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    『色ざんげ』島村洋子

    色ざんげ
    色ざんげ
    島村 洋子 2005/3/25 文庫化 中公文庫 P.258 ¥720
    ★★★★
    好きだから自分のものにする、その手段なんか選んでいる余裕がありません。好きなものを自分のものにしたのに、色気違いよばわりされるのには、抗議をします。誰にもこんな気持ちはあるんじゃないかと思います。燃えるような恋心を世間や相手の都合で、自ら消すことができるのだったらば、それは恋でもなんでもありません。本当に生命を懸けて惚れれば、どんなことでも平気でできます。

    1936年(昭和11年)5月18日、東京荒川区の連れ込み宿の一室で発見された、陰茎を切り取られた男の絞殺死体。

    布団の敷布には鮮血で書かれた「定吉二人キリ」の文字。
    そして、死んだ男の太ももや腕にも「定」の文字が切りつけられていたという、猟奇殺人事件「阿部定事件」は、世間に異常な興奮をもたらし、三日後に逮捕された「阿部定」の名は、稀代の毒婦として後世まで語り継がれることに…。

    神田で一、二を争う、裕福な畳屋の末っ子として生まれ、甘やかされて育ったものの、そのあまりの放蕩ぶりがたたり、父親から見放され、芸者として預けられ、後に女衒に売り飛ばされ、男を渡り歩くことになった「定」の「女」としての生涯を関係した男たちの視点から描く、

    『一九四七年・秋――山元某』、『一九二〇年・春――慶大医学生』、『一九二一年・梅雨――稲葉正武』、『一九三六年・春――板前某』、『一九三六年・初夏――大宮先生』、『一九四一年・春――稲葉正武』、『一九四六年・冬――天ぷら屋某、織田作之助』、『一九六八年・春――進一』

    そして、阿部定本人のインタビュー形式の『二〇〇一年・春――阿部 定』から成る、連作短編小説集。

    「その女の名は、阿部定。彼女との奔放な情交に耽溺し、何がしか人生を狂わされた男たちが、嘘かまことか、定の記憶を語る。女性作家が虚と実の間に描く幻想のエロティシズム。」だ、そうで。


    大島渚監督の『愛のコリーダ』をめぐる上映禁止事件?というのが何故か子供心にものすごく印象に残っていて、「阿部定事件」には結構昔から惹かれるものがあって…。

    そして大人になった私は、これを読んで「定」のその時の気持ちが理解できるようになってしまったかな。

    「あたしは今、安心しているんですよ。あの人がいないから安心しているんです」という「定」の言葉は、一度は恋に狂ったことがある女性ならきっと理解できそうな。

    ここに語られる「定」と関係を持った男たちが、誰一人として「定」を悪く思ってないのが、「定」という女性の全てを物語っていて、「どうせ自分は殺されるほど定に愛されてはいなかった…」と、殺された石田を少々羨み、残念がる男の惨めな呟きに、こんな風に男に思わせた「定」を羨ましく思える。

    男としても、そういうの案外「本望」なのかもな、とも。

    娘時代からの「定」を知る男の、「真面目すぎるほど真面目なゆえに逆におかしくなってしまった女なのではないか」という台詞にもうなづけるし、これまで誰にも執着しなかった「理性の強い女」が「初めて本気で好きになった男、石田に出会って、綺麗な身体で、最初からやり直したかったのではないか」というのは、涙が出るほど良くわかる。

    そうまで恋しく思える相手に巡り会えるというのは、幸せなのか、不幸なのか。
    男と女は難しい…。

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        コメント
        きのう慶大で、事件っぽいざんげしたかったみたい。
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