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    『明日この手を放しても』桂望実


    明日この手を放しても
    桂 望実 2007/6/20発行 新潮社 P.253 ¥1,365
    ★★★★★
     大嫌いなんだ。同情してますって顔で近づいてくるヤツが。障害者の妹がいるってだけで顔を曇らせたり、親父やお袋の話を聞いた途端に優しい声を出すヤツら。
     俺の気持ちを想像してるのか? 想像なんかすんな。
     誰にもわからない。
     常に抱えている痛みをどうにもできなくて、困ってる。
     痛みだけじゃない。耐えられないほどの、強烈な虚しさをずっと抱えてる――それが、俺だ。凛子だ。

    大学二年生の夏、原因不明の病気から突然全盲となってしまった篠田凛子。

    それからは外部との接触を避け、引き篭もる生活を送っていたものの、半年前に篠田家の精神的支柱であり、収入源であった母親を事故で亡くし、父親と兄との暮らしのなかで、あまりの部屋の荒み具合に耐えられなくなった潔癖症の凛子は、掃除道具を揃えるために一人で外へ出る事を考え始めることに。

    凛子がようやく前向きに生きようと考え始めた矢先、今度は漫画家だった父親が突然謎の失踪をしてしまい、その日から、凛子が思うところの「だらしない兄」真司との二人きりの生活が始まった。

    自分にふりかかる何もかもを誰かのせいにして、不満ばかりを口にし、常に怒りをぶちまけてばかりいる兄、真司。

    世の中の全てのことを客観的に捉え、真司の激昂にも冷静に対処する妹、凛子。

    そんな全く対照的な性格の「仲の良くない兄と妹」が、父親の仕事を引き継ぐ形で始めた漫画の連載を共同作業でこなしていくことで、お互いの欠点や長所を認め合いながら、12年の歳月は流れ……。

    『恋人でも友達でも親でもないけど、でも、やっぱりすごく大事な人……。
    こんなのと血が繋がってるなんて、最悪!――十九歳で途中失明して夢を失った「可愛く」ない妹・凜子と、短気な上に自分勝手で「文句ばっかり」の兄・真司。漫画家の父親がいきなり失踪した日から、二人きりの生活が始まった。一番近くにいても誰より遠い二人の未来に待っているのは? 家族の愛がぎっしり詰まった感動の長編小説。』だ、そうで。


    兄、真司の分かりやすい性格がなかなか面白くて、最初のうちは冷静すぎる凛子の、兄に対する見方があまりにも冷たいような気がしたけど…(変に優しい人より、よっぽど好感が持てたし、いつの間にかちゃんと、時計に合わせて物のある場所を教えること学んでたりするし、兄なりに見えないところで努力してたんだなぁというか)。

    お互いに、自分にないものを持ってる相手のことを認め合って、自分の欠点を補っていくところは、何だか恋人同士のようでもあり、こんな風にならなければ、一生もしかしたら嫌いあってたのかなと思うと、二人きりの兄妹なんだから、こうなって良かったのかなとも。

    ただ、父親の失踪の件がどうにも不可解だし、中途半端な感じがしてしまった。
    編集者の西尾の変貌も(と、いうか最初からそんな人だったのか…)後味が悪くて。

    装丁の表が凛子だとすると、裏は真司なんだろうけど、あまりにかっこ良すぎるので、そのイメージで読んでしまったから、女に振られてばかりいるのが納得できなかったりもするし(振った女の方にかなり問題もありそうだったから、結局は真司に見る目がなかっただけなのか)。

