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    『クライマーズ・ハイ』横山秀夫

    クライマーズ・ハイ
    クライマーズ・ハイ
    横山 秀夫 2003年 文藝春秋
    ★★★★★
    下りるために登るんさ――。
    安西の言葉は今も耳にある。だが、下りずに過ごす人生だって捨てたものではないと思う。生まれてから死ぬまで懸命に走り続ける。転んでも、傷ついても、たとえ敗北を喫しようとも、また立ち上がり走り続ける。人の幸せとは、案外そんな道々出会うものではないだろうか。

    これまで挑んだ幾百人もの命を奪い「ワースト・オブ・ワースト」の異名を持つ標高差330メートルの衝立岩。
    そそり立つ衝立岩の岩壁に無謀にも挑もうとしているのは、間もなく定年を迎える、新聞社に勤める悠木和雅、57歳。
    17年前、同僚だった安西に誘われ、一度は挑戦しようとしたものの、その約束は果たされることはなかった。

    そして、今、共に衝立岩に挑もうとしているパートナーは、地元山岳会の若きエース、安西の忘れ形見である一人息子の燐太郎。
    切り立った岩壁を眼前にして、悠木は17年前を振り返る。

    昭和60年8月。
    世界最悪の航空機事故、日航ジャンボ機墜落事故。
    40歳になったばかりの悠木は、地元で起きたこの未曾有の巨大事故の全権デスクを命じられ、血気盛んな若き新聞記者たちに指示をとばしていた。
    類を見ない大惨事がために、情報は錯綜し、翻弄される悠木たち。

    いち早く現場に辿り着いた二人の記者たちの心に刻み込まれた凄惨な地獄絵図。
    過去の遺物にしがみつき、若い記者たちに嫉妬する社内の老兵たちとの確執。
    そして悠木に背を向け、拒絶する息子。
    当時の様々な思いが悠木の胸に去来する。

    あれから17年の歳月を経て、安西の残した謎の言葉の答えを求めて、悠木は衝立岩を、自分自身の手と足で、攀じ登っていく…。


    あまりの絶品さに、圧倒されてしまった。
    緊迫感といい、臨場感溢れる、壮絶な男の戦いといい…。
    「新聞社といえども、会社組織であることに変わりはない。」
    というのが、ものすごく良く解った。
    家族を背負って生きていくことの、しんどさも、男のプライドも、人間の弱さも。
    そして、父親って、こんな風に考えるものなのかと、すごく考えさせられた。

    随所に散りばめられている伏線の生かされ方も、上手いなぁと、ただただ感心。そして感動。

    事故現場が確認されたときの「山も深く傷ついていた…」のくだりは、心が震えてしまった。
    そういえば、遥か昔から、山は単なる景色ではなかったのだと…。

    そして、ラストは、こうなることを想像していなかったから、何だか得した気分になってしまった。

    「クライマーズ・ハイ」の意味も、よく解った。
    私は高所恐怖症なので、ロッククライミングとかしてる人を見るだけで尊敬してしまう。
    でも、そういう気持ちになれるのなら…羨ましい。

    NHKのドラマで、佐藤浩一さんが主人公やってたけど、ぴったりだったな…。
    何だか私はNHKのドラマしか、覚えてないみたいな気がしてきた。


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        コメント
        日航ジャンボ機墜落時の地元新聞記者の物語ですね。NHKで前編、後編とも見ました。あれは全て事実っぽいですね。
        あの新聞社のトップは古い考えに囚われたヒドイ連中。。
        新聞記者という職業は、息子と確執になりがちですねえ。。該当するところもあって妙に納得します。奥様役の美保純さん、「ピンクのカーテン」以来のファンです(笑)ラストのロッククライミングで足跡を残した名シーンは親子の絆が深まりひたすら感動しました。
        実は、私は前編しかテレビで見てなかったので、とても悔やまれます。
        ヒドイ連中、の中の松重豊さん、大好きな俳優さんなのに…。
        タジイさんが感動されたのなら、後編も面白かったのですね。ビデオ化されてたら見てみますね。
        • uririn
        • 2006/06/11 11:32 PM
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        お薦め度:特選☆☆☆☆☆ / 2007年3月3日讀了
        • 仙丈亭日乘
        • 2007/03/25 11:54 PM
        読了日:2007/3/17 1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雄が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは・・・
        • hibidoku〜日々、読書〜
        • 2007/03/17 1:46 PM
        何のために山を登るのか、という悠木の問いに、安西は「おりるためさ」と答えた。その意味を追い求め、地元紙記者の悠木は、御巣鷹山の航空機墜落事故の全権デスクという立場の中で苦悶します。 人の人生には誰もが表と裏があります。自分が正しいと思うことを曲げな
        • 文学な?ブログ
        • 2006/07/08 2:18 PM
        著者:横山秀夫 1985年、部下の死の責任を巡り、フリー記者のような立場にあった
        • たこの感想文
        • 2006/06/05 6:47 PM

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