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    『レインレイン・ボウ』加納朋子

    レインレイン・ボウ
    レインレイン・ボウ
    加納 朋子 2006/10/25〈文庫化〉 集英社文庫 P.304 ¥560
    ★★★★
    「もう七年って言うべきか、まだ七年って言うべきか……私って薄情なのかなって気がするくらい、遠いわよね」
     過去の人間関係を切り捨てて進んでいるようで、後ろめたさがないと言えば嘘になる。
    「きっとまだ、昔を懐かしむような歳じゃないからですよ。誰だって、今が大事だし、今が大変なんだもん」                       〜『青い空と小鳥』より〜

    初恋を実らせ、人生の三大イベント、結婚、出産、住宅の取得、を二年のうちにばたばたと済ませてしまった、渡辺美久、25歳。
    子育てに追われる美久の元に、高校時代に在籍していたソフトボール部のキャプテン、片桐筒陶子から、チームメイトだった「チーズ」こと、牧知寿子の訃報を知らせる電話が入ったことから物語が始まり…。

    7年振りに昔の仲間に会った美久は、その通夜の席で真っ先に泣き出し、涙はみんなに伝染していくのだが、実はその涙の理由はチームメイトの死を悼むものではなく…『サマー・オレンジ・ピール』

    チーム・メイトの中で、卒業してから一番の豹変を遂げた小原陽子。
    ずけずけした物言いと「キツい」性格から、友達を何人も失いながらも、その性格を変えようともせず、今は出版社でバリバリと働く強気な陽子の物語…『スカーレット・ルージュ』

    名は体を表すの如く、ふくよかで、チーム内の誰からも好かれ、可愛がられていた、今は保育園で働く、善福佳寿美の物語…『ひよこ色の天使』

    看護士として働き、患者の死に幾度も立会い屋上で一人涙するも、人前では決して涙を見せない、男勝りで勝気な、井上緑の物語…『緑の森の夜鳴き鳥』

    大学を卒業したものの、就職もせずプー太郎生活を送り、姉の結婚式でも親戚から嫌味を言われてしまう、坂田ゆりの物語…『紫の雲路』

    新米の管理栄養士として、これまで誰も長続きしなかった会社の社員食堂に派遣されることになった、高校生の頃から「宇宙人」とあだ名される三好由美子の物語…『雨上がりの藍の色』

    そして最後に、チームメイトの誰からも尊敬され、人望の厚かったソフトボール部のキャプテン、丸の内の「鳴海物産」で働くOL、片桐陶子の物語…『青い空と小鳥』

    25歳という若さで、急死した「知寿子」と、通夜にも葬儀にも姿を見せなかった、「知寿子」の一番身近にいたはずの「理穂」の不在を軸に、かつてのチームメイト達が、自分のあるべき姿を求め、今を懸命に生きる姿を描く、7編から成る連作短篇集のような長編小説。

    「昔のチームメイトの通夜で久しぶりに集まった陶子たち7人。来なかったのは一人だけ…。7人の視点を通して語られる、それぞれの人生。女たちの友情と成長を描き爽やかな読後感を残す青春ストーリー。」だ、そうで。


    ここに出てくる人たちの相関図を描いてみたくなるような、何だか複雑な女同士の微妙な人間模様…。

    誰と誰が仲良くて、誰が誰を苦手としてて…とか、そうなる背景とか、それぞれの性格が良く描かれていて、ものすごく納得してしまった(この中で、誰の性格が一番自分と近いかな…と考えて読むとなお面白い。ちなみに私は「陽子」さんかな…キツいし、男にはすぐ逃げられるし…)。

    チームメイトそれぞれの視点から語られる「知寿子」さんや「陶子」さんの話が絶妙で、一編ずつの「日常の小さな謎」を解くことも楽しめて、核となる謎の部分も意外性があって…。

    一番好きなのは、意地悪な〈サンババ〉の出てくる『雨上がりの藍の色』。
    ここで管理栄養士として派遣された由美子さんの苦肉の策の社員食堂のメニューは、ちょっと見習いたいかも…男の胃袋を掴むという細木さんの教えにも通ずるし。

    でも何より、私の尊敬する陶子さんの祖母や、頑なな陶子さんと荻との恋の行方(本人は全く意に介してないのかもしれないけど)が、ちょこっと見れただけで、ものすごく満足(ここまで気配りの行き届いた彼氏が欲しいなと、陶子さんが心底羨ましくなったりして)。

    普段「人の不幸は密の味」としか考えてないような悪魔的な私でも、この二人には上手くいってほしいなぁと思えてしまう(二人とも不幸な過去を背負っているので…『月曜日の水玉模様』参照)。

    最後の『青い空と小鳥』のタイトルは、縮めると『青い鳥』になるんだなぁと…それ、陶子さんが探してるのかな?たぶん近くにあるのに…。
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        コメント
        こんばんわ^^
        素敵な作品ですよね〜加納さんの作品は本当に好きです。
        最後の最後で陶子が「月曜日の水玉模様」の陶子だって気付きました^^;
        遅いですよねぇ・・・。
        どの作品も良かったです。
        私も「雨上がりの藍の色」好きです。
        由美子の性格が羨ましいですね。
        • 苗坊
        • 2007/01/28 7:56 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        私は確か苗坊さんのブログのこの記事を読んで、ここに出てくるのがあの陶子さんなんだと、前知識を頂いたのです(^^)
        陶子さんの心にある毒、結構好きです。加納さんの本、これからもどんどん読もうと思いました。
        由美子の性格も羨ましいけど、玉の輿も羨ましいかも…。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/01/28 11:20 PM
        最初に『月曜日の水玉模様』を読んでたら
        萩と陶子の関係も良く分かってもっと面白く読めたかな〜と思います。
        由美子がいいですね。
        自分もあのくらい頑張れたらいいのに・・・って思います。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        由美子さん、かなり努力してましたね。そういうのちゃんと見ててくれる人がいるって、いいですね。
        頑張る人は、やっぱり報われるのかもしれませんね(^^)。
        • uririn
        • 2007/01/29 11:40 PM
        こんにちは。
        会わなくなってから7年、一番微妙かもしれませんね。
        遠い思い出にするにはまだ足りず、その頃を思い出したりすると胸が痛みもする。
        けれども、ついこの間というには時間が経ち過ぎてしまった。
        過去を振り返りつつも、前向きに歩いている現在進行形の姿が読んでいて気持ちいいものでした。
        らぶほんさん、こんばんわ(^^)
        加納さん、以前はちょっと苦手だったのですが『月曜日の水玉模様』で辛口の陶子さんにすっかり参ってしまいました。なので、陶子さんの出てくるこの本もとても好きです。女同士の会わなくなってからの7年間、ほんと微妙ですね(^^;ライバル心というか、何というか…久しぶりに会った友達にあんまり不幸な姿は見せたくないなというか…。複雑な女心がとても良く描けてるなぁと思いました。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/09/25 11:40 PM
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