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    『海の仙人』絲山秋子

    海の仙人
    海の仙人
    絲山 秋子 2007/1/1 発行 新潮文庫 P.163 ¥380
    ★★★★★
    「わからん。俺様にはそういうことはわからん。ただ、人間が生きていくためには俺様が必要なのだ。お前さんのこれからもそうだ」
    「そ?」
    「ああ、だからお前さんが生きている限りファンタジーは終わらない。俺様のことなんか忘れてもいいのだ。それは致し方ないのだ。だが、お前さんの中には残るのだ」

    世捨て人のように、敦賀の海岸沿いの一軒家で暮らしていた河野の元に突然、人間に姿を変えた「ファンタジー」がやって来た。

    見える人にしか見えないという、神様の親戚のようでいて、あまり役に立ちそうにない「ファンタジー」は、しばらく河野の家に居候することに。

    その直後、「女には縁がない」と言う河野に運命の女性との出会いが訪れるも、河野は彼女に触れることはなく。

    そして昔の同僚、片桐の出現によって、河野は忌まわしい過去と対峙するために、一路、車を走らせ新潟へと向かうことに…。

    「芥川作家の真骨頂! 孤独に向き合う男女三人と役立たずの神様が奏でる不思議なハーモニー。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞」だ、そうで。


    とても短いお話で、すぐに読めてしまうのに、中身が濃くて重くて心に沁みるから、ページ数だけ多くて中身のない本が馬鹿馬鹿しくなってしまうような。

    主人公の河野の、大阪弁の台詞が飾り気がなくて、すごく「そのまんま」で良いなぁと。

    「ファンタジー」が現れたことを、すんなりと受け容れて、歓迎会までしてあげるというその性格も、好きになった女性への接し方も、そのまんまで温かいのに、物語の途中があまりに辛すぎる。

    河野を慕う片桐の気持ちも切なすぎて、その気持ちには答えられないと思う河野の気持ちも良く分かって心が痛くなるし、最後にも涙がぽろぽろ出てしまった。

    「寝るときは一緒でも眠りに落ちるときは独りだぞ」という「ファンタジー」の台詞に、みんな同じなんだと安堵するし。

    生きていくうえで、誰にも依存することなく、でもときどき気持ちだけ誰かと寄り添えたら…そんな風に生きられたらいいのになと思えたかも。

    偶然にも、昨日から能登に行って帰ってきたところなので、三人が車で通ることになる、水平線が見える日本海の景色が延々と続く、越前の海岸道路や、立ち寄った金沢の町がリアル過ぎて、これって「ファンタジー?」と思えてしまった。

    私にとっては久々に幸せな非日常体験だったから、私の元にも「ファンタジー」が訪れてたのかな…私には見えないのが残念だけど。

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        コメント
        これは・・・・良かったです。
        本当に良かったです。
        最後がちょっと切なかったんですけど、
        河野と片桐の二人がそれぞれ幸せになってくれると
        いいなぁ〜なんて思いました。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        す〜さんの「絲山さん」一押し作品でしたね。
        私もこれまで読んだ中で、一番好きです。
        河野の朴訥さというか、飾りのなさが本当に良かった。
        これからの二人に、幸せの神様が降りてくれればいいのになと。では、では。
        • uririn
        • 2007/02/14 12:22 AM
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        海の仙人 (新潮文庫)絲山 秋子 孤独に向き合う男女三人と役立たずの神様が奏でる不思議なハーモニー。 芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。 宝くじに当った河野は会社を辞めて、碧い海が美しい敦賀に引越した。 何もしないひっそりした生活。そこへ居候を志願する、役立た
        • そういうのがいいな、わたしは。(読書日記)
        • 2008/01/19 11:03 PM
        初めて絲山さんの作品で心から『これ、いいっ』と素直に 思えた作品だった。 宝くじで3億当たった河野は勤めを辞め、敦賀に引っ越す。 そこでまるで仙人のような、 隠者のような隠遁生活を送る。 その生活の中で出会っ
        • My Favorite Books
        • 2007/02/13 8:26 PM

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