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    『殺人症候群』貫井徳郎

    殺人症候群
    殺人症候群
    貫井 徳郎 2005年 双葉文庫
    ★★★★★
    なぜ復讐がいけないのか。それは、社会秩序の維持のためだ。一度復讐を許してしまえば、さらなる報復もまた認めざるを得ない。憎しみは憎しみの連鎖を呼び、双方が死に絶えるまで殺戮が続くだろう。

    一見何の接点もない六件の新聞記事。
    それらはいずれも凶悪な犯罪を犯したものの、少年であったり、心神喪失により不起訴処分となった加害者達が、事件や事故の被害者となり死亡したというもの。

    そこに意図的な犯罪の匂いを嗅ぎ付け、裏で捜査を行うよう指令を受けたのは、環率いる警察庁内(警視庁の警務部人事二課といういわゆる閑職に身を置く環敬吾には、警察が直接手をつけられない事件を内々に調査するという特別な任務がある。)の特殊チーム、原田、武藤、倉持の訳ありの元警察官達。

    しかし今回、何故か倉持は捜査から降りるという。

    正義感の強かった息子を、数名の同級生に暴行された末、失った父親は、同じような被害に遭った遺族達の集会で出会った男から、復讐の代行の話を持ちかけられていた。

    移植手術でしか生き残る道のない、心臓に疾患を持つ息子の母親は、ドナー登録者を必死で探していた。

    恋人を理不尽な暴力によって殺され、自らも傷付いた女は、同じように傷付いた、被害者の遺族達の心を癒そうとしていた。

    そして、今回の捜査に加わらなかっただけでなく、捜査の先回りをするかのような行動を取る倉持もまた、自らの過去を悔いていた。
    大切な者を突然奪われた遺族達の悔しさは、同じ苦しみを味わった者にしか理解されないと、倉持は言う。

    それぞれの人物が、己の正義を全うしようとし、一人の男と繋がった時、物語は最悪の展開を迎える。
    そして倉持と環が袂を分かつとき…。


    貫井さんの『症候群』シリーズ第3弾にして完結編。
    本の分厚さ分だけ、読み応えがあって、読み終わった後は一仕事終わったあとのような充実感…。内容はものすごく重くて、暗くて、怖くて、哀しい。
    去年の今頃に読んだのに、全然まだ覚えてる、くらい頭に残る本。

    「この世には理不尽が満ちている。それに少しばかり抗ったとて、誰が咎められるだろう。」
    と言う母は、息子が死ぬ時は、自分も死ぬ時だと覚悟を決めている。
    常識のある大人は、例え相手がどんな人間だとしても、復讐は正義なんかではなく、ただの人殺しだと知っている。
    分かっていても、もし本当にこういうシステムがあったとしたら…法が裁いてくれないのなら、神様が天罰を下してくれないのなら、それも仕方ないと思えてしまう。
    それを止めることができるのは何の力なんだろう。
    この物語は、誰のことも、簡単に赦してはくれない。

    大好きな虚無僧、武藤の気持ちが、一番良くわかったかもしれない。
    これで最後は、寂しすぎるので、番外編とかあったらいいのに。

    さっき貫井さんのHPを覗いてみたら、8月ごろに新作の『空白の叫び』というのが発売されるようなので、それもすごく楽しみ。
    でもこれが1100枚で、それが2100枚ということは、この倍ぐらい?…げげ、読めるかな…。
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        コメント
         はじめまして、おりえと言います。
         色々ブログ巡りをしていてこちらにお邪魔致しました。
         上手いあらすじの説明と「ふむふむ」と感じ入る感想に惹かれました。

         この「殺人症候群」は私にとっては貫井さんの作品の中で一番印象深い作品なのですが、世間的には作品の出来の高さの割にはあまり評価されていないのが残念です。

         また遊びに来させて頂きます。

         
        おりえさん、こんばんわ(^^)
        私も貫井さんの作品の中で、これが一番印象深くて、何度も読み返してます。本当、評価が低くて残念ですね。大好きな作家さんの一人なのですが…。
        来週新刊の『乱反射』が発売されるので、とても楽しみにしています。
        また是非遊びにいらしてくださいね。
        では、では。
        • uririn
        • 2009/02/16 10:16 PM
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        著者:貫井徳郎 警視庁の捜査課が表立って動けない事件処理をする特殊チームの活躍を
        • たこの感想文
        • 2006/06/18 3:56 AM

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