    タイトルがなかなか好きな感じだったので、期待しすぎたのかもだけど、もう少し先を読んでみたかったような……ちょっと残念。

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        コメント
        そうなんです。
        なぜ父親は失踪したのか、
        その辺が曖昧なままだったので
        ちょっと不完全燃焼気味でした。
        装丁の女性は凛子らしい雰囲気ありますけど、
        真司の方は・・・って思ったのは僕だけじゃないですよね。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        本当に不完全燃焼でしたね。お父さん、何で?という感じ。
        真司は、多分あそこまでイケメンじゃなさそうですよね、確かそうハンサムではない描写があったような…と、私も思いました(^^;
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/07/23 11:24 PM
        こんばんは。
        たぶん、父親の不在は二人の関係を進展させるための設定って思います。
        なので続編希望です。
        裏表紙は美化しすぎでしょう。イケメンじゃないはず。
        たしか文句の言い過ぎで口が出てたような…(返却済みで未確認です)。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        確かにその通りですね。父親の失踪の理由とかは、きっとこの物語自体にはあまり必要のないことというか…なので、私も続編希望です〜(やっぱり知りたい)。
        そして真司のその後を見てみたい(結構好き、あ、でもあのイラストのせいか…だとしたら…いや、やっぱり好きかも)。
        確かに、文句の言いすぎで口が突き出たと母親が言っていたような(うろ覚え)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/07/24 11:41 PM
        こんばんは。

        そういえば、装丁とタイトルから想像していた中身とは全然違いましたね。恋愛小説って思ってました。
        真司は口とんがってるんですよね(笑)←いや、突き出てるのか…

        お父さんの問題解決されずに残念でした。
        それにしても西尾の変わりっぷりは本当に後味悪かったです。そんな風に見えなかったんだけど。むむ…
        ちきちきさん、こんばんわ(^^)
        装丁の二人、美男美女すぎるような…いや、凛子はいいんだけど、真司がね(^^;
        確かに母親がそう言ってましたよね〜。
        西尾さんは、いつか凛子を幸せに…と勝手に願っていたので、かなりショックでした。
        お父さんのことも、やっぱり続きが読みたいですね。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/08/12 12:06 AM
        父親の失踪や、西尾のことは、不可解でした。
        いい人ばかりはいないということなのでしょうが、消化不良ですね。
        兄妹がお互いを理解するようになるのを描いているところは好きです。
        • 2007/11/17 3:12 PM
        花さん、こんばんわ(^^)
        ほんとに不可解な部分が多くて、消化不良という感じでした。お父さん、どうしちゃったんでしょうね。とてもとても気になります。続編希望です(そうなると、この兄妹が60歳ぐらいになるまでとかになってしまうのかな(^^;)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/11/21 12:41 AM
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        大学二年で病気によって全盲になった凛子。その後まもなく母を事故で亡くしてしまう。極度の潔癖症の凛子は漫画家の父と二つ上の兄が頼れず、白杖で歩く練習を始めた。 全盲の少女を主人公にと漫画の原案を任されるようになった凛子だが、ある日突然父が疾走。「頼りに
        • ◆小耳書房◆
        • 2010/05/17 1:24 AM
        明日この手を放しても 桂望実 新潮社 2007年6月 ? 篠田家には、明るい母と感情起伏の激しい兄真司と無口な父がいたので、凛子はクールな役割を果たしていた。凛子は、大学2年生の時、原因不明の病気で失明。半年後、世話をやいてくれていた母が亡くな
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        • hibidoku〜日々、読書〜
        • 2007/08/14 11:49 AM
        恋人でも友達でも親でもないけど、でも、やっぱりすごく大事な人……。 こんなのと血が繋がってるなんて、最悪!――十九歳で途中失明して夢を失った「可愛く」ない妹・凜子と、短気な上に自分勝手で「文句ばっかり」の兄・真司。漫画家の父親がいきなり失踪した日か
        • ぼちぼち
        • 2007/08/11 8:57 PM
        明日この手を放しても 装画は菅野裕美。装幀は新潮社装幀室。書き下ろし。 19歳で途中失明して夢を失った篠田凛子。向日葵のようだった母を交通事故で亡くして半年(1995年、21歳)。持ち前の潔癖症から行動を。寡黙だ
        • 粋な提案
        • 2007/07/24 1:32 AM
        19歳で失明した凛子。 その後すぐに母を交通事故で亡くしてしまう。 しばらくすると漫画家の父親までもが失踪してしまった。 残されたのは気の合わない兄、真司のみ。 そしてその日から兄妹二人の生活が始まった。
        • My Favorite Books
        • 2007/07/23 8:21 PM

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