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    『太陽の塔』森見登美彦

    太陽の塔
    太陽の塔
    森見 登美彦 2006/6/1文庫化 新潮文庫 P.231 ¥420
    ★★★★★
    …何が特別なのか知らんが、世間ではクリスマスイブは特別である。クリスマスイブに比べたらクリスマスイブイブは重要ではない。ましてクリスマス当日などはなおさら無意味である。クリスマスイブこそ、恋人たちが乱れ狂い、電飾を求めて列島を驀進し、無数の罪なき鳥が絞め殺され、簡易愛の巣に夜通し立てこもる不純な二人組が大量発生、莫大なエネルギーが無駄な幻想に費やされて環境破壊が一段と加速する悪夢の一日と言えるだろう。彼らが信じ込んでいるものがいかにどうでもいいものか、我々が腹の底から分からせてやる。…

    大学に入ってからの三年間というもの、絶望的に女性との縁がなく、男たちだけのフォークダンスを踊りくるい、全く華のない生活を送っていた「私」が、万策を尽くし、仲間たちから抜け駆けして手に入れた、はじめての恋人、クラブの後輩でもある「水尾」さん。

    「恋人」ができたぐらいで…と自分に唾を吐きかける反面、嬉しくてたまらなかった「私」は、あろうことか一年前のクリスマスイブの日に「水尾」さんに袖にされてしまい、あくまで紳士的に別れに応じたものの、「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」という疑問を解明すべく、その後も「水尾さん研究レポート」を続行することに。

    そして「水尾」さんの行動を、あくまでも「研究」と称してつけまわす「私」は、「水尾」さんのマンションから現れた、謎の男から屈辱的な言葉を浴びせられ……。

    「すべての失恋男たちに捧ぐ、爆笑妄想青春巨編in京都
    クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作」だ、そうで。


    ふぁ、ファンタジー……?なのか、これは(妄想も、そうなのか…)。
    男じゃないからわからんけど、男の人ってモテないと、こんなになってしまうのかと、あまりにも哀れで…(まあ、そこが笑えてしまうんだけど)。

    「私」を取り巻く個性的な男たちの醸し出す「男汁」臭もまた、本から漂ってきそうで、得も言われず…(結構むさ苦しいのは好きだけど、ここまではちょっと…)。

    立派に使命を果たそうと「水尾さん研究」に邁進する姿は、完璧なストーカーだけど、まあ確かに「水尾」さんも、研究するに値するような不思議な人物のような。

    何故あのプレゼントが気に入らないのか…私にも理解できなかったし(これ、すごく欲しいと思ったんだけど…)。

    彼女が惹かれる「太陽の塔」は、(関西人なので)高速に乗るたび目にしていた気がするけど、何故、そこまで…と(あれ見ると「芸術は爆発だ!」と叫びたくはなるけど…)。

    まあ、観覧車の場面では、私が彼女でもそうするだろうけど、逆に「私」という人間の研究もしたくなってしまうような、あまりにもオモロイ展開。

    何にせよ、モテない(わけでもないんだけど…自分から拒否ってるし)男たちによる、クリスマスイブの京都の四条河原町で繰り広げられる「ええじゃないか騒動」は、参加はしたくないけど、阪急のエレベーターや、高島屋の屋上ら辺からなら、見てて痛快かも知れないなと。

    私もここ最近は、クリスマスを一人淋しく迎えているから、この男たちの気持ちは痛いほど良くわかるし……。

    一番印象に残ってしまったストーカー同士の贈り物合戦は、どんなホラーよりも恐ろしかったし…布団に入ったら、耳元で「カサカサ」という音が聞こえてきそうで。


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        コメント
        uririnさん、こんにちは。
        私も読み始めは、ファンタジーなのか、これは?!でした。
        想像を超えたむさ苦しさ。もう笑うしかないか、みたいな部分も。
        プレゼント合戦、いきなりホラーで怖かったのですが、
        “どんなホラーよりも恐ろしかった”のを読み通せてしまった私って…
        「喉元過ぎれば熱さを忘れる」?(笑)。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        カップラーメンの残り汁一面の…お、恐ろしすぎます。
        もうすぐ奴らの季節がやってきますね…。
        では、では。
        • uririn
        • 2007/04/09 12:02 AM
        妄想過ぎ。
        ただただ面白くて、あっけにとられてしまいました。
        これがデビュー作なんですよね。
        さすがです。
        ストーカーなのに、
        なんだか憎めない、
        そんなもてない男たちの哀愁がひしひしと伝わってきました。
        す〜さん、三連発、とても嬉しいです(^^)
        読みたい本、一緒ですね。
        森見さんのに出てくる妄想男たちは、本当に憎めないです。男性不信だった私の、男の人を見る目が変わってきたのも、森見さんのお陰かも。
        男の人ってこんなに純粋なんだなと…。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/04/10 12:10 AM
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        • 2013/01/21 3:47 PM
        小説「太陽の塔」を読みました。 著者は 森見 登美彦 森見さんのデビュー作となる本書 まさに といった感じ 大学生の青春物語なのですが・・・ そこは 妄想とストーカーちっく(笑) あの「四畳半神話大系」を彷佛とさせますね 森見さんらしい、独特の古風な台詞
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        • 2011/07/26 10:52 AM
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        • 2007/06/10 10:04 AM
        太陽の塔 ■やぎっちょ書評 昨日juneさんの記事「夜は短し歩けよ乙女」にコメントを残しに行ったら、「太陽の塔」は「夜は短し〜」の後日談説、ということが書かれていたので、慌てて読んでみました。 しかるに。。。 どうでしょ。結局は後日談じゃないと思います。
        • "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
        • 2007/04/11 12:08 AM
        妄想ワールド炸裂。 どこまでが現実でどこからが妄想か。 不思議な物語。 しかし、面白い。 女の子に振られた『私』はその振った相手『水尾さん』研究に いそしむようになる。 しかし、一歩間違えれば、というか
        • My Favorite Books
        • 2007/04/09 8:27 PM
        装画は影山徹。装幀は新潮社装幀室。 2003年「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。主な作品「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「きつねのはなし」「新釈走れメロス他四篇」など。 主人
        • 粋な提案
        • 2007/04/08 4:10 PM

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