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    『不思議じゃない国のアリス』沙藤一樹

    不思議じゃない国のアリス
    不思議じゃない国のアリス
    沙藤 一樹 2003年 講談社 P.256
    ★★★★
    ぼくは空を眺めている。雲がないせいか、何もかもが止まって見える。またヘリコプターの飛ぶ音が聞こえている。ニセモノの先生がニセモノの教科書でニセモノのことを教える。ぼくの感じたところでは、どうやら、そういうことだったようだ。クラスの生徒たちもニセモノばかりといった感じだ。ニセモノたちに囲まれ、ぼくはひとりだ。
    〜『飛行熱』より〜

    中学時代の修学旅行先での事故以来、周囲の人間から「奇跡の少女」と呼ばれる田中由記子。
    地元の信用金庫で働き、今は平凡に暮らしている由記子は、20歳の頃に「アリス」と名乗る不思議な少女と出会い、彼女との会話に癒されていくのだが…『不思議じゃない国のアリス』

    青以外の色は全て灰色の世界に見えるという色覚異常の少年「ハル」と、研究室から逃げ出してきた少女「月子」。
    世界から切り離されたような空間で、出会い、二人きりで暮らしていた「ハル」と「月子」。
    タイムリミットが訪れ、書き置きを残し「ハル」の元を去っていった少女が再び「ハル」の前に現れたとき、彼女は全ての記憶を奪われてしまったかのように…『青い月』

    夢の中の少女から、「まわりの人間はみんなニセモノ」と聞かされ、ニセモノたちのいないところへ行くために、身の回りのものを鞄に詰めて家を飛び出した少年、哲也。
    人気のない、閉鎖されたスーパーマーケットで「ホンモノの人間」を待つ哲也が見たものは、「ホンモノの人間」に無残に殺された「ニセモノの人間」の姿。
    「ホンモノ」だと名乗る男の「ホンモノグループ」の仲間に入れてもらおうと、哲也は男の手伝いをすることに…『飛行熱』

    パソコンのオンラインゲーム上で知り合い、パーティーを組み、夜な夜な冒険を続ける少年、少女たち。
    参加者の一人である少女「ルミ」は、やがてゲームの枠を超え、仲間の一人に悩みを打ち明け、励まされた通りに行動しようとするのだが…『空中庭園』

    中学一年の夏休みに転校して以来、ずっと、ひとりぼっちでいた女の子の前に突如現れた、天使のような少女「アマリリ」。
    「アマリリ」は、クラスメイトたちに次々と銃を向けていく。
    やがて少女はその状態を受け容れ、「アマリリ」に指図するのだが…『銃器のアマリリ』

    そして、最後を締めくくるのに相応しいと思えた超短編『旅をする人』の、6編から成る短編集。

    「大人の理不尽な行為により絶望した少年・少女たちを描く5つの短編、衝撃の結末!!
    日本ホラー小説大賞短編賞受賞作家の新感覚ホラー・ミステリー!」乙一さんも大絶賛だそうな。


    なかなかの読後感。

    『不思議じゃない国のアリス』で、「アリス」が連れて歩く熊の置物「クドリャフカ」に喋らせたことは、真実その通りなんじゃないかと、耳が痛いというか…。
    私もそういう意味では、確かに罪人だと思う。
    誰かを「助けること」をしたことがこれまでにあったかどうかも、あやしいし。

    『青い月』は、人間のエゴというか、本質を見せられたような(例え、子供であったとしても)。
    『飛行熱』も、ブラザーとのやりとりは可笑しかったけど、最後に哲也が真実に気付いたとき、その悲惨な現実に心が痛む。
    『空中庭園』は、久しぶりにRPGを実際にやってるみたいな気分になれて、結構楽しかった(途中までは)。

    『銃器のアマリリ』は、すごくいい話なんじゃないかなと思えた。
    残酷な気もしたけど、自殺を考えるくらい辛いなら、これぐらいはしてもいいんじゃないかなと(あくまでも心の中だけで)…。

    「もし、あのとき、わたしが声をかけていたら、どうなってたんだろ…」
    何もしなかったことを後悔するのは、やって恥をかくよりも、嫌だなと思う(CMでもあったかな)。

    「アリス」の話は、かなり辛辣なことを言うし、悲惨な過去の話もあるけど、何となく関西弁に救われているようで。
    あとの話も、どこか間が抜けてるような部分があって、会話が結構可笑しくて…あまり暗くならなくて済んだのは、そういうところかな。

    「人間は二度死ぬ」という言葉を、最近サイバラさんの漫画の台詞で目にしたとこだけど、確かに、人から忘れ去られてしまうのは「死」に等しいのかもしれないな。
    大人はもう、それでもいいような気がするけど、子供にとってはかなり辛いことなんだろうなぁと思う。

    「アリス」みたいな少女が本当にいたら、絶対に忘れられそうにもないけど(熊、可愛いし)。
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        コメント
        この作家のデビュー作を最近読んだけど、こっちも気になるなぁ。
        • 通りすがり
        • 2006/10/22 1:51 AM
        通りすがりさん、
        「黒夜行」のブログでこの作者の名前を知って、いろいろ探して、結局タイトルが気に入って、こっちを先に読んでみたのだ。
        なかなか考えさせられてしまった。
        感想聞きたいので、是非読んでみてね。
        • uririn
        • 2006/10/22 2:02 AM
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