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    『風が強く吹いている』三浦しをん

    風が強く吹いている
    風が強く吹いている
    三浦 しをん 2006年 新潮社 P.508
    ★★★★★
    一人ではない。走り出すまでは。
    走りはじめるのを、走り終えて帰ってくるのを、いつでも、いつまでも、待っていてくれる仲間がいる。
    駅伝とは、そういう競技だ。

    家賃がたったの三万円、大学からは歩いて五分の破格の安アパート、九室しかない「竹青荘」の一室に、今年の春、双子が入居してきたことから、「あと一人、あと一人」と幽霊のように唱え始めるようになった、アパートの住人全員の世話役、寛政大学文学部四年の「ハイジ」こと、清瀬灰二。

    住人が十人揃うと、何かが起こる…と、他室の住民達が不安に思い始めた頃、ハイジが一人の新入生、蔵原走(かける)を拾って「青竹荘」に連れて来た。
    訳あって高校の陸上部を退部し、強い陸上部のない寛政大学に入り、それでも走ることは止められず、一人きりで走り続けていた「走」。

    そして走のために開かれた「竹青荘」での、初めて全員が顔を揃えた歓迎会の夜、ハイジの口から、とんでもない発言が…。

    「十人の力を合わせて、スポーツで頂点を取る」と、高らかに宣言したハイジの「うまくいけば、女にモテるし就職にも有利になるだろう」のひと言に食いついたのは、約三名。

    そして残りの六人も、ハイジへの恩義やその他諸々の事情から、陸上経験のある者も、ない者も、果ては運動音痴の漫画オタク「王子」でさえも、渋々ながらも全員で半年後に行われる「箱根駅伝」の予選会を目指して、厳しい練習を開始することに。

    「くだらない」と思いつつも、ハイジの思惑にどんどん嵌っていく、走るために生まれてきたような「走」。

    そして、たびたび行われる記録会ごとに、ぐんぐんタイムを伸ばすメンバー達は、「まさか」の箱根駅伝への出場を果たしてしまい、とうとうその日がやって来て…襷を繋ぐことだけを考える彼ら十人に任された、それぞれの区間での健闘やいかに……。

    猗∈の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。
    「速く」ではなく「強く」。目指せ箱根駅伝!
    超ストレートな大型青春小説 最強の直木賞受賞第一作!瓩澄△修Δ福


    毎年、お正月の二日間、何故か見てしまう「箱根駅伝」。
    何かアクシデントがあればある程、応援したくなってしまい、感動して涙してしまう不思議なスポーツ…。

    「何故そんなに苦しそうなのに走るのか」と、「ただ人が走るのを、何故こんなに食い入るように見てしまうのか」と、いつもいつも、思いつつ。
    でも、人が風を切って走る姿は、やっぱり見ているだけでもとても気持ちがいい。

    そして、ここに出てくる10人の個性豊かなメンバーによって繰り広げられる「箱根駅伝」のシーンは、正月に見ている中継さながらに、スピード感があって、緊張感が伝わってきて、実際に彼ら全員が、あの上ったり下がったりの起伏の激しい悪路を、襷をかけて懸命に走る姿が目に浮かぶような…。このシーンは、圧巻。
    素直に、感動した。

    もちろん、そこに辿りつくまでの練習風景や、「走」の元のチームメイトとの軋轢や、彼ら一人一人の背景が丁寧に描かれていて、名前を見れば、すぐに10人それぞれの顔が浮かんできそうなくらい、ライバル校のキャプテンや、監督兼大家さんも、大家さんの家の「ニラ」に至るまで、キャラクター設定がきちんとされていて、読んでいて「これ誰?」と、混乱することもなく(てっきり佐々木倫子さんの絵だと思ってたけど違った、カバーのイラストもかなり役に立ったかな)。

    「箱根駅伝」の区間決めも、それぞれの性格と持ち味が良く生かされていて、感心してしまう(詳しいことは良く分からないけど、雰囲気的に…)。

    走りの神様に選ばれたかのような人間「走」のように走りたくても、故障を抱え、思うように走れなくなってしまった「ハイジ」の、「走ること」への熱い気持ちも、痛いほど伝わってきて、思わず走り始めてみたくなるような(歳取ってから走りに目覚めた上岡龍太郎さんのように…)。

