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    『斎藤家の核弾頭』篠田節子

    斎藤家の核弾頭
    斎藤家の核弾頭
    篠田 節子 1999年 朝日文庫 P.508
    ★★★★
    「私たちの目的はこの場所で人間らしく暮らして行くことよ。互いに破滅に向かって進んでいくのは愚かなことだわ。」

    2075年(成慶58年)の日本では、産業空洞化と空前の高失業率によって崩壊した日本型平等主義に取って代わり、国民能力別総分類制度、別称「国家主義カースト制度」が導入されることに。
    これにより、世界に類を見ない超管理国家の下に置かれた日本国民は、住む所も、結婚相手も、子供の人数までも、職業や収入によって制限されるようになっていた。

    東京都内に30坪の土地を持ち、一家総勢10人で暮らしていた、特A級階級に分類される最高裁の裁判官である総一郎を家長とする、斎藤家。
    しかし、コンピュータによる裁判制度の導入によって、総一郎は職を失うことに…。

    特Aクラスの国民には、その優れた遺伝子を後世に残すという職務も与えられていたため、32歳で5人の子供を持ち、今またお腹に6人目の子供を宿している総一郎の妻、美和子は、せせこましい土地に、一家10人がひしめきあって暮らしていることにストレスを感じ、自分達より下層階級とされるのに、高層マンションに住む、独身の働く女性たちの自由な暮らしに憧れを抱いていた。

    そんな斎藤家に、立ち退き話が持ち上がり、一家は政府に半ば騙されるように、東京湾中央に浮かぶ巨大な人工島「東京ベイシティ」への転居を余儀なくされる。

    美和子がやっと、舅や姑たちと部屋を別にし、広々とした土地での、自由な暮らしを手に入れたと思ったのも束の間、今度はこの人工島の下に位置する海底で発見されたレアメタル「バナジウム」の発掘作業のため、千葉県側に用意されたニュータウンへ移り住むことを強制されることに…。

    しかし新たに用意されたその土地とは、人工シートを一枚はがせば毒ガスが噴き出す危険地帯。
    特A級階級である自分たちが何故そんな危険な場所に、と憤慨し、政府に抵抗する総一郎。

    そして、総一郎は、自分達家族が、ある人体実験の被験者であることを知り、同じく理不尽な立ち退きに抵抗していた近隣住民達を取りまとめ、手製の核爆弾を武器に、日本国を相手に宣戦布告することに…。

    「明日を予言したスラップスティック小説の傑作」だ、そうな。


    篠田さんの本は、内容が濃すぎて、書くのが難しい…。
    何だかこの一冊に、日本の過去と現在と未来が凝縮されているような…といったらオーバーかな。
    でも、ここに出てくるのは、そんなに荒唐無稽な話ではないと思えるところが、すごく怖い。

    家長の総一郎の一昔前に戻ったかのような男女差別も、「必要な人間」と「いらない人間」として区別されてしまうのも、核兵器が簡単に作られてしまうのも、そして何より大量の人間を速やかに、あくまでそっと殺せ、だれがやったのかわからない、使用されたことがわからないという「最新式兵器」の存在がリアルで怖い。

    「結婚を拒み、子供を産みたがらない」下層階級に位置される、総一郎の浮気相手のレサという働く女性が「人格障害」として哀れまれるというのも…なんだか自分のこと言われているようで…。

    「もしかして原発より、農耕が大事かもしれない…」という美和子の台詞はすごく良く分かる。
    電気が断たれてしまった時には「300年前のように、暗くなれば眠ればいい」というのも。
    でも、もう便利な生活に慣れすぎてて無理なんだろうけど…。

    に、しても父親を尊敬して止まない息子が「将来はパパになりたい」と言ったときに、「3分もあれば、なれるわよ」と言い捨てた母親の台詞の意味が…うーん、深い。
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        コメント
        いろんな本があるものですね。超管理国家、、実際に今の日本も怖い面を感じます。最近、友人は酔って110番したときにお巡りさんが、来られて友人の過去の身元をほとんど把握していたことに驚きでした。私も辛口ブログなど書いてますので、リストに載っているか不安感はあります。もし転職時などに企業にブログ情報など漏れたとしたらかないませんね。自由に発言しにくい世になった感はあります。
        篠田さんの書くのは、地に足の着いた作り事というか、その知識量の膨大さに、滅茶苦茶感心してしまいます。
        そういえば、住民に番号つけてっていう制度、結局活かされてるのでしょうか?
        • uririn
        • 2006/08/20 1:22 AM
        では、探しに行きます。
        見てきました(笑)とあるサイトで住民基本ネットは中身の情報が漏れることはありえないと書いてました。しかし朝日、毎日をサヨクと決めつけた書き方なので、今流行りのプチ右翼の若者でしょう。コメント欄に書いたところ私のリモートホスト他まで表示されてました。思わず「矛盾してはる不気味なやつ」と独り言を言ってました(苦笑)ネット社会となってキモイ人が増加したと実感してます。
        タジイさん、
        私は自分の番号知らないかも…。
        何でこんなに個人情報にピリピリするようになってしまったのでしょうか。
        ご近所さんがみんな知り合いだった昔が懐かしくなる今日この頃です。変なことする人なんて、そうそういなかったような。
        • uririn
        • 2006/08/21 12:02 AM
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