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    『Run!Run!Run!』桂望実

    RUN!RUN!RUN!
    RUN!RUN!RUN!
    桂 望実 2006年 文藝春秋 P.300
    ★★★★★
    優は周りのヤツらの顔を眺めた。出走しない部員まで緊張した顔をしている。意味ないのに。学内選考に落ちる程度の能力しかないヤツらが、なんで出走選手たちと同じ顔をしてるんだ? なぜここにいる? なぜ陸上をやめない? なぜ走る?
     ……答えられるヤツはいないのかもな。

    父親の叶えられなかった夢を背負い、父親の期待を一身に受け、幼い頃から走ることを強いられてきた岡崎優。

    大会に出れば、記録を次々と塗り替え、不敗神話を欲しい儘にする、走るために生まれてきたかのような優の目標は、あくまでもオリンピックに出場し、金メダルを獲ること。

    そのため、アプローチしてきた多くの大学の中から、開校3年目にして箱根駅伝で準優勝を果たし、最先端のスポーツ科学をベースにした運動選手のバックアップ体制が充実するS大学を選び、ここでの四年間の目標は、とりあえず箱根駅伝に出場することと定め、走ること以外のことには決して興味を示さず、誘われた飲み会にも参加せず、友達も作らず、声援を送ってくれる仲間をすら蔑み、優のために組まれた特別な練習メニューを黙々とこなす日々。

    大学に入学してから初めての大会を目前に控えたある日、優の携帯に父からの急を要する電話が入り、不安に駆られる優がやっとのことで辿り着いた病院で知らされたのは、二つ上の兄の突然の訃報。

    そして、兄の死によって、優のこれまでのアスリート人生を揺るがすような真実が明かされ、優の苦悶に満ちた日々が始まる…。

    「アスリートとして最高の資質を持つ主人公が知った事実とは。箱根駅伝に懸ける仲間と走るうちに、閉じかけていた世界が開いていく。
    映画にもなった『県庁の星』の大ヒットで、今大注目の著者が、過酷な運命を背負わされた青年の友情と成長を熱く爽やかに描く。」そうで。


    自分より劣る者を平気で切り捨てる優の傲慢な性格…その裏側にある母親への思慕と寂しさ…。

    何かもっと酷い人かと思ってたけど、過去を手繰ると、案外そこは普通の人なんだと、可哀相に思えてしまった。

    徹底した自己管理の姿勢とか、ストイックなところは、何となく昔のイチローっぽいような。

    自分では、そうじゃないと自問自答しながらも、結果的に周囲から見れば「いい奴」っぽくなっていく過程が面白くて、時間を忘れて読み耽ってしまった。

    そして、優がどれだけ突き放しても、優に心酔し、優を庇い、仲間から離されないように気遣う同級生の「岩ちゃん」の存在が、ものすごく心強くて「お願いだから見捨てないでね」と祈ってしまった。

    「チーム岡崎」を自らの提案で発足させた後の、「そのうちロッカー岡崎…」という仲間の皮肉には笑ってしまったけど、それでも、まだ、この大学の部員の皆はめちゃくちゃ優しいなと思えてしまった。

    母親も父親も自分勝手すぎて、腹が立ったけど、そのために失ったものの大きさに、いつか気付くのかな…。

    箱根駅伝のシーンも、三浦さんの『風が強く吹いている』とは、また別の意味での感動があって、やっぱり涙してしまった(箱根駅伝に対するアプローチが全く別物なので、公平に★五つ)。

    桂さんの本に出てくる「女性」は嫌いだけど(母親にしても、保健師さんも…言ってることはすごく感動的だけど、キャラが好きでない)、「男の子」を書かせたらすごいんじゃないかなと思える。

    箱根駅伝まで、ほぼ、あと一ヶ月…、来年はこれまで以上にいろんな意味で、興味を持って見れそうな。
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        コメント
        uririnは箱根で思慕するつもりだった。
        それでも文藝春秋は自問自答しないです。
        また箱根に駅伝へ意味したかもー。
        またきょうは文藝春秋が大学提案された!
        また文藝春秋と声援したいです。
        uririnさん、こんばんは。
        優の葛藤と箱根駅伝に懸ける陸上部員たちのドラマに読み応えがありましたね。
        「岩ちゃん」がものすごくいいやつで、物語を引っ張っていくみたいでした。

        ごめんなさい。「12星座」はトラバ、届いているのですけど、
        こちらはコメントのみしか着いてなくて・・・。
        昨日は込み合ってなかったので、時間帯によって反映しなかったりがあるのかも・・・。
        また、お手数おかけします・・。トラバURLです。

        http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/164-22fd20d4
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        岩ちゃんみたいな人に看病されてみたいと思ってしまいました(^^)
        本当に岩ちゃんの暖かいキャラに救われたというか。
        では、もう一度チャレンジしてみますので宜しくです。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/12/06 1:02 AM
        uririnさん、こんばんは。
        トラバ、この記事も「ボトルネック」も、ちゃんと届きました。
        お手数おかけしました。ありがとうございます。

