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    『コンビニ・ララバイ』池永陽

    コンビニ・ララバイ
    コンビニ・ララバイ
    池永 陽 2005年 集英社文庫 P.329
    ★★★★★
    一人息子を失って、精神的に参っていた妻の有紀美を家に一人で放っておくわけにはいかなかった。できれば一日中そばについていてやりたかった。……
    本当は小さなコーヒー専門店でもひっそりとやりたかったのだが、
    「賑やかだけど乾いているから…」
    こんなことをいってコンビニエンス・ストアに固執したのは妻の有紀美だった。

    40歳を過ぎてから一人息子と妻を相次いで交通事故で亡くし、すっかりやる気を失くしていたコンビニエンスストアの店長、幹郎。
    いつ潰れてもおかしくないという経営状態の、小さな町の、小さなコンビニエンス・ストア「ミユキマート」には、幹郎と同じように悲しみや悩みを抱えた人間達が集う。

    息子の死後、事故に巻き込まれた妻の死が、実は自殺だったのではないかと疑念を抱いていた幹郎は、妻の遺したメモの意味を量りかねていた。
    「…しあわせでした」そんな風に言われるようなことは、何一つしてこなかった、寧ろ家庭を顧みない夫であり、父親であったはずなのに。
    「…」の部分に妻の悪意を感じてしまうという幹郎だったが…『カンを蹴る』

    「ミユキマート」のベテラン従業員の治子に、好意を抱き、真面目に誘ってきたのはヤクザの八坂。
    治子の一言で、ヤクザの世界から足を洗い、堅気となって再び「ミユキマート」に姿を現した八坂。
    けれど八坂の両肩に入れられた刺青を見て、治子の身体がどうしても彼を拒んでしまい…『向こう側』

    最近「ミユキマート」で勤め始めた、パートの照代。
    前の会社を辞めたのは、夫との離婚を周囲の人間に詮索されたくなかったから。
    シナリオライターになるのが夢だという夫を心から応援していた照代は、妊娠したことに気付き、自分の判断で堕ろしてしまっていた…『パントマイム』

    「ミユキマート」のすぐ側のアパートに住む、女優の卵。
    今度の舞台で、少しでも良い役をもらおうと、彼女は決死の覚悟で演出家に体を任せた。
    けれど、今回も台詞のある役をもらえず、ショックから声を失ってしまう…『パンの記憶』

    だらしない情夫のせいで、借金取りから逃げ回っている、「ミユキマート」の常連客だった克子。
    新しい街で働き始めたスナックの常連客から、結婚を前提に付き合ってほしいと言われ、生まれて初めてのプロポーズに心は浮き立つのだが、今の男は別れてくれそうにもなくて…『あわせ鏡』

    「ミユキマート」で万引きすることで、イライラした気持ちを解消させる女子高生の加奈子。
    中学生の頃から付き合っている「優等生」の彼氏の紹介で、歯科医のおやじと援交もやってる。
    ちょろいはずだった「ミユキマート」での万引きを、ある日幹郎に見咎められ、奥に連れて行かれた加奈子は「体で払う」と、幹郎をたらしこもうとするのだが…『おやじ狩りの夜』

    「ミユキマート」の店の前のベンチでデートを重ねる老年のカップル。
    家族からの猛反対にもめげず、幹郎たちの応援も受け、愛を育む二人の前には、戒律と言う壁が立ちはだかり、お互いに求め合っていても、それ以上前には進めないでいた…『ベンチに降りた奇跡』

    の7編から成る、心温まる連作短編集。


    大人な話だなぁ…と、しみじみ。
    少し生臭くて、汚い部分もいっぱいあって…真実の大人の愛の物語、というか。
    みんな真面目に生きすぎてるような気がしなくもないけど。

    「本妻さん」と「愛人さん」の話は、なかなか良かった。
    二人で男の悪口を言い合うというのが、すごく良くわかる。
    女同士って、そうやって男を罵ることで、仲良くなれることもあるような…。

