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    『イヴの夜』小川勝己

    イヴの夜
    イヴの夜
    小川 勝己 2006年 光文社 P.309
    ★★★★★
     自分たちは、他者を憎み、恨み、妬み、嫉み、蔑み、貶め、拒絶し、愚弄し、嘲笑い、騙し、裏切り、傷つけてきた。心のなかで――ときには態度や言葉で、あるいは行動で。そしてそれらは、たいてい自分の脳内で都合よく変換され、捏造も加えられ、自己にとって肯定的なものへと変化していく。自分の心理的立場を被害者のそれへと変えてゆくことすらある。

    女性に対して免疫がなく、口下手で、さえない男、三沢は、人数合わせで連れて行かれた合コンで、同じくあまり乗り気でなさそうな地味な女性に、勇気を振り絞って声をかけたことから、付き合うことになり、彼女との、初めて一緒に過ごすクリスマス・イヴを楽しみにしていた。

    その矢先、彼女が何者かによって殺害されてしまい、悲嘆に暮れる三沢だが、彼女の友達の証言から、三沢は実はストーカーだったのではないかと疑われ、マスコミから、殺人事件の真犯人として追い回されるはめに。

    はじめのうちこそ、自分の手で犯人を探し出そうとしてみたものの、素人にはとうてい無理なことだと思い知らされ、自分でも、本当のことがわからなくなってしまう三沢は、せめて彼女がどんな人間だったのかを知りたいと願う。

    けれど誰も何も教えてはくれず、彼女にとって、自分は一体何だったのかと憂鬱になり、自分にかけられた嫌疑を払うことにも疲れてしまった三沢は、その地から逃げ出すことに…。

    そして辿り着いたホテルの一室で、電話で呼び出した女性と二人でクリスマス・イヴを迎えた三沢は、ささいな誤解から、相手の女性と諍いを起こしてしまい…。

    「孤独や絶望や喪失感を知る者だけが、かけがいのないものに気付くことができるのだろうか。コミュニケーション不全をテーマに描く著者が、追い詰められた果てとその向こう側を描く。『GIALLO』連載に加筆して単行本化。」だ、そう。


    まったくの予備知識なしに読んだ後で、この人の以前の作風を知ってちょっとびっくりした。
    「鬼畜系ノワール」と、評されていたけど、そちらにもかなり興味を惹かれてしまう。
    この本の装丁からは、想像できないけど…、これはこの人にとって、相当大人しい作品なのかな。

    登場人物は、確かに「こいつはアホか」と、思うような人物が二人ほど(いや、もっとかな)いたし、女の人もちょっと変わってたけど(クリスマスプレゼントに、変わったもの欲しがる人だな…とか、初めてのデートで、そんなあつかましい…とか、そんな程度の変さだけど)。

    スーパーの買い物でのシーンでも、「お金がなくて節約しないといけないときに、そんな物買うか」と、変なところが気になってしまった(確かに、一時期「あるある」だか「昼は○○」だかで、一躍有名になってたものだけど…何だかマニアック)。

    「コミュニケーション不全」がテーマとあったけど、確かに不器用というか、可哀相というか…、でも、こういう人、周りにいるなぁと思う。
    でも仕事に行く前に、そんな物食べるなよ…と、やっぱり性格そのものにも問題がありそうな…(だから、そうなるのか)。

    なんでクリスマス・イヴにそこまで拘るのか…まあ、そんな目に遭ったなら…と、思わなくもないけど、私にとっては、新年の一週間前、ぐらいの感覚しかないので、何の思い入れもない(これは、もしかして寂しいことなのかな?)。

    これ読んで、小川さんの、他の作品が堪らなく読みたくなったので、そのとっかかりとしては、この本は良い出会いだったのかも。
    何か嵌りそうな予感が…(知らないほうが良かった、と後悔しそうな気もしないでもない)。

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        コメント
        きょう光文社の、悲嘆したよ♪
        でもここにシーンみたいな節約したかった。
        ところがここへ絶望したかったの♪
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        • 2006/11/13 12:36 AM

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