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    『均ちゃんの失踪』中島京子

    均ちゃんの失踪
    均ちゃんの失踪
    中島 京子 2006年 講談社 P.224
    ★★★★★
     けれども、この男を慰める女は、自分のほかにもいるのだろうと瞬時に思い直した。
     思い直してから、もう一度、だけどほんとにそんな女がいるんだろうかという疑問が、頭をかすめた。
     そして、景子先生が何度か口にした、「それが均ちゃんの、かわいそうなとこやね」というセリフが胸に浮かんだ。
     かわいそうなんだか、かわいそうと思わせるのがうまいんだか、それともやっぱりかわいそうなんだか……

    その家の主である「均ちゃん」の失踪中に泥棒が入り、警察に呼ばれたのは「均ちゃん」と関わりのあった三人の女達。

    一番最後に「均ちゃん」の家を訪れた、ティーン向け雑誌の編集者をしている二十代の片桐薫、外資系の製薬会社で重役秘書をしている三十代後半の木村空穂、そして「均ちゃん」の元嫁であり、今は「均ちゃん」の住む家の大家でもある五十前後の女子高の美術教師、梨和景子。

    被害者である内田均の行方を捜しているという警察に、誰一人として「均ちゃん」の居場所を答えられず、お役御免となった三人は、その後、空穂の提案で、何故か一緒に温泉旅行に行くことに。
    そこに、薫の家を訪れていた「均ちゃん」のゲイの弟までくっついて来て…『均ちゃんの失踪』

    「均ちゃん」の失踪を「ああ、また例の癖が出た…」と慣れっこになっていた、別れて9年が経つ、元嫁の景子。
    「更年期」に脅えつつ、いつもと変わらぬ日常を送る景子は、学校の帰り道、わざわざ遠回りをして、警察に呼ばれた日に車で家まで送り届けてくれた定年間近の刑事「高木ケイブホ」が時々行くという、近所の小料理屋『うがき』を覗いてみることに…『のれそれ』

    「均ちゃん」は実は二番手で、別に本命の男がいるという空穂。
    「妻とは離婚する」と言い続ける本命の男との関係をずるずると続ける空穂に、ある日知人から届いた手紙の内容は…『彼と終わりにするならば』

    そして「均ちゃん」が失踪するに至った『お祭りまで』と、それぞれの結末『出発ロビー』の5編から成る連作短編集。

    「均ちゃんはイラストレーターで、ガールフレンドが何人かいて、ふらふら失踪する癖があって、ともかくろくでもない男。その均ちゃんが失踪中に空き巣が入った。そして、三人の女が関係者として呼ばれた。均ちゃんの行方は?三人の女たちの恋の行方は?『FUTON』『イトウの恋』の中島京子が描く最新連作短編集。」だ、そう。


    「均ちゃん」は、若い頃の火野正平のような人かな(最近は週刊誌も読んでないから知らないけど)。

    年代も、職種も何も接点のない三人の女性たちが、「均ちゃん」を通して何故か仲良くなってしまって…て、何か分かる気がする。
    「均ちゃん」を見る目が、それぞれの年代らしいのも、すごく面白い。
    若ければ若いほど「均ちゃん」がいなくなったことを悲しむというのが…。

    三十代後半の空穂さんの、本命の彼氏へのキレ方も、リアリティがあるというか。

    それでも、三者三様に「均ちゃん」がいなくなったことで、それぞれの新しい道を見つけて「均ちゃん」がいなくても…というのが、とても痛快。
    本当にそんなもんだと思う。
    いればいたで、それでいいけど、いなくなればいなくなったで、それもいいと言うか…、男とは、そういうものかなと。

    中島さんの本は、この前の、不思議な読後感の残る『TURE1989』を読んだだけだったけど、こんなに面白いの書く人だったんだと、見直してしまった。
    東京生まれなのに、景子先生の関西弁の使い方もお上手で、景子先生の「はんなり」とした性格が良く表わされているような。

    あと、突然勃発する兄弟げんかのシーンも、かなり笑えてしまった。

    均ちゃんが嵌りかけた「オレオレ詐欺」ならぬ、「あんたが父親でしょう作戦」は、なかなか使えそうで。

    結局逃亡願望の強い「均ちゃん」は、だらしないのか、優しすぎるのか…そこんとこは良くわからないけど、きっと一生そのまんまなんだろうなぁ。
    まあ、最後は「ざまあみろ」という感じ。

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