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    『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

    夜は短し歩けよ乙女
    夜は短し歩けよ乙女
    森見 登美彦 2006年 角川書店 P.301
    ★★★★★ 
     しかし重大な問題は、彼女がまったく意を払わないということであった。私の持つたぐいまれなる魅力どころか、私の存在そのものに。こんなにしょっちゅう会っているのに。
    「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ! 先輩、奇遇ですねえ!」

    ほっそりとした小柄な身体つき、艶々と光る短く切り揃えた黒髪、猫のように気まぐれな足どり…賀茂川の源流のごとく滾々と湧き出して尽きることのない、たぐいまれなる魅力と天然キャラを兼ね備えた「彼女」。

    所属するクラブの後輩である「彼女」と初めて言葉を交わしたその日から、魂を鷲掴みにされてしまった先輩の「私」は、着実に彼女の外堀を埋めた後での本丸攻略を夢見て、まずは何とか彼女の眼中に入ろうと、日夜、彼女の行く先々に出没するという、地道で怪しい「ナカメ作戦」を決行することに…。

    あるときは、夜の木屋町先斗町で、夏の下鴨神社の古本市で、さらには日々の行動範囲の、附属図書館や、大学生協で、吉田神社で、出町柳駅で――。

    ありえない数々の作られた運命の赤い糸的「偶然の出会い」も、気がつけば、春が過ぎ…『夜は短し歩けよ乙女』、夏が来て…『深海魚たち』、秋を越え…『御都合主義者かく語りき』、冬を迎え…『魔風邪恋風邪』。

    四季折々の京都を舞台に繰り広げられる、キュートで奇抜な恋愛(片思い?)小説。

    『「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大回転だった!
    大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン…(大森望「文芸評論家」)』だ、そうで。


    後輩の「彼女」の天然ぶりが、とにかくもう、可愛いくて可愛くて…(「おともだちパンチ」からして、やられてしまった…)。
    森見さん独特の擬音も可愛いし。

    出てくるキャラはみんな濃ゆくて、変わり者ばっかりなんだけど、そこがまた奇妙奇天烈で、すごく面白い!
    もちろん「先輩」をはじめ、こんなにキャラ全員を好きになる小説も珍しいかも。

    最初の章で高利貸しの「李白」さんが登場した場面は、何となくジブリの映画っぽくて(「湯ばぁば」みたいだし…)、摩訶不思議な世界。

    夏の古本市に出てくるお子さま(古本の神様?)も、そこで繰り広げられる馬鹿馬鹿しいような灼熱地獄も、秋の学園祭に出てくる「パンツ総番長」の恋の話も、どれもこれも、すごく楽しくて、上手く出来ていて、ものすごくわくわくさせられてしまった。

    自分に自信がなくて、彼女に打ち明けることができずに悶々と悩む先輩の姿は、本当に見ていてもどかしくて、微笑ましくて、可笑しくて…。

    でも、最後はちょっぴり現実的かな。
    最後のページの「先輩」と「彼女」、それぞれの思いが、絶妙かも。

    学園祭事務局長の「どいつもこいつも好き放題! 盗んだバイクで走り出したあの日のように、行きつく先も分からぬまま、走っていけると思っているのか!」という爆笑台詞に私は心を鷲掴みにされてしまった(尾崎ファンなので…)。

    タイトルを見て「い〜のち〜みじ〜かし♪恋せよ〜乙女〜♪」と、ついつい歌ってしまうけど、この歌のタイトルが『ゴンドラの唄』ということを、これ読んで初めて知った。(てっきりオペラの「蝶々夫人」の歌かと…)どのみち、古いけど…。