    「ハイジ」のキャラは、『キャプテン』に出てくる谷口君で、「走」は、五十嵐君のようで…(漫画でしか例えられなくてすみません。これもかなり、好きなので…。)

    個人的にはアイドルタレントのような容姿なのに、運動音痴の「王子」のキャラが一番好きかも(へたれっぽくて)。
    あと、丁寧な日本語を話す、黒人なのに、走りがそんなに速くない留学生の「ムサ」(『はじめの一歩』のオズマみたいな…)も好き。

    悲しいかな、双子と言えば「ザ・たっち」しか浮かばないので、ジョージとジョータはあの二人で想像してしまった(読み終わってから、斉藤家の双子もいたことを思い出したけど、遅かった…)。
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        コメント
        uririnさん、こんばんは。
        十人のキャラクター、みんなが魅力的でした。
        箱根の部分から、ひとりひとりの気持ちが伝わってきて、とっても素晴らしい作品でした。

        スポーツの人数で(野球9人・サッカー11人に、7人の)カバディが出てきたり、ニコチャンのタバコへの針金を王子が「あしたのジョー」と言ったり(オリジナルは、確か水道の蛇口)、笑える場面もいっぱいでしたね。
        『キャプテン』、な、懐かしひ。月刊少年ジャンプでしたね。谷口君が努力型、谷口君が見出したイガラシ君が天才型・・・って、そのままじゃないですか。すごい!元ネタ発見(!?)。じゃあ、丸井君は誰になるんでしょう?(笑)。マネジメントな神童か、気持ちがわかるキングでしょうか?
        『はじめの一歩』のオズマみたいなムサ、うなづきました。
        私も双子といえば「ザ・たっち」しか思い浮かばなかったのですが、陸上競技の範囲内は砲丸投げ、全スポーツなら相撲向きの体型と思っちゃいました(笑)。
        ・・・今回は、私のわかることが次々に書いてあって、びっくりしました。
        これらの話がすべて通じる私たちって・・・スピリチュアルな関係?(笑)。
        ・・・世代が近いことは、周知の事実でしたね。
        今回も、トラバ、お届けしました〜。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        これは読み終わった後も、しばらく余韻に浸っていたくなるような本でした。
        おお『キャプテン』も、『はじめの一歩』も、やっぱり分かっていただけましたか。とても嬉しいです(^^)。
        漫画でしか例えられないのが、何か悲しい気もするのですが…。
        では、また〜。
        • uririn
        • 2006/11/28 12:56 AM
        初めまして。
        ”ひろ”と申します。

        トラバありがとうございました。
        素晴らしい作品でしたね。
        私自身、市民ランナーではあるのですが、走ることや駅伝の魅力をこれほど生き生きと描いた作品に出会ったのは初めてでした。

        人物描写が実に丁寧になされていることと、キャラ設定を含む絶妙なユーモア感がこの作品を更に印象深いものにしているとも思いました。

        私は神童とムサの静かな会話と友情が良かったです。
        『キャプテン』とのキャラ比較もなるほど面白いです。
        こんにちわ^^
        面白っ。uririnさんって結構漫画好きなんですね。
        ちょっと意外で嬉しいかも
        今年は箱根駅伝見ようと思います^^
        ひろさん、こんばんわ(^^)
        ひろさんのブログの四文字熟語でのストーリー解説、凄かったです!
        あれにも感動してしまいました(^^)
        では、では。
        • uririn
        • 2006/12/07 11:47 PM
        musagoroさん、こんばんわ(^^)
        あれ、漫画好き、意外でしたか(^^;?
        最近のはあんまり読んでないけど、昔のなら強いかも。
        『ガラスの仮面』の最終回を読むまでは絶対死なない!と決めてるほどの漫画バカです(^^)
        箱根駅伝、もう間もなくですね。楽しみ、楽しみ。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/12/07 11:51 PM
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        • 2006/12/02 9:17 AM
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        • 粋な提案
        • 2006/11/27 2:10 AM

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