スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『僕たちの戦争』荻原浩

    僕たちの戦争
    僕たちの戦争
    荻原 浩 2004年 双葉社
    ★★★★★
    五十年後の日本は、多すぎる物質と欲と音と光と色の世界だった。誰もが自分の姿を見ろ、自分の声を聞けとわめき散らしている。謙虚も羞恥も謙譲も規範も安息もない。
    これが、自分たちが命を捨てて守ろうとしている国の五十年後の姿なのか?

    2001年9月12日 アメリカの世界貿易センタービルに二機の飛行機が突っ込んだ翌日、そんなニュースはどこ吹く風と、地元の茨城の海岸でサーフィンを楽しもうとする尾島健太。
    昨日、バイトを店長とのつまらない喧嘩で辞めたばかりの、19歳のプータロー。

    つまらない日常から逃げ出したいという思いで、沖へ向かってパドリングを続け、ひときわでかい波を待っていた健太は、ワイプアウトして海に放り出され、気絶してしまう。
    生まれて初めての失神から目覚めた健太が、たどり着いたのは1944年、第二次世界大戦真っ只中の日本だった。

    1944年9月12日 霞ヶ浦を遥か眼下に望み、初の単独飛練となる、練習機の操縦桿を操っているのは、石庭吾一、19歳の若き飛行術練習生。
    遠くに閃光が走ったと思ったその直後、激しく機体が揺れ、落ちていくことを感じながら意識を失くし、吾一は、気がつけば病院のベッドの上にいた。

    しかし、そこは見たことのない物にあふれた部屋、目の前にいるのは、へんてこな格好をした「日本人」と思しき人達。
    そして、心配そうにしているのは、父、母と名乗る見知らぬ男女。
    彼らは、吾一の顔を見て「健太」と呼んだ……。

    2001年から1944年の過去へとタイムスリップした健太は、戦時中の特攻隊員の吾一として、1994年から2001年の未来へとタイムスリップした吾一は、根拠なしポジティブのプータロー、健太として、それぞれいつか元の時代に戻れることを願いながら、次第にその時代へと順応していゆくのだが……。


    読み終わってからも、しばし余韻に浸ってしまった。
    ものすごく良い本に出会ったときの、感動。

    国のため、愛する人を守るため、明日をも知れぬ毎日を生きてきた勤勉実直な、昭和の初めの若者と、明日のことさえきちんと考えようとしない、自分勝手で、いい加減で、自堕落な、平和な世を生きる平成の若者。

    この二人が、お互いの立場を入れ替えただけで、それなりに順応していく過程がすごく良いなと思えた。
    環境が人を作るというか…。

    いつ死んでも構わないと覚悟ができていたはずの、吾一の気持ちの変化がすごく良く分かる気がした。
    健太は軍隊にいても、あくまでも健太らしいままなんだけど、でもだんだんと自分の立場をわきまえて、時代に合わせてそれらしくなっていく。

    そして二人の共通の(?)恋人、ミナミの存在が、彼らにとってどれほど重要なものだったのか…。ミナミがうらやましいな、と思った。

    戦争は戦争なので、もちろん人は死んでいく…。
    吾一が、五十年後の世界を見て、自分達はいったい何のために…と思ったのが、とてもやり切れない。
    本当にその通りなのだと思った。
    できるだけ、たくさんの人に読んでほしい本だと思う。

    吾一が懸命に未来の言葉(現代の話し言葉)を喋れば、喋るほど可笑しくて、健太の、最後まで脱走することを諦めない不屈の精神力も、また面白くて、めちゃくちゃ笑えるのに、切なくて、たくさんのことを考えさせられる物語だった。

    装画のタイトルも、何だかすごくいい。
    帯の森山未来のコメントも、すごくいい。


    0

      スポンサーサイト

      0
        • -
        • 23:09
        • -
        • -
        • by スポンサードリンク

        コメント
        初めまして。この本本当良いですよね。森山未來君大好きなのでドラマも楽しみです。未來君のコメントも素敵でしたね。
        • あみ
        • 2006/05/30 7:43 PM
        あみさん、はじめまして(^^)
        コメントありがとうございます。
        9月に森山君の二役でドラマ化されるのですね。
        私も楽しみです。
        では、では。
        • uririn
        • 2006/05/30 9:58 PM
        こんにちは
        わたしも、「ものすごく良い本に出会ったときの感動」を味わいました。
        ミナミうらやましいですよね(*^^)
        TB失礼します。
        oishiidokushoさん
        私も今、荻原さんがマイブームです(^^)
        本当に、この本は人にお薦めしたくなってしまう本でしたね。
        では、また。
        • uririn
        • 2006/06/07 7:00 AM
        uririnさん、お久しぶりです
        やっと借りることができて読めました。
        なんというかこの本に出会えて嬉しい。
        uririnさんに感謝、です。
        musagoroさん、こんばんわ(^^)
        この本と出会えたこと、私もすごく嬉しかったです。
        同じように感じてもらえたことも、すごく嬉しいです。
        ありがとう。
        • uririn
        • 2006/06/21 11:29 PM
        uririnさんこんにちは。読みました。感想なんて書ききれないですね。そのぐらい感心してしまいました。戦争は悲しい出来事だけどその時代に生きてる人が健太の目を通して生き生きと書かれていてとても身近に感じてしまいました。健太が言った責任者出て来い!という言葉がとても残ってます。今本当に読んでほしい本ですね。ところで図書館の本には帯がついてないので森山未来のコメントかなり気になります。(・・?
        • jackjackjack
        • 2006/08/28 12:22 PM
        jackjackjackさん、
        気に入っていただけたみたいで、嬉しいです(^^)
        帯の森山君のコメントは
        「時代が違えば、僕も主人公の犖祕讚瓩世辰燭もしれない。過去と今をつなぐ普遍的で大切な何か
        読み終えてからもずっとずっと考えています。可笑しくて、悲しい、それでいて繊細な小説です。」
        この、時代が違えば…に、ぐっときてしまいました。
        お国のために、と命を投げ出した人たちが、今のこの国を見れば、どう思うのか、ものすごく考えさせられました。
        ドラマ、楽しみですね。では、また〜。
        • uririn
        • 2006/08/29 1:10 AM
        こんばんわ^^
        とっても楽しみました。
        良かったですね〜
        ドラマは見なかったんです〜><
        原作を読んでいないなぁとおもって。
        見ればよかったですねぇ。失敗しました。
        森山君のコメント、素敵ですね。そして重みを感じます。
        苗坊さん、こんばんわ(^^)
        ドラマの森山君もすごく良かったですよ〜。
        見てほしかったなぁ。
        DVDかビデオ