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    『カシオペアの丘で』重松清

    カシオペアの丘で(上)カシオペアの丘で(下)
    カシオペアの丘で(上)カシオペアの丘で(下)
    重松 清 2007/5/31発行 講談社(上)(下)各¥1,575
    ★★★★
     ひとを一度も傷つけることなく、誰かに一度も悲しい思いをさせることのない人生は、この世にあるのだろうか。わたしにはわからない。誰からも傷つけられたことがなく、悲しい思いを一度もしたことのない人生は――よかったね、とは思うけれど、幸せだったね、と言えるのかどうか、わからない。
     傷つけて、傷つけられて、悲しい思いをさせて、悲しい思いをさせられて、だからひとは遠い昔から星の物語を語ってきたのだと思う。太陽が沈んでから空に浮かび上がる星たちに、悲しい神話をあてはめてきたのだと思う。

    かつて炭鉱で栄えた町、北都。

    かつて炭鉱だった場所の、山を削り取った跡に出来た、名もなき丘。
    彼らが生まれた年にこの町で起こった悲しい出来事を、まだ何も知らなかった小学4年の頃、こっそり登ったこの丘の上で星空を見上げながら誓った4人の仲間「シュン」「トシ」「ユウちゃん」「ミッチョ」。

    おとなになったらここに絶対遊園地を作ろう――。

    そして30年の月日は流れ、その約束は図らずも守られたものの今ではすっかり寂れてしまった、見捨てられた町の人気のない小さな遊園地、「カシオペアの丘」。

    あの日の約束の後、炭鉱で起こった事故の全貌を知り、当時の炭鉱の責任者であり、この町の独裁者、そして人殺しと呼ばれた祖父を赦せず、北都の町を去り「倉田」の姓を捨て、東京で所帯を持ち、人並みの幸せな生活を送っていたはずの「シュン」が体調に異変を感じ、余命いくばくもないと告知を受けたことから、今はばらばらになってしまったかつての仲間4人の人生が再び重なり合うことに…。

    彼らを再び「カシオペアの丘」に呼び寄せたのは、北都から遠く離れた東京で起こった痛ましい少女の殺人事件。

    犠牲となった少女が、最後に親子三人で幸せな時間を過ごしたという「カシオペアの丘」を再び訪れた少女の父親は、たった一人の理解者だったはずの妻の裏切りをゆるすことができず「死に場所」を求め…。

    かつて北都の町を思うがままに支配し、町の人々から畏れられていた「シュン」の祖父もまた最期、何かに縋りつくように「カシオペアの丘」を見下ろす場所へ…。

    「ガン」を受け容れ、死を覚悟した「シュン」は、かつての仲間の「ゆるし」を得るために、「カシオペアの丘」へ、愛する家族とともに…。

    そして約束の地「カシオペアの丘」で、「シュン」は仲間たちとの再会を果たし…。

    「北海道の雄大な自然を舞台に描く、重松清の最高傑作!
    命と、愛と、町をテーマに生まれた感動の物語。
    肉親を、
    昔の恋人を、
    自分を苦しめた町を、
    裏切った妻を、
    そして自分自身を、
    人は心の底からゆるすことができるのか。
    圧倒的なスケールと迫力で読む者の魂をふるわせる、3年ぶりの長篇小説。」だ、そうで。


    読む前から、これはかなり「しんどい」本かなと恐る恐る読んでしまった(上、下巻という時間的なこともそうだけど、内容も重そうで…)。

    で、読み終わって、たまたま今朝の「京都新聞」に掲載されてた重松さんのインタビュー記事に、この本のことが書かれてて、改めてこの本に託された想いが良く分かったというか…。

    テーマは「ゆるし」ということで、その「ゆるし」が他人からのであったり、自分自身をであったり…。

    そして「生きることは、ゆるしたり、ゆるされたりの繰り返しではないか。…」と(その記事を読むまで、正直「ゆるし」の本当の意味が、私には分かってなかったのかもしれないなと…なんとなくもっと大げさなものかと思ってたから、この本に出てくる「ゆるし」という言葉を身近には感じられなかったというか)。

    なので記事に書いてあった「自分がここに居ることを肯定したい」がための「ゆるし」というのを読んで、初めて「ゆるし」の意味がすごく分かったような。

    「末期ガン」であることを告知されてから、死を受け容れるまでの「シュン」や家族の葛藤や、それからの描写があまりにもリアルで、苦しそうで見ていられないほどで、これを機に煙草をやめようかなと、これまで一度も考えたことないことを考えてしまうほど、本当に「ガン」の恐ろしさをまざまざと見せ付けられてしまったし。

    かつて町を栄えさせていた「炭鉱」の事故も、実際に夕張炭鉱であったことで、そのシーンもかなり心が痛くなるし、祖父の決断も、それから背負わなければならなかったものの大きさも、その孤独もいかばかりかと…、祖父だって「ただの人間」なのに、と思うとやりきれなくなるというか、どれほど苦しかったことだろうと。

    だけど「ゆるさない」ことを生きる支えとした「トシ」の母親の気持ちも、痛いほど解るし。

    「死」というものは、この世からいなくなる人間のことだけではなく、残された人間の感覚でもあるというか、上手く言えないけど、だから周囲の大切な人達を哀しませないように生きていられる間は、生きていかないとなと…(本当に上手く言えないのがもどかしいけど…)。

    ただ理解できなかったのは、娘を殺された母親のことと、「シュン」のかつての恋愛の顛末。

    多分私は重松さんの描く、大人の女性(特に既婚者)とは相性が悪いみたいなので、その二人の感情は解せない(「シュン」の妻に対しても、そんな過去のこと、もうどうでもいいんじゃないの?と、しつこさを感じてしまったし…それとも男の人って、そんなにひきずるものなのか?と)。