    『ベンチに降りた奇跡』の、二人のラストには憧れてしまうかも。
    そう願って、そうなれれば良いと。

    でも、確かにお年寄りの恋愛って、なかなか世間的に受け入れられないのは何でだろう…と、ふと考えさせられてしまった。
    もしもお互いに、一人ぼっち同士なら、若い頃の恋愛と、何ら変わらないはずなのに、何でうんと年下の息子や娘に、怒られないといけないのかなぁ…と。

    私が「おばあさん」になる頃には、そういう偏見、なくなってたらいいなぁと思う。
    でも、同い年や年上の「おじいさん」に相手にもされなかったりすると、ちょっとショックかな。

    やっぱり大金持ちになって、少しでも若い男に走るしかないか…。
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        コメント
        これはいい話でしたよね。
        とっても優しい語り口なのに、とっても現実っぽくて。
        私は八坂さんに幸せになってもらいたかったのでとても哀しかったです。
        っていうか、残された彼女のほうがつらいだろうなあ、これって、って思って。
        それからやっぱり老人の恋愛に関しては
        私もこの孫と同じように思ったこともあって
        ちょっと懐かしかった。
        頭では理解してあげたいと思っても
        やっぱり、って自分の身内だと思ったこともあったから。

        色々深いですよね。
        私もこの本は久々のあたりだったな。
        はじめまして。トラバしてみました!
        なぁんか不思議な作品ですよね。
        どの話しも切なくて、
        決してきれいごとで終わらない
        本当の話を読んでいるようでした。
        しまりすさん、
        八坂さん、好きなキャラクターだったので、私も哀しくなりました。
        私もやっぱり身内なら、ちょっと嫌かな…。
        でも、だからといって私が優しくしてあげるとかそういうのできなくて…。何か老後の暮らし方ってまだ想像できないけど、少しでも楽しく生きられればいいなぁと思ってしまいます。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/08/23 12:13 AM
        葵菜子さん、はじめまして(^^)
        TBありがとうございます。
        私からもTBさせていただきました。
        どの話も、その先は読み手が想像するしかない、みたいな、何か切ないお話ばかりでしたね。
        これからも、よろしくです。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/08/23 12:16 AM
        す〜さん、
        私は克子さんの気持が何だかわかる気がしました。
        確かに本当にあるような話だと、つくづく感心してしまいました。
        身体をはった女優の卵の話にしても…。
        現実は甘くないけど、でも救いはあると思いたいです。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/08/23 12:22 AM
        こんばんわ^^
        素敵な話でしたね。
        誰も、みんな憎めない人でした。
        加奈子も克子も。
        どの作品も、大きな発展はないですけど、ちょっと前向きな感じで終わっているのが良いですよね。
        苗坊さん、
        池永さんの本、これから読んでみたいと思いました。
        なかなか良いですよね(^^)
        • uririn
        • 2006/09/23 1:15 AM
        コメントする








           
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        コンビニ・ララバイ 小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。 オーナーの幹郎は妻子を事故で亡くし、幸せにできなかったことを悔やんでいた。 店には、同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。 堅気の女性に惚れてしまったヤクザ、声を失った女優の卵、
        • 苗坊の読書日記
        • 2006/09/22 8:30 PM
        全7話からなる短編集。 舞台はミユキマートというコンビニエンスストア。 オーナーの幹郎は息子と妻を立て続けに亡くし、 経営にもやる気が見られない。 息子を亡くした後、妻と一緒に始めようとしたコンビニ。 しかし
        • My Favorite Books
        • 2006/08/22 9:13 PM
        閑散とした住宅地にポツンと佇む《ミユキ・マート》。オーナーにしてヤル気皆無の幹郎を筆頭に、悲しみや迷いを抱えた人々が集う不思議なコンビニを舞台に、オムニバス形式で描かれる人間模様の短編集である。 心温まるタイプの話より、散々なエピソードばかりなのに、
        • 無能の人
        • 2006/08/22 3:29 AM

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