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    『世界の終わり、あるいは始まり』歌野晶午

    世界の終わり、あるいは始まり
    世界の終わり、あるいは始まり
    歌野 晶午 2006/10/25文庫化 角川文庫 P.515 ¥780
    ★★★★
    私は何を望んでいるのだろう。自分が苦しい思いをしたくないだけなのか、家族に傷を負わせたくないのか、世間体を守りたいのか、美しい思い出を壊したくないのか、雄介が更生してほしいのか彼はもういらないのか。その答を考えれば進むべき道は自ずと決まってくると思うのだが、自分の望みさえよくわからない。
     いや、望みは決まっているではないか。
     雄介が潔白であることだ。

    事件と言えば、せいぜい火事と痴漢騒動くらいしか思い浮かばない、平和で巨大な新興住宅街、埼玉県入間市にある「ひいらぎ台」で起こった、小学校低学年の男子児童ばかりを狙う、残忍な手口の連続誘拐殺人事件。

    同じ町内で、息子が親しくしていた児童が殺害された時点でもまだ「誘拐事件は、ごく近所で発生したとはいえ、しょせん他人の不幸でしかない」と自分の息子が被害者でなくて良かったと胸をなでおろし、自分達家族はいつまでも平和に暮らし続けるのだと信じて疑わない、妻と、小学6年生の息子、そして1年生の娘を持つ、食品会社の係長である父親、富樫修。

    ところが、事件には無関係な場所に自分を置いていたはずの父親は、息子の部屋で発見したある物から、自分の息子が何らかの形で、事件に関わりを持っているのではないかと疑い始めることに。

    そして、警察の手が伸びる前に息子の身の潔白を証明しようと、事件当日の息子のアリバイを確認するために訪れた進学塾で、親には内緒でとうに退塾していたという事実を知らされ、ますます息子の事件への関与を疑わざるを得なくなった父親は、警察から、マスコミから、世間から、家族をそして何より自分を守ることを考え始め……。

    「私の子供が誘拐犯なのか?
    既存のミステリを超越した、崩壊と再生を描く衝撃の問題作!」だ、そうで。


    「被害者の父親」になることすら考えもしなかった、ある意味脳天気な父親が、いきなり、「加害者の父親」になってしまった…と、これから先自分達に襲い掛かるであろう数々の苦難に苦悶する様は、何だかリアルだし、「こんな息子を育ててしまった自分たちの責任」に煩悶するところは、普通の人間ならきっとそう考えるだろうなと。

    たぶん実際に事件を起こしてしまった少年達の家族には、こういうことがあったんだろうなと容易に想像できるし。

    息子の言うことが、全部が全部、今どきの子供らしすぎて怖すぎるし(2002年に最初に出版された本なのに、ものすごく現在っぽいというか、その当時よりもたぶんさらに…)、こういう話が全然有り得なくないところが、また怖い。

    そして、家族のことより、何より自分が一番大事だと考えてしまう父親の気持ちも、息子を信じきってあげないところも、今の父親像っぽいと思えてしまった。

    ページ数多くて、時間かかりそうと思って放置していたけど、読み始めたらあまりにも面白くて、中断することなく、あっという間に読めてしまったという感じ(久しぶりに時間を忘れて、読むことに没頭してしまったミステリかも)。

    「パンドラのカメ」は、やっぱりちょっと間抜けな感じがしてしまうので、「パンドラの箱」の方が良いなと…そして「パンドラの箱」に最後に残されたもの、お父さん、それを持ち続けて家族の幸せの為にいつまでも頑張って働いてねと…いう感じかな。

    これは、年頃の反抗期の息子にちょっぴりひびっているというお父さんに、是非お薦めしたい本かも。
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        わが子が殺人の被害者になることは当然、加害者になることも親としての最悪の事態だ。本書はわが子へ殺人者の疑念を抱いた父親の焦燥と悪夢が描かれている。 読んでいるうちに、その 悪夢を同時体験しているかのように思えてくる構成。よく知っているはずのことが輪郭
        • 本を読もう
        • 2007/04/03 5:38 PM

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