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    『花宵道中』宮木あや子

    花宵道中
    • 著:宮木あや子
    • 出版社:新潮社
    • 定価:1470円
    livedoor BOOKS書誌データ / 書評を書く

    ★★★★
    縋ってしまうから、優しくしないで。
    どこかへ行ってしまうのなら、痕を残さないで。
    お願いだから、もうこれ以上好きにさせないで。
    〜『十六夜時雨』より〜

    生まれたときから吉原で育ち、ただ黙々と男に抱かれ、幸せも不幸せも感じないまま、生まれてから死ぬまでの道筋まで見失ってしまった、不器量な「朝霧」。不器量ながらも、そこそこに上客を持ち、年季明けの身請け話も出てきた頃に、ただ一人の男に出会ってしまったが為に…『花宵道中』

    二ヶ月後の初見世を控え、好いた男がいるからと、他の男に抱かれることを嫌がり泣き崩れる山田屋の新造「茜」。「茜」の好いた男には、「茜」にはとうてい敵わぬ美しい遊女がいつも側にいると知りつつ、顔を見ずにはいられずに、二人が逢瀬を重ねる茶屋へと足を運ぶうちに…『薄羽蜉蝣』

    母と死別し、父親に捨てられた幼い姉と弟は、離れ離れになり、弟を守るために姉は遊郭へと売られることに。そして売られた京の遊郭ではすっかり評判を落としてしまい、流れ流れて辿りついた先「山田屋」で、実の父親と遊女と客として再会してしまった姉「霧里」。そしてまた、弟「東雲」も数奇な運命に翻弄され…『青花牡丹』

    他、『十六夜時雨』、『雪紐観音』の5編から成る連作短編集。
    時は天保の頃、江戸吉原の遊郭の中では少々貧乏臭い、中途半端な小見世「山田屋」を舞台に、妖しく切なく繰り広げられる、遊女たちの哀しい恋の物語。

    「恋しい人を胸に思い、他の男に抱かれるのが遊女――
    江戸・吉原を舞台に、叶わぬ恋に咲いては散りゆく女たち。
    第5回R−18文学大賞&読者賞ダブル受賞の大型新人が放つ、驚愕のデビュー作。
    角田光代さん、三浦しをんさん絶賛!」だ、そうで。


    時代物は、宮部さんと山本周五郎さんぐらいしか読んだことないし、あんまり進んで読もうとは思わないけど、これはそういうの抜きにして、するっと物語に嵌りこんでしまうようなお話…(人を好きになる気持には、古いも新しいもないからかな)。

    5つの物語の繋がり方が絶妙というか…後の話で明かされる、男の裏側とか、そういうのが凝っていて、最初の話だけでも切ないのに、また切なさが倍増してしまう。

    江戸時代の遊郭の、遊女たちへの取締りの厳しさ(足抜けしようとしたら、半殺しのような目に遭わされるかとか、そういうの)は、何となく知ってるけど、そういうシチュエーションだからこそ、まさに男に惚れるのは命懸けで、「男のために生きる女と、男のために死ぬ女」の対比がすごく良く描けてて面白いなぁと。

    なかでも『青花牡丹』と『十六夜時雨』は圧巻かも。
    事件の真相が解ったときには「ぞくり」とさせられたし、女ばかりの遊郭で、女同士だからこそ庇いあえる部分というのには、すごく共感させられるし、女の潔さも良いし。

    茜の姉女郎、八津の「男に惚れる弱さなんざ、其処のどぶに放って捨てた筈なのに。」というつぶやきが何故だか胸につきささる(私も捨ててしまったクチなので…)。
    それと同じくらい、「何も恐くないと言っていたが、唯一恐いのは男を失うことだったのだろう。」というのも…。

    R−18文学大賞…だし、遊郭だし、官能的なシーンは一応あった(すごく上手いし、ツボに嵌ってしまう)けど、それよりも「山田屋」という場末のような遊郭で、共に暮らし、共に辛い時代を生きた遊女たちの友情物語、という感じもしないでもない。

    これ読んで久しぶりに(何十年ぶりかな?)名取さんの『吉原炎上』が見たくなってしまった(「道中」とか、確か豪華絢爛なシーンがあったなぁと…)。前に見たときはまだ高校生?ぐらいだったから、あまり良く分からないシーンもあった気がするけど、今見たら良く分かるのかも…。

    なので、この本の帯にある角田さんの「子どもには読ませたくない、読ませてたまるもんか」というコメントに、すごく納得させられてしまった。その通りかも。
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          コメント
          こんにちは。

          こちらで冒頭に引用されている部分が、
          この本の「肝」だと、私も感じました。

          どの辺りが「女性のための官能小説」なのかは、
          いまひとつ解らなかったのですが、
          「共に辛い時代を生きた遊女たちの友情物語」
          という部分も同感ですし、
          つまりは、女性の事が上手く書かれていたという事なのかもしれませんね。

          TBありがとうございました。
          みかん星人さん、
          はじめまして、こんばんわ(^^)
          引用部分は、実体験から来る切実な願いだったりします。なので、みかん星人さんにそう言っていただけて、はずれてなくて良かったなと安心しました。女性の描く「性」と、男性の描く「性」は全く別物なのだなと、近ごろよく思っているので、女性が感じるとこ…上手に書かれてるなと。
          では、では。
          • uririn
          • 2007/03/26 12:48 AM
          こんばんは。
          遊女たちの切なさ、つらさが伝わってきました。
          読み進む内に紐解かれていく遊女たちの関係がとってもよかったです。
          藍色さん、こんばんわ(^^)
          読み進むにつれて、ものすごく切ない気持ちにさせられました。これは自分で感想を読み返しても、力入ってたなぁ〜と、この作品の凄みを改めて感じます。構成、素晴らしかったですね。宮木さんの今予約中の2冊も読むのが楽しみです(^^)
          では、では。
          • uririn
          • 2008/03/24 11:14 PM
          コメントする








             
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          • 2008/03/19 3:29 AM
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