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    『終末のフール』伊坂幸太郎

    終末のフール
    終末のフール
    伊坂 幸太郎 2006年 集英社 P.299
    ★★★★
    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
    「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」

    2XXX年、8月15日。
    これより8年後、小惑星の衝突により、地球は壊滅状態に陥るというニュースが世界中を駆け巡った。

    それから5年、あらゆる場所で混乱が起こり、デマが飛び交い、逃げ惑う人々、投げ遣りになった人々による、略奪や、殺人や、放火や、自殺、そういった「何でもあり」の事態が治まり、ひとまず小康状態を保っていた、残された3年を生きる「ヒルズタウン」の住人達…。

    父親と仲違いしたまま離れて暮らしていた娘を、何年ぶりかで家に迎える初老の夫婦。
    相変わらずな父と娘に、母親が見せたかったもの…『終末のフール』

    結婚してから数年、子供が授からなかった夫婦。
    残された時間はあと3年という今になって、赤ちゃんができたという。
    産むべきか、産まざるべきか…『太陽のシール』

    無責任なマスコミの報道によって、大切な妹を失った二人の兄弟。
    当時、報道番組でニュースキャスターを務めていた男の住むマンションに押し入り、世界の終わりより先に殺すことにした、と言うのだが…『籠城のビール』

    父親の遺してくれた蔵書を全て読み終えてしまった女の子。
    次にやるべきことを「恋人を見つけること」と決め、本のアドバイスに従い、三人の意見を聞きに行くことにした…『冬眠のガール』

    いじめっこをやっつけるために小学生の頃に通っていたジムを、5年ぶりに訪れた高校生の男の子。
    驚いたことに、ジムは昔と変わることなく続けられ、中には相変わらず黙々と練習する二人の姿があった…『鋼鉄のウール』

    妻の死に責任を感じる会社社長。
    大学時代の天体オタクの友人からの電話で呼び出され、死ぬ前に会ってみようかと、友人の元を訪れた…『天体のヨール』

    ある外国のベテラン俳優のひと言から、女優を目指していた女性は、近所の一人暮らしのお年寄りの孫娘や、両親を失くした女の子の姉の役割を演じることで、どこか誇らしい気持になっていた…『演劇のオール』

    最後の日を迎える時のために、マンションの屋上に櫓を建てる父親と、その息子のレンタルビデオ屋の若き店長。
    胡散臭い団体の集会に向かう妻のことが気に掛かり…『深海のポール』
    の、8編から成る連作短編集。

    「世界が終わりを告げる前の人間群像。その瞬間をあなたは誰と迎えますか。世界が終わる前の、叫びとため息。8つの物語。」だ、そうな。


    8年後に地球は壊滅状態になります…、と今言われたら「あと8年は生きられるのか…」と、思ってしまいそう。
    8年あったら、まあ、それほど思い残すことなさそうな(もう、若くないからかな)。
    ただ、死に方が、一瞬ならいいけど、痛かったり苦しんだりするのは嫌だなと思う。

    確かに、仕事とか、やってられなくなるかな。
    でも他にすることもないし、やっぱり仕事に行きたいかな…と真剣に考えてしまった。

    随所に出てくる、レンタルビデオ屋の店長の父親が、ものすごく良いなと思った。
    子供の頃、イジメにあって、自殺をほのめかす息子への「自殺なんてしたら、ぶっ殺すからな」という滅茶苦茶な台詞が、すごく気に入ってしまった。

    『演劇のオール』の、何だか少しだけハッピーなとこも、『冬眠のガール』のほのぼのさも、『天体のヨール』の天体オタクの友達も、『終末のフール』の母親の「嘘ですよ」の台詞も…すごく好き。

    「あと3年」を幸せだと言い切れるサッカー仲間も…。

    私は、最期はやっぱり普段通り仕事をして、好きな物食べて、ビールでしこたま酔っ払って、愛猫たちと一緒に迎えたいかな。

    これ読んで思い出した似たような映画でも『ディープ・インパクト』と『アルマゲドン』では、『ディープ・インパクト』のラストの方が感動した。
    馬も強いし。

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        コメント
        こんにちは。
        この作品は連作短編集って言うんでしょうかね。
        どの作品もいいですよね。
        出てくる人たちの言う言葉に重みを感じます。
        もしもあと8年で世界が滅ぶとしたら・・・。
        やっぱり同じ生活のままな気がします。
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        同じテーマに沿っているので連作なのかな。
        或いは長編とも読めるのかな?
        あと8年って発表されると、微妙ですね。
        来年とかなら、すごく焦って、あれこれ考えそうだけど…。


        • uririn
        • 2006/08/16 1:30 AM
        uririnさん、こんばんは。
        こちらにもお邪魔しますね。
        連作短編集と思いますけど、すごく上手にリンクしているので、
        長編として読んでもオーケーでしょう。
        バリエーション豊かなドラマを楽しみながら、
        余韻がとても残りました。
        死に方についての思いは、私も同じ意見です(痛苦は嫌)。でも
        あと8年だと、何も手につかなくて、
        あと3年で、やっと開き直ってる、と思います。
        そこまで生きていれば、ですけど(笑)。
        藍色さん、またまたです。
        確かに、あと3年後も、生きてるかどうかなんて分かりませんよね。
        「となり町戦争」の映画化のこと教えてもらって、角川のHP覗いてみたら、来年奥田さんの「サウスバウンド」が映画化されるというのが載っててびくりしました。
        父親役は、誰なのか…。
        でも森田さんの監督って、微妙だなぁ…「模倣犯」は完璧はずしてたし…。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/08/17 1:46 AM
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        終末のフール伊坂 幸太郎 (2006/03)集英社 この商品の詳細を見る 伊坂幸太郎氏の『終末のフール』を読み終わりました。 物語は短編だけど、 全ての物語に共通する 地球に小惑星が衝突する。しかも後3年。 8年前に衝突
        • The one to create me 〜僕を創るもの〜
        • 2006/08/27 12:53 AM
        立体:引地渉。撮影:高橋和海。ブックデザイン:鈴木成一デザイン室。 2000年「オーデュポンの祈り」で第五回新潮ミステリークラブ賞、2004年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第二五回吉川英治文学新人賞、短編「死
        • 粋な提案
        • 2006/08/16 8:20 PM
        終末のフール オススメ! 8年後、地球に小惑星が衝突し、世界が滅びるという報道が全世界に流れた。 報道されてからの5年間、世界は荒れた。 どこもかしこも渋滞し、絶え間なく殺人事件がおき、働くものはほとんどいなくなった。 世界の終末まであと3年。束の間
        • 苗坊の読書日記
        • 2006/08/15 9:08 AM

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