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        コメント
        こんにちわ。
        京都を舞台にした小説ってけっこう多いんですね。
        木屋町先斗町の狭い通りは好きですねー。
        まだ10代の終わりに京都で居候したことがありますが
        食べ物屋では、お釣りをマケてくれる店は多いですね。
        学生が多い街がそんな雰囲気にしているんかなと
        思いました。
        タジイさん、こんばんわ(^^)
        2時間もののサスペンスには京都が良く舞台になってますが、こういうタイプのは珍しいかな?
        昔は結構どこ行ってもねぎったり、おまけとかしてもらってたけど、最近はどうなんだろう。確かに学生さんの多い町だけど、きょうびの学生さんはお金持ってそうだしね(^^;では、では〜。
        • uririn
        • 2007/01/09 1:03 AM
        サイコーでした。
        ほんと主役二人もそうですが、
        他のキャラもいい味出してて、良かった。
        「鴨川ホルモー」に続いて京都を舞台にした話。
        京都だからこそ出来た
        リアルとファンタジーの見事な融合。
        そんな話でした。
        良かった〜〜。
        す〜さん、こんばんわ(^^)
        これ、本当にサイコーですね。
        この先輩と彼女の初々しさが、失くしていた大切な何かを思い出させてくれるような…そんな本でした。
        (やっと「クリスマスのぶたぶた」が届きましたが、今年のクリスマスまでとっておきます(^^;)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/01/13 12:33 AM
        この本が森見さんの初読みだったのですが、
        おともだちパンチにノックアウトされました。
        本屋さんで見かけた「ラ・タ・タ・タム」を
        思わず買ってしまったほどです。
        小葉さん、こちらにもコメントしていただいてありがとうございます(^^)
        「萌え〜」という気持ち、これを読んで少々理解できてしまった気がします。「黒髪の乙女」は可愛すぎますね。うらやましい(^^;
        その絵本を手に入れてしまうとは…相当やられてしまいましたね(^^)でも、気持ち分かります〜。
        では、またね。
        • uririn
        • 2007/02/06 12:50 AM
        uririnさん、こんにちは。
        とってもかわいらしくて、遊び心がいっぱいのお話でしたね。
        キャラクターにみんな愛着が持てること、うなづきました。
        ♪盗んだバイクで走り出す…
        尾崎が浮かんだのは、私だけじゃなかった(笑、たしかこれ「15の夜」?)。
        「い〜のち〜みじ〜かし♪〜」の『ゴンドラの唄』、
        私は黒澤明監督の映画『生きる』で、知りました。
        森見登美彦さんの新刊「新釈走れメロス他四篇」アップしています。
        読まれたらお気軽にどうぞ。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        そうそう「15の夜」。今でもカラオケで熱唱してしまいます(^^;
        森見さん、ほんと例えが面白くて、大好きです。「ぷるぷる」一つを表現するのに、こうもバリエーションがあるのかと…。今日『太陽の塔』を読んだので、明日UPしたらTBさせていただきますね。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/04/06 12:25 AM
        こんばんわ。TBさせていただきました。
        面白かったですね。
        森見さんの作品はレトロな感じが魅力ですよね。
        このようなラブストーリーは森見さんにしかかけないと思います。
        まだ2冊目なので、もっと読んでいきたいですね。
        • 苗坊
        • 2008/03/23 9:21 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        「黒髪の乙女」のイメージ、何となく苗坊さんとかぶってる気がします(^^)
        今までにない森見さん独特なオモカワ(おもしろい、かわいらしい)ラブストーリーでしたね。癖になる作家さんです。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2008/03/24 11:26 PM
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        • 2009/10/25 9:08 PM
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        • 2009/09/19 3:34 PM
        夜は短し歩けよ乙女 私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。 吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。 我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。 「
        • 苗坊の読書日記
        • 2008/03/23 9:16 PM
        京都はやっぱり、百鬼夜行、魑魅魍魎が闊歩する街であるような!? 「鴨川ホルモー」しかり、この本しかり、京都の夜は「げにおそろしきかな」…[:びっくり:] こうして出逢ったのも、何かの御縁。 世の中には「奇遇」なんて事はないんだよ、全部必然のなすワザ
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        • 2008/01/24 11:47 AM
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