        おお、岩ちゃんみたいな人に看病されてみたい、とまで・・。
        もしかして惚れちゃいました?
        寒い冬、添い寝は、いかがでしょう(過激でした?失礼しました・・)。
        こんばんは。はじめまして。
        主人公は、嫌な奴嫌な奴と思ってましたけど、いろいろ考えると普通の子なのかもしれませんね。
        岩ちゃんみたいな人が見捨てずずっとそばにいてくれたというのは彼は実は大人物なのかもしれません。

        駅伝シーン、良かったですね。私も泣いてしまいました。

        親は最後まであんなんだったけど、駅伝を共に走った?理解してくれる仲間がいて最後の最後で救われました。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        身近には全然良いなと思える人がいないもので、ついつい物語に出てくる人に恋してしまいます(^^;
        岩ちゃんは、肉厚布団そうなので、暖かくて良さげですね。
        今の私は寒すぎて風邪をひいてしまいそうです。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2006/12/07 1:52 AM
        ちきちきさん、はじめまして(^^)
        あの母親ではな…というか、あの父親もか…。
        でもお陰で一人暮らしするようになって、やっと色んな世界を垣間見れて、良かったのかなと。
        やっぱり仲間とか、友達とかって大切だなぁとつくづく思い知らされるような本でした。
        では、では。

        • uririn
        • 2006/12/07 1:59 AM
        こんにちわ^^
        TBさせていただきました♪

        主人公の優は確かにイヤな奴だと思うのだけど、共感できる部分もあったし、uririnさんのおっしゃるとおり、性格に問題はあっても普通の少年(青年?)だと思うのですよ。
        許せないのはやっぱり親です。
        物語の中では、口では申し訳なかった・・とは言ってるものの、本当に心からそう思ってるのかどうか分からないラストでしたし、もしかしたら、彼らは一生自分の犯した重大な過ちに真摯に向き合うことはないのかも・・という思いで読み終わりましたね。
        じゅりんさん、こんばんわ(^^)
        これを読んで桂さんのファンになったぐらい、これはすごく好きな一冊です。そして私も優のこと、嫌いにはなれなかったです。
        そういえば桂さんの本に出てくる親って、ろくな大人がいないかも…と、今ふと思えてしまいました。中でも、ここに出てくる親の「エゴ」というか、そういうのは許せないですね。優がとても可哀相でした(岩ちゃんがいてくれて良かったけどね)。
        では、では〜。
        • uririn
        • 2007/12/25 11:32 PM
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        JUGEMテーマ:読書 目標はオリンピックの金メダル。箱根駅伝は通過点。仲間なんか必要ないはずだった…。アスリートとして最高の資質を持つ主人公が知った事実とは? 箱根駅伝に懸ける仲間と走るうちに、閉じかけていた世界が開いていく。 なかなか良かったです!賛
        • *precious memories*
        • 2007/12/22 1:02 PM
        県庁に勤めるキャリア公務員 野村は、ある日、人事交流研修のため民間企業に出向する事になった。出向後は、そのノウハウを生かして200億円の老人ホームのプロジェクトの主要メンバーを約束されていた。
        • 映画や本を淡々と語る
        • 2007/02/28 8:54 PM
        桂 望実 RUN!RUN!RUN! [要旨] 目標はオリンピックの金メダル。箱根駅伝は通過点、仲間なんか必要ないはずだった…。天才ランナーを揺さぶる血の秘密。 どこかで聞いたことのある作家さんだなぁと思ったら… 「県庁の星 」の作家さんだったのね。
        • 乱読日記
        • 2006/12/07 10:12 PM
        『RUN!RUN!RUN!』桂望実(文藝春秋) 目標はオリンピックの金メダル。箱根駅伝は通過点、仲間なんか必要ないはずだった…。天才ランナーを揺さぶる血の秘密。「BOOK」データベースより 初読み。『県庁の星』(小学館)で読みそこなったので。 『一瞬の風にな
        • ぼちぼち。
        • 2006/12/06 10:15 PM
        写真は井上佐由紀。装丁は番洋樹。シューズ(カバー写真)提供は亜細亜大学陸上競技部。 2003年「死日記」でエクスナレッジ社「作家への道!」優秀賞を受賞デビュー。主な作品「県庁の星」「ボーイズ・ビー」「Lady,Go」
        • 粋な提案
        • 2006/12/05 1:22 AM

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