    そして、4人の仲間の中で一番共感できたのが、唯一独身の「ユウちゃん」というのは、やっぱりちょっと悲しいことなのかもしれないなと(まあ、いろんな意味で…)。

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        コメント
        一言『壮絶』でした。
        許すこと、許されること、
        なかなか出来そうでできない事だけど、
        それが出来たとき、
        人は本当に幸せになれるのかな、って思いました。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        まさに「壮絶」でしたね。読んでいるこちらまでいろんな意味で、痛くなるし辛くなるし…。まだここまでの経験をしたことがないからかもしれないけど、誰かを憎み続けて生きることは本当に寂しいことだというのは分かる気がしました。でも、そうすることが生きる力になるというのも、分かる気がします。これから生きていくうえで、できるだけ「ゆるせる」自分でいたいなとは思うのですが、こればっかりはそうなってみないと分からないかな…。何にせよ、ものすごく心に残る小説でした。主人公、同い年なので特に。
        では、では〜。
        そうそう、ぶたぶたさんシリーズ、Amazonで二冊手に入れました(^^)
        また、近いうちにTBさせていただきますね。
        • uririn
        • 2007/07/31 12:06 AM
        下巻ではずっと、泣かされてました。

        悲しみではなく、うれしかったんです。
        「ありがとう」
        という言葉が、とても響く本でした。
        • juzji
        • 2007/08/01 9:50 AM
        juzjiさん、こんばんわ(^^)
        あんなふうに皆に見守られて…というのは、とても幸せな最期ですね。そんな最期を迎えられるような生き方をしたいと、つくづく考えさせられました。そして「ありがとう」という言葉は本当に大切な言葉ですね。いつも周囲の人に、素直にその言葉を言える人でありたいです(^^)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/08/02 1:06 AM
        こんにちわ〜♪
        またまたTBさせていただきました。

        良い作品でしたね。
        ですが、いろいろつっこみどころも多くて(汗)
        マイブログでいろいろ文句をたれております・・。
        時間があったらまたいらしてくださいね♪
        じゅりんさん、こんばんわ(^^)
        つっこみどころ…良くわかります(^^;
        私もちょっと綺麗ごとすぎると思わなくもなく…30年経っても、こんな関係でいられるのかなと、ちょっと意地悪なこと考えてしまいました。
        結局は、祖父が自分を押し殺して、犠牲者を出してまでして築き上げたものの恩恵を授かった主人公の境遇というものに、あまり感情移入できなかったというのもあったのかも…(ひねくれものなので)。
        もちろん、重松さんなので良い作品には違いないと思うけど…ですね。
        またじゅりんさんのブログにもお邪魔させていただきますね。
        では、では〜。

        • uririn
        • 2007/08/11 12:07 AM
        TBさせていただきました。

        >重松さんの描く、大人の女性(特に既婚者)とは
        >相性が悪いみたいなので

        一緒です。
        めんどくさい女やなー、って(笑)

        でも感動はしたんですけどね。
        かれんさん、こんばんわ(^^)
        そうなんです。感動はしたんだけど…です。
        そして、実在しているのですね大観音像。見てみたいような…。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/08/20 10:31 PM
        こんにちは。
        読み始めはなんて重い話だろうと思いました。
        読み進むのが辛かったです。
        人間は生きていくうえで皆色々なものを背負って、
        そして死んでいくんだなって思いました。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        「その日の前に」同様、かなり身構えて読みました(絶対号泣するんだろうな〜と)。なかでも祖父の人生は壮絶でしたね。人生で背負うもの、私たちもこれからどんどん増えていきそうですね。いろいろと。
        考えれば、人生って本当に短くて、もっと大切に生きないともったいないなとも思えたかも(でも、すぐに忘れてしまうんだけど)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/10/30 11:20 PM
        こんばんわ^^TBさせていただきました。
        重い作品でしたね〜。
        まあ、重松さんですから、予想はしていましたが^^;
        いろんな感情が入り混じっている作品だなぁと思いました。
        感動的な部分はたくさんありましたが、やっぱりシュンの家族の事が1番印象的ですよね。
        ガンと闘う姿はリアルで、怖かったです。
        • 苗坊
        • 2007/11/24 5:23 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        「ガン」って怖いなと、改めて思い知らされてしまったような作品でした。本人だけでなく、家族や周囲の人間にとっても、大切な人を「ガン」で失うことの辛さ、悲しさ、無念さ、すごく良く伝わってきました。かなり重かったですね。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/26 10:56 PM
        人に人生の重みを感じた作品です。
        4人の中で、私も、ユウちゃんに一番共感できました。
        • 2008/01/25 8:28 PM
        花さん、こんばんわ(^^)
        物語の力ってなんか凄いですね。だから本を読むのが好きなんだけど…にしてもこの本は壮絶でした。
        おお、そしてやっぱりユウちゃんに共感されたのですね。なんか嬉しいです(^^)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/01/28 11:42 PM
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        「カシオペアの丘で(上・下」★★★ 重松 清 著 、講談社、2010/4/15 初版 (424ページ/ 416ページ 、各680円)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい←
        • soramove
        • 2010/07/11 6:10 PM
        カシオペアの丘で 重松清  2007年5月 講談社         小学4年生のトシ、シュン、ミッチョ、ユウちゃんの4人は、宇宙センターから打ち上げられた惑星探索機ボイジャーを見るために、名もない丘に集まり、空を見上げる。そして、将来ここに遊
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