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    『死日記』桂望実

    死日記
    死日記
    桂 望実 2006年 小学館文庫
    ★★★★★
    子供は親を信頼し、愛するようにインプットされてこの世に誕生するんです。なのに生れ落ちた家に信頼や愛情がないと――予定外の状況に対応できなくて、困ってしまう。私はそんな風に思っています。子供を苦しめないでくださいよ。お願いですから。

    酒を飲むと母に暴力を振るっていた父親、そんな父親が交通事故で死に、少年は母親と二人きりになった。
    前よりは幸せな暮らしが送れると、少年は思っていた。
    けれど母と二人きりの生活は長くは続かなかった。
    すぐに母親の友達だという男が家に転がり込んできた。
    少年とその男は、お互いの存在を無いものとして、一つ屋根の下で同居していた。
    母親も、その男も働くことはなかった。
    男もまた、酔うと母に暴力を振るった。
    ギャンブルに明け暮れ、酒ばかり飲み、二人でふらりと何日も家を空け、少年を置き去りにする。
    少年は一人取り残される。
    誕生日も、クリスマスも、正月も…。
    少年の存在は、母親の心の中から消えたようだった。

    文章を書くのが得意だった少年は、中学三年生になったころから毎日、日記をつけ始める。
    日記には、少年の日常が淡々と飾ることなく、綴られている。
    友達と過ごした日々、修学旅行や、お祭りや、文化祭や、進路についての悩み、嬉しかったこと、悲しかったこと…。

    二、三行の日もあれば、書けなかった日も…。それでもくる日もくる日も少年は日記に思いを記し続ける。
    母親への思慕と、母親を不幸せにする男に対する嫌悪と。

    そしてある日を最後に、日記は閉じられる。
    少年のほぼ一年間に渡る、他愛もない日々の記録の先に、いったいどんな深淵が待ち受けていたのか…。


    フィクションなのに、とてもそのつもりでは読めなかった。
    小説を超えてる…。

    こんな母親のために…。

    何もかも諦めているつもりでも、誕生日には「もしかして…」と期待して、落胆する少年を見るのは辛かった。
    新聞配達でもらったお金を、自分のことには一切使わず、食べ物がなくなったときのために残しておかなければ…これで、もう水だけで過ごさなくて済む、などと、わずか14 歳の少年が思わなければならなかった母親との生活とは、いったい何だったんだろう。

    周囲の人間が優しければ優しいほど、母親の冷酷さが余計に悲しくなってしまう。

    子供は親を選ぶことができない。
    でも、思わずにいられない。
    少年が、親友の小野の家の子なら良かったのに、専売所のおじさんの家の子なら良かったのに、先生の家の子でも、富山のおばさんの家の子でも…なぜこの母親の子供に生まれてしまったのか…。

    読んだ後も、彼のことを思って辛くなるなんて、小説でこんなにいつまでも、ひきずるのは初めてかも…。

    『県庁の星』は、あんまり好きでなかったけど、この本は目があったときに「読め〜」と訴えてる気がして、ついつい買ってしまった。
    買って良かった。読めて良かった。


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        コメント
        少年の気持ちを考えると切なかったですね。
        愛しても愛されない辛さ。
        でも彼のために涙を流してくれる人が
        いることに救われた気持ちがします。
        「県庁の星」より良かったです。
        uririnさんこんにちは。

        切ない話ですね…
        記事を読んでいるだけでも
        心にずしんと響きます。
        愛をもらえなくても愛してやまない子どもの心。
        理不尽ですね。
        す〜さん
        途中で「え、そんな馬鹿な…」と、一ページ目を読み返してしまいました(^^;
        まさか、まさかと、信じたくない気持ちで一杯でした。
        本当に、それだけが救いでしたね。
        周囲は、良い人ばっかりだったのに…。
        • uririn
        • 2006/06/18 10:15 PM
        こぱんさん
        本当に切なくて、やりきれないお話でした。
        こういうことが現実にあるというのが、とても悲しいことですね。
        • uririn
        • 2006/06/18 10:20 PM
        初めまして。
        私も昨夜、妹に薦められてこの本を読み、一夜で読破してしまいました。とっても切なくて・・・。

        でもこの本、ホントにフィクションですか?

        昔、全く同じ事件があったと思うのですが。。。
        • しーちゃん
        • 2006/06/26 9:26 PM
        しーちゃんさん、はじめまして(^^)
        うーん、似たような事件が沢山ありすぎて(悲しいことですが)…。それをモチーフにしてあるのかな。
        もし立場が逆でも、どっちにしても、やり切れないお話でしたね…。
        • uririn
        • 2006/06/26 11:30 PM
        調べてみましたが、やっぱりありました。
        母親とその彼氏に釣りに誘われ、保険金目的で殺された中学生。
        そして彼は、作文の中で「大好きなお母さん」のことをつづっていました。。。

        本のラストに
        「原作の空気感を残すため・・・」て書いてあるので、
        やっぱりこの事件をモチーフにしたのかな?と思います。

        例え小説であっても、同じようなことを考えて亡くなっていった彼のことを
        考えると、本当に胸が痛みますね。。。ご冥福をお祈りしたいです。

        • しーちゃん
        • 2006/06/29 11:05 PM
        しーちゃんさん、
        私もあとがき見てみました。
        「手直しは最小限にとどめ」と書いてありましたね。
        母親は、後で彼の日記を読んでどんな気持ちになったのでしょう…。
        教えてもらって良かったです。ありがとう。
        • uririn
        • 2006/06/29 11:20 PM
        uririnさん、こんばんわ
        コメント読んで・・・そうなんですか・・
        言葉がなくなります。
        この本を紹介していただきありがとうございます
        自分の情けなさをここまで感じた本は久しぶりです
        • musagoro
        • 2006/06/30 12:44 AM
        musagoroさん、こんばんわ。
        今日もまた、虐待で殺された子供のニュースを見ました。
        いたたまれないですね。
        「どうして産んだ」という刑事さんの言葉を思い出します。神様がわからなくなります。

        • uririn
        • 2006/07/01 1:16 AM
        はじめまして、書店員をしておりますrierieです。
        腹立ちました〜
        フィクションだけど、フィクションじゃないよね。
        こんな思いをする子供たちがもう二度といないように
        祈りたいと思うのでした・・・ 
        rierieさん、はじめまして(^^)
        私も、これ読んで、心底腹立ちました。
        たくさんの人に読んで、知ってもらいたい本ですね。
        TBさせていただきました。
        では、また。
        • uririn
        • 2006/07/11 12:40 AM
        こんにちは。
        元ネタがあったとは、全然気がつきませんでした。
        衝撃度がかなり増してしまいました。
        そっかー。そうなんだ・・・。
        ゆうきんさん、こんばんわ。
        そのようですね…。
        子供は親を選べないので、そういう親の元に生まれてしまった場合どうすればいいのか…。
        この子の場合は、もう少し悪い子になってほしかったと思ってしまいました。では、では。
        • uririn
        • 2006/11/08 1:35 AM
        少年の出した結論に涙しました。
        それに引き換え母親のバカさには…。
        言葉が出ません。

        だけど読んで良かったです。
        しんちゃん、こんばんわ(^^)
        この作品は読んでてすごく辛かったけど、最後「読んで良かった…」と思える作品ですね。
        桂さんを一気に好きになった作品でした。
        こんな悲しい事件は、二度と起こってほしくないです(無理かな…)。
        では、では〜。

        • uririn
        • 2007/10/03 11:43 PM
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