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    『強運の持ち主』瀬尾まいこ

    強運の持ち主
    強運の持ち主
    瀬尾 まいこ 2006年 文藝春秋 P.224
    ★★★★★
    三千円も出して占い師に聞かなくても、自分で本を買えばいいのに。……
    「三千円の価値をどうつけるかはあなたしだいよ。大事なのは正しく占うことじゃなくて、相手の背中を押すことだから。まあ、そのうち、あなたにもわかるはずよ」とジュリエ青柳は不思議がる私に言った。

    上司との折り合いが悪く、短大を卒業して就職した会社を半年で辞め、特別興味があったわけでもなく、一人でできる気楽さから、「ジュリエ数術研究所」のドアを叩き、「ルイーズ吉田」として占い師の仕事に就いた、本名、吉田幸子。

    面倒臭い計算が苦手で、殆どが直感に頼っているというものの、「ルイーズ吉田」の占いは、結構当たると評判になり、ショッピングセンターの二階の奥のスペースを借り、独り立ちして一年が経った頃…。

    クリームシチューが恋しくなる、そこそこ寒い二月の終わり。
    八割方、恋愛に関する問題が占めるなか、その日「ルイーズ吉田」の前に現れた小学生の男の子は、二つのスーパーのうち、どちらに行けば良いのか占って欲しいと言い出した。
    占いの結果に気を良くした男の子は、一週間後にまたやって来て…『ニベア』

    いつにも増して恋愛相談が増える九月の初め。
    よくいるタイプの女子高生は「彼を振り向かせるにはどうしたらいいか…」と、ありがちな相談にやって来た。
    「ルイーズ吉田」のアドバイスはことごとくはずれてしまうというのに、女子高生は何度も懲りずに占ってほしいと現れる…『ファミリーセンター』

    空気の乾燥し始めた十一月。
    「ルイーズ吉田」の占いを傍で聞き、「田舎の診療所の医者みたい」と近づいてきたのは、関西弁で喋る大学生。
    自分には「物事の結末がわかってしまうんや」という武田平助は、その能力を活かすため「ルイーズ吉田」のアシスタントとして、占いの勉強をしたいと言い出し…『おしまい予言』

    まだまだ寒さの残る三月。
    ひと月前からアシスタントとして働き出した竹子さんに、一人で占いを任せることにしたものの、生真面目でストレートな竹子さんの占いにはらはらする「ルイーズ吉田」。
    あまりにも不幸な人ばかりを相手にすることに気が滅入るという竹子に「ルイーズ吉田」が見てもらうことにしたのは、強運の持ち主であるはずの人物。
    ところが竹子の占いの意外な結果に、「ルイーズ吉田」までもが振り回されることに…『強運の持ち主』の、4編から成る連作短篇集。

    『元OLの占い師、ルイーズ吉田は大忙し!
    「がんばって。きっといいことがあるわ」
    読んだら元気が出る、待望の新作(2006年5月時点での)』だそう。


    これまで読んだ瀬尾さんのよりも、幾分軽めで、ただ面白く、さくさくと読めたという感じ。
    前半の、会社を辞めてから占いの研修を経て、独自の占いを編み出すまでの過程は、すごく納得してしまった(実は、私も真剣に占い師になろうと思っていたので、なかなか為になるというか…)。

    登場人物もなかなか個性的で、「ルイーズ吉田」が少々汚い手を使ってものにしたという、独創的な料理を作るぼーっとした彼氏も、もらったものは例え八丁味噌でも、全部その場で食べつくしてしまうと言う、頼りになる師匠の「ジュリエ青柳」も、社員食堂のうどんに拘る武田君(「おあげさん」と、「揚げ」に「お」と「さん」までつけて呼ぶのは京都だけなのかな?)も、子供の意見を何よりも優先する竹子さんも、みんなすごく面白い。

    それぞれの短篇の占いの中身は、暖かくて、読んでいて「ほっ」とするものばかり。
    「ニベア」も「ファミリーセンター」も、馴染みのものだし。

    今思えば、私は、男の人と別れる度に占いに足を運んでいたので、一種のカウンセリングとして占いを利用していたのかも。

    なので「別に終わりになることがだめなことじゃないじゃない。終わったら、また次にいいことが待ってるかもしれないし。進めるいい機会になるでしょう。」という台詞のような言葉をいただくと、すごく嬉しかったような記憶が…(別れてすぐの占いで、「次の彼氏はいつできますか?」と聞いて、占い師さんにマジギレされたこともあったけど)。

