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    『純愛小説』篠田節子

    純愛小説
    純愛小説
    篠田 節子 2007/5/31発行 P.263 ¥1,470
    ★★★★★
     永遠の愛を素朴に信じる女が、この国にはどれだけいるのだろう、と香織はそのブルーの表紙に目をやる。
     バラの花びらと香りに包まれたロマンティック・ラブに導かれ、愛する人と結ばれ、愛する人の子供を産むことに結婚の意義と人生の目的を見出す彼女たちに、柳瀬の虚無感を伝えることはできない。多くの女を知った後に、心ならずも見えてしまった恋や性愛のその向こうに広がっている荒涼たる景色を、妻に伝えることはできない。伝えられたところで彼女たちには理解はできない。
    〜『純愛小説』より〜

    有能ながらも男社会の理不尽さゆえに出世の先が見えた40代後半の女性編集者は、妻から突然離婚を言い渡された、良きアドバイザーでもあり、古くからの友人でもある男友達の、離婚にいたる本当の理由を知り愕然とし、自分が手がけた「純愛小説」の愛読者であるという、男の妻の誤解を解こうとして…『純愛小説』

    早くに亡くなった父親の代わりに妹二人の面倒を見、妹達が自立して出て行った後も残された屋敷を守り、年老いた母の介護を一手に引き受け、独身を通して60代半ばを迎えた長女との連絡が途絶えてしまい、慌てて駆けつけた次女が目にしたものは、更地となってしまった自分たちの屋敷があったはずの広大な土地。
    母親を看取った後、殆ど家に引きこもり、趣味も持たず、近所づきあいもなかったはずの姉の身に何が起こり、姉が相続した莫大な遺産はどうなってしまったのか、必死に姉の行方を探し始めた妹に突きつけられる現実…『鞍馬』

    他、一人暮らしを始めた大学生の息子のマンションを突然訪ねた父親と息子との、母親には言えない話…『知恵熱』、一回りも歳上の「土偶」のような女性に夫を寝取られてしまった、美しく聡明で完璧なはずの妻は精神科医のドアを叩くことに…『蜂蜜色の女神』

    「大人だからこそ、隠せない想いがある。
    歳をかさねたからこそ、抑えきれない衝動がある。
    愚かしくも愛おしい衝動からうまれた、4つのビター・ロマンス。
    ――成熟の向こうになお存在する、愚かしくも愛おしい衝動を、時にシニカルに、時にエロティックに描く、篠田節子の最新短編集。」だ、そうで。


    一番好みなのは『鞍馬』のお話。
    人間とは、立場が違うとこうも感情が行き違うのか、と感心させられたというか、妹から見た姉と、姉の実体験とのギャップがリアルで…。

    身を削るようにして家族に尽くし、独身を通して挙げ句の果てに…の姉にものすごく同情してしまうし、立派な仕事をしているからという、ただそれだけで誰からもちやほやされるけど、実際人間としての妹はどうなの?と、本当に世間知らずはどっちなのかと…。

    ただ、どちらが世間から認められるのかと言うと、社会的に目立ってる方なのかと、ちょっと悲しくなってしまうようなお話で。

    『純愛小説』は、近ごろよくありがちな「泣ける」?「純愛」?小説ブームに、ちくちくと針を突き刺すようなお話で、篠田さんらしいブラックさがなかなか良くて…。

    『蜂蜜色の女神』は唯一エロティックだったかな?
    これも見る人によって「土偶」だったり、「女神」だったり…どんな人なのかなと、ちょっとその女性をこの目で確かめたくなってしまった。
    なかなかサスペンスタッチでもあり、ここに出てくる完璧な妻に少々反感を覚えてしまった私にとってはなかなか小気味良い結末。

    あくまでも成熟した大人のためのお話という感じで、私の好きな篠田さんの作品のタイプとは少し違ってたけど、全編を通して出てくる「ハーブ」の怖さを勉強させてもらえて良かったかなと。
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