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    『さみしさの周波数』乙一

    さみしさの周波数
    さみしさの周波数
    乙一 2003/1/1 発行 角川スニーカー文庫 P.201 ¥480
    ★★★★★
    「あなたがいてよかった。だから、泣かないで生きていて。まだ陽のあたる人生をあなたは歩むのだから」

    小学生の頃に、未来を見ることが出来るという友人によって告げられた「僕」と「彼女」の未来予報、「お前ら、いつか結婚するぜ」のひと言から、何故か彼女を避けるようになってしまった「僕」。
    そして進学も就職もせず、フリーターとなり、友達がどんどん変わっていく中、未来も見えず、どん底の生活にもがき苦しむ「僕」は、彼女に会いに、彼女のいる場所へと向かうのだが…『未来予報 あした、晴れればいい。』

    訳あって200万の大金がどうしても必要になった「俺」は、大金持ちの伯母のバッグの中の現金を頂戴することに。
    伯母の宿泊する旅館の外側から壁にドリルで穴をあけ、手を突っ込んだ「俺」が掴んで引っ張り出したものは伯母のバッグではなく…『手を握る泥棒の物語』

    高校時代には死ぬことも考え、一度は自殺も試みようとした「私」は、何かに導かれるように自宅から離れた大学へ進学し、一大決心をしてサークル活動をすることに。
    そこで見つけたものは7年前に殺害された、身元不明の少女の霊が写る8ミリフィルム。
    繰り返し見るたびに、徐々に振り返ろうとする少女に恐怖心を抱きながらも、気になって仕方ない「私」は…『フィルムの中の少女』

    音楽教師を辞めて家庭に入ったことを後悔しているらしい妻との諍いが、いつしか絶えなくなり、お互いに優位に立とうとしては傷つけあう夫婦。
    嫌いになったわけではないのに、どうして歩み寄ることができないのかと考える夫は、ある朝事故に巻き込まれてしまい…『失はれた物語』

    の4編から成る「せつない物語」の名手、乙一の傑作短篇集。


    これまで読んだ乙一さんの中では、一番好き。大好き。

    『未来予報 あした、晴れればいい。』は、タイトルも良いけど、進学も就職もせずに親の脛を齧る自分を情けなく思い、自立していく友人達と比べては、自分は「何のために生きているのかわからない。…」と考える「僕」の、圧倒的な孤独感に、読んでる私まで辛くなってしまう。

    そして最後に近づくにつれ、涙がぼろぼろ溢れてしまって…(思い出しても涙がじわっと出てきてしまうくらい、せつなすぎる)。
    「僕」のこと、「馬鹿」「意気地なし」と思わなくもないけど。

    『手を握る泥棒の物語』は、「泥棒」の「俺」が間抜けで、人が好くて可笑しくて、乙一さんらしいお話で。

    『フィルムの中の少女』の、この恐怖感も、実に乙一さんならでわで。

    そして『失はれた物語』での「究極の愛」の描き方には脱帽。
    本当に凄い才能だなぁと、つくづく感心してしまう。

    乙一さんのは「あとがき」も面白くて、これも楽しみだったりする(今回のも爆笑もので)。
    人間的にも魅力的な人だなぁと。

    「この世界でたったひとりぼっち感」を強く感じる若者に、是非読んでもらいたい名作かも。
    私も、これから先涙を流したくなったら、これを何度も読み返して心を洗おうかなと。
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        コメント
        彼女が気になるの?
        気になるよ。
        • uririn
        • 2007/02/15 12:31 AM
        こんにちは。
        TBさせていただきました。
        素敵な話でしたね〜
        特に好きなのは「未来予報」ですね。
        本当にせつなかった・・・。
        また挿絵が素敵なんですよね。
        でも、ちょっとだけ前向きなのに、救われた気がします。
        • 苗坊
        • 2008/02/11 1:45 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        乙一さんの作品、読み終わった後に「絶望」を感じたことがあまりないというか、書いてる本人の人柄がしのばれるというか、黒乙一でも、落ち込んだりしないところが大好きです。
        挿絵は…素敵なんだけど、電車の中で読むには、年齢的にちょっときついものがありました(^^;
        でも、この三部作は本当に素晴らしいと思います。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/02/12 11:49 PM
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        さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫) 「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。 それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。 しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時
        • 苗坊の読書日記
        • 2008/02/11 1:44 PM
        初めて乙一さんの本を読みました。前々から一度は読んでみなければと思っていてとうとう…。面白いっっ!(さみしいお話ばかりですが)笑えるという意味ではなく、小説としてじんわりと楽しめます。 どれもよかったのですが、私は『フィルムの中の少女』が一番気に
        • 本を読もう
        • 2007/05/06 8:44 AM
        さみしさの周波数 この本はCiel Bleuの四季さんと、ディックの本棚のディックさんにオススメいただきました。ありがとうございました。 ■やぎっちょ書評 昨日瀬尾まいこさんを読破したと思ったら、乙一さんも気がつけばもう12冊目。これで積載本は完了なので、2
        • "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
        • 2007/02/28 12:39 PM

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