    京都で、よく当たると評判の占い師さんの元に、ひと通り行ってみて(馬鹿高いとこ以外)、どこに行っても「29歳で結婚する」と言われたけど、一体その歳に何があったのかさえも忘れてしまった。
    唯一、木屋町の街頭の占い師さんだけが「結婚はできない。愛人になる相」ときっぱり言ってたけど、愛人にすらなれてないし…。

    占いとは、その時その時の慰めであって、本当に師匠の「ジュリエ青柳」の言う通り「背中を押してくれる」ところなのだとつくづく思う。

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        コメント
        確かに占いと言うより人生相談風の占い師でしたね。
        占いって余り信じられませんが、
        こんな人生相談風な占い師だったら
        話しを聞いてもらいたいですね。
        決断は自分でしますけど・・。
        「ルイーズ」さんにも見てもらいたいけど、武田君の「おしまい予言」も、ちょっと気になります(^^;(怖いけど)。
        続編、あると良いですよね(^^)
        では、では。
        • uririn
        • 2006/11/16 12:48 AM
        uririnさん、こんばんは。
        気持ちよく読んで楽しめた作品でした。
        おお!真剣に占い師になろうと思っていたのですか。
        やっぱりわずらわしさから・・・ですか?
        私はむかし、見てもらって散々だったので、
        もう行きません(笑)。
        占いはやっぱりカウンセリングでしょう。
        ルイーズみたいな、悩んでいる人の背中をそっと押す、
        占い師さんがいたら見てもらいたいです。
        藍色さん、こんばんわ(^^)
        瀬尾さんの本は、リズミカルで、すごく読みやすいですね。はずれがなさそうです。
        占い師になろうと思ったのは、たまたま買ったタロットカードで、本を片手に友達を占ってあげたら、これが結構当たると言われて、調子に乗ってしまったからなのです(^^;今考えれば、その道に行けば良かったかな。でも、歳取ってからの方が、信用されそうなのでこれから修行しようかなとも(普段黒い服しか着ないのも、ルイーズさんと似てるし…)。いつか私が占い師になったら、是非来て下さいね(^^)。では、では。
        • uririn
        • 2006/11/17 1:00 AM
        お久しぶりです。
        かつて
        取引先に霊能者の仕事を副業にしている人が
        いましたが、、、
        そのとき私は借金しており、、相談に行きまして、
        借金の金額までズバっと当てはったので
        しばらくいろんな相談に行きました。
        しかしハズレも多く、、当たりは3割打者並みでした(笑)知り合いから占いを紹介されましたが、、、今では占いはあくまで目安として考えることにしています。運命を占いで決めることが危険と感じ、、やはり自分で切り開くと考えるほうが納得できる気がしました。
        タジイさん、
        最近お忙しそうですね。寒いから風邪ひかないようにね。
        占いは、本当に当たるも八卦当たらぬも八卦で、当たらなかったからといって、文句を言う人もあんまりいなさそうなので、占い師さんってぼろ儲けかも…と思わなくもないです。
        自分というものをきちんと持っておられるタジイさん(羨ましいのですよ)に、占いは不要なのでは(^^;
        では、では。
        • uririn
        • 2006/11/20 3:36 AM
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        装画はコイヌマユキ。装幀は大久保明子。 別冊文藝春秋2004年5月号から2005年5月号の不定期掲載4編を収録した連作短編集。 短大卒業後、事務用品会社での営業の仕事を半年で辞めてから始めて、天職とも言えるほど
        • 粋な提案
        • 2006/11/16 11:16 AM
        霊感も何のない、占い師ルイーズ吉田。 彼女の占いは、占いと言うより人生相談に近い。 適当に占って助言をしてやるだけで客は満足して帰っていく。 人付き合いのわずらわしさから始めた占い家業。 そんなんでいいんか?と
        • My Favorite Books
        • 2006/11/15 8:14 PM

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