本当に救われました。とても温かい涙が溢れてしまいました。宮部さん、やっぱり素晴らしいですね。もっともっと宮部さんのこういうの読みたいです。
        では、では。
        • uririn
        • 2008/06/23 9:54 PM
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        楽園 上 楽園 下 <上>「模倣犯」事件から9年が経った。事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子のもとに、荻谷敏子という女性が現れる。12歳で死んだ息子に関する、不思議な依頼だった。少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に
        • 苗坊の読書日記
        • 2008/06/18 11:01 PM
        楽園 下 出版社: 文藝春秋 (2007/08) ISBN-10: 4163263608 評価:79点 上巻をたっぷり使って、亡くなった少年「等」の超能力を肯定し、下巻からは「娘殺しと死体遺棄15年」事件の謎の解明へと一気に突き進んでいく。 相変わらず語りに過不足がなく、適度に伏線
        • デコ親父はいつも減量中
        • 2008/06/09 10:30 PM
        宮部みゆきさんの本に最近はまっています。面白い〜!!
        • rieぞうのお気に入り
        • 2007/09/13 5:35 PM
        カバー写真は小山泰介。装丁は鈴木正道。産経新聞連載。 「模倣犯」事件から9年。深く関わりダメージが残るフリーライター・前畑滋子。訪れた荻谷敏子の奇妙な依頼。…12歳で交通事故死した息子・等は、16年間隠されてきた
        • 粋な提案
        • 2007/09/06 11:56 AM

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