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    『きつねのはなし』森見登美彦

    • 著:森見 登美彦
    • 出版社:新潮社
    • 定価:1470円(税込み)
    きつねのはなし
    livedoor BOOKSで購入
    書評データ
    ★★★★★
    町が夕闇に沈みだすと、横に伸びた路地は神秘的に見えた。懐かしいようでもあり、不気味なようでもある。その奥へ入って行くと、そのまま迷って出られなくなるような気がした。枝分かれした路地の奥で何かが私を待ちうけているように思われた。雨が降り始める前は、ことさらそんな気配が漂う。〜『魔』より〜

    京都の一乗寺にある、小さな古道具屋、古くて面白いものであれば何でも扱う「芳蓮堂」。
    頼りなげな女主人が一人で切り盛りしている「芳蓮堂」で、バイトをすることになった大学生の「私」が、お得意様である風変わりな客との取り引きに応じて、差し出してしまった大切なもの…『きつねのはなし』

    大学生の頃、「先輩」が住んでいた一乗寺の古いアパートに入り浸り、飲めない酒を飲みながら「先輩」の話してくれる様々な話に耳を傾けるのがとても好きだった「私」。
    そんな「私」の前から姿を消し、もう二度と会うことのない「先輩」との思い出の日々…『果実の中の龍』

    家庭教師の教え子の自宅、御所の東側の入り組んだ狭い路地界隈で、近ごろ次々と人が襲われる事件が起きていると聞かされた「私」。
    ふと覗いた近所の煙草屋の店先で「私」の顔を見て何故か奥へ逃げ込んだ老婆は、夜な夜な人を襲っているものの正体は、人間ではないと話しているらしく…『魔』

    鹿ヶ谷にある屋敷に一人で暮らしていた祖父が亡くなり、その通夜に起きた不思議な出来事。
    深夜、寝ずの番を務める「私」と伯父たちの前に現れた「芳蓮堂」の女主人が、祖父から預かっていたものは…『水神』
    の、4編から成る、微妙な繋がり方の連作集。

    「熱狂的支持を得た、『太陽の塔』から三年、京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。
    端整な筆致で紡ぐ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。」だ、そうで。


    これまた京都独特の古めかしさと、怪しさが醸し出す、不思議な感覚に陥る話で…。
    現代の話、なのに(数年前の出来事だとしても)何故か懐かしい匂いがするような。

    つい最近、京都新聞に掲載されていた森見さんのインタビュー記事を読んだばかりなので、本当に京都にとりつかれちゃった人なんだなぁと思ってたけど(写真で見る限りは、かなりの男前…)、それだけに、出てくる場所が、なかなか地味な京都の路地だったりするのでちょっと嬉しかったりして。

    読んでいて、子どもの頃に怖がっていたものを次々と思い出してしまった(今見れば何でもないようなもの、何故か家に飾ってあった能面とか、おばあちゃんの部屋の床の間の掛け軸とか、何となく不気味なもの)。

    そういう類の「怖さ」がひしひしと…。

    『魔』を読んで「逢魔が刻」の言葉が真っ先に頭に浮かんだので、意味を調べてみたら何だかすごく、この本にしっくりきたような。

    黄昏時は、沈んでいく太陽を背にして、その人が誰であるか分からない状態、誰彼(たそがれ)であり、近づくまで誰であるか分からない、近づいて初めて人か魔物なのかを知ることになる、魔物と会う時間…。

    「逢魔が刻」に、入り組んだ京都の路地をうろうろしてしまったら(似たような路地が多いし)、本当にとりつかれてしまうのかもしれないなと思わされてしまう。

    そんな「怖さ」の中で、一つだけ種類の違う「怖さ」が味わえた『果実の中の龍』が一番「ぞわっ」としてしまった。

    やっぱり人間の心が一番怖いのかも…。

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        コメント
        はじめまして。
        uririnさんは京都にお住まいなんですね。
        この物語の世界を肌身で感じることができるなんて、うらやましいです。
        京都の街は観光で何度か訪れただけで、このお話に出てくる地名は知らないところがほとんどですが、そんな私もこの本から懐かしい感じを受けました。
        小葉さん、はじめまして(^^)
        京都に住んでいて良かったなんて、普段思ったことなかったのに、森見さんの本を読んでから、すごく愛着がわいた気がします。
        これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m
        • uririn
        • 2007/02/06 12:42 AM
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        きつねのはなし ■やぎっちょ書評 森見登美彦さんの月、ということでこの本。 きっと100年後の人は平成を振り返っていうことでしょう。 「昔(平成)ってさ、こんな物の怪がたくさんいたんだねぇ」 「非科学的だよねー」 「良かった現代に生まれて」 とゆう感じ
        • "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
        • 2007/04/20 1:17 AM
        きつねのはなし森見 登美彦 (2006/10/28)新潮社 この商品の詳細を見る 京都を舞台にした、幻想的で耽美、そしてちょっぴり怖い4つの短編集です。 「きつねのはなし」 京都にある小さな古道具屋「芳蓮堂」で、バイトをす
        • しんちゃんの買い物帳
        • 2007/04/12 5:32 PM
        「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」の京の街が舞台の4編。 4編は別々の話ですが、ゆるく繋がっています。 四国の田舎から見ると、京都はとんでもない都会です。でも京都が舞台のこの本は、東京を舞台にした小説と違ってどことなく懐かしさや近しさ
        • 宙の本棚
        • 2007/02/05 8:40 PM

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