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    『卵の緒』瀬尾まいこ

    卵の緒
    卵の緒
    瀬尾 まいこ 2002年 マガジンハウス P.191
    ★★★★★
    「母さんは、誰よりも育生が好き。それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。今までもこれからもずっと変わらずによ。ねえ。他に何がいる? それで十分でしょ?」
    〜『卵の緒』より〜

    小さいころから「父さん」のことは口にしない方が良いのだと悟っていた、母さんと二人きりで暮らす小学4年生の育生。

    自分は捨て子なのかもしれないという疑惑を長年抱いていた育生が、母さんとの繋がりの証拠である「へその緒」を見たいと言っても、母さんからは軽くかわされ…。

    そんな母さんが最近毎日のように育生に話すのは、同じ職場の「朝ちゃん」のことばかり。
    そしてある夜、晩御飯の途中で突然母さんが「朝ちゃん」を呼びたいと言い出して…『卵の緒』

    父さんの愛人の子供を、母さんが引き取ると言い出し、小学6年生の七生と一緒に暮らすことになった、高校3年生の七子。

    七子は、素直で朗らかで、大人から気に入られる術を身につけたような、良く出来た弟、七生のことをどうしても可愛いと思えず、受け入れられないでいる。

    ところが、七生を引き取って5日目にして、母さんが入院することになり、七子と七生、二人きりの生活が始まり…『7’s blood』

    「捨て子だと思っている小学校4年生の育生、妙ちきりんな母親、そのとぼけたボーイフレンド、不登校の同級生、血の繋がらない親子を軸に、「家族」を軽やかなタッチで描く。坊ちゃん文学賞大賞受賞作に書き下ろし1編を収録。」だ、そうで。
    この『卵の緒』が、瀬尾さんのデビュー作なのですね。


    瀬尾さんの本はときどき、読んでる途中に、突然後ろから鈍器か何かで頭を思い切り叩かれてしまうような、そんな感じがしてしまう…。

    乗り越えなきゃいけない壁が厚すぎるというか、甘くない現実というか。
    でも私は、そこに惹かれるのかな。

    『卵の緒』のお母さんは、私が母親なら、こうなりたいと思えるような人物で、こんな風に子供と向き合えれば良いなと思える。

    突然不登校になってしまった、育生のクラスメイトの池内君の台詞が泣かせるし、何より「朝ちゃん」の提案で始めた疑似体験には感心させられてしまう。

    色んな意味で、こんな教え方があるのか…と、是非世のお母さんたちにも実践してもらいたいような。

    ある出来事がきっかけで、猫を神様のようにあがめる、猫マニアのお祖父ちゃんもツボに嵌ってしまった。

    もう一つの『7’s  blood』は、これまで読んだ中で一、二番目に好きかも。
    何となく、足ツボマッサージのように、堪らなく痛いけど効く、というか。

    七子の心ないひと言に、「子どもだからだよ」と答える七生の、それまでの生活を想像してしまうと、あまりにも可哀相で…。

    水商売をしていた七生の母親が、七生に伝授したという「ほんの少し気合いを入れて、鳥肌立ちそうな言葉を吐くって大切なのよ。そういう言葉が人付き合いを円滑にしていくの」は、全くその通りで…でも、そういうこと言う自分が嫌で、時々空しくなったりしてしまうんだけど…確かに人間関係には必要なことだなと。

    「あとがき」を読んで、さらに瀬尾さんが好きになってしまった(私も、親しくない人と食事をするのが何よりの苦痛だったりするし…)。
    これからも、さまざまな繋がり方で、愛に満ち満ちた家族の形を描いてほしいなと、ものすごく期待してしまう。
    家族の形なんて、それこそ人の数だけありそうなので。

    育生の母さんの言う「自分が好きな人が誰か見分けるとても簡単な方法」…。
    私は、外で美味しいお刺身を食べると、「ああ、これを家の猫さんたちに…」と思ってしまうので、これはかなり当たってるなと…。

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        コメント
        とにかく「母」がすごい!
        こんなに大らかで細やかな母。
        なりたいけれど、絶対無理(^^ゞ 
        でもどこかに居て欲しいですね。
        こんばんわ^^
        ステキな作品ですよね。
        すごく大きな愛を感じるんですけど、今まで読んだことないあったかさといいますか・・・
        瀬尾さんの書くあったかい雰囲気がとても好きです。
        2作どちらも好きですね。
        • 苗坊
        • 2006/12/07 6:25 PM
        かつきさん、こんばんわ(^^)
        本当に「母」が素晴らしいですね。
        『卵の緒』のお母さんが、可愛くて、可愛くて。
        「人を好きになる」ってやっぱりいいものなのかもと、思えてしまいました。
        では、では。

        • uririn
        • 2006/12/07 11:57 PM
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        ほんと、これまでの誰の作品とも違う、瀬尾さんだけの世界を感じます。大好きです〜。
        もっともっと読みたいけど、未読の本が少なくなってくると寂しくなってしまいそうな。
        好きな食べ物を最後までとっておくタイプなので…。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/12/08 12:02 AM
        こんにちわ☆
        私の理想とするお母さんだなぁと思っていたのでuririnさんの感想を読んで同じような気持ちでいた人がいてうれしかった^^
        あー母になりたいっ!
        musagoroさん、こんばんわ(^^)
        きっと神様が、仲の良いmusagoroさん夫婦には、今は二人だけの幸せな時間をたっぷりあげようとしているのではないかなーと、私には思えてしまうのですが(^^)うらやましいし。
        そして、いつか母になったなら、お互いに(いやいや、私もまだまだこれからかもなので)こんなお母さんになれたらいいね。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/12/24 11:28 PM
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        卵の緒 瀬尾 まいこ 30歳最初の贈り物は神様から 「残念ながら今回も子供は無理だったみたいです」というおしるしでした。 ふざけてる。 何かの未来暗示かと思ったけれど無視することにしました。 妊娠してたらよいなと思い禁酒・禁カフェインを解除するこ
        • 柚子すき毎日
        • 2006/12/24 1:06 PM
        卵の緒 オススメ! 「卵の緒」 僕は捨て子だ。なぜなら家にあるはずのへその緒がないんだから。 鈴江育生は母親と2人暮らし。育生は父親の顔を知らない。 僕は本当の子じゃないの?というと、祖父母は激しく動揺する。 母親はこういう。 「母さんは誰よりも育生
        • 苗坊の読書日記
        • 2006/12/07 6:17 PM
        第7回(2002年)坊ちゃん文学賞受賞作「卵の緒」を収録したふたつの中編小説集。それぞれ、ちょっと変わった家族の物語。ほんわりとして不幸なんだけれど暗くはなく、でも切ない。ひとつひとつのエピソードやセリフがうまく登場人物に親近感が沸きます。特に母親が
        • 猛読醉書
        • 2006/12/07 5:32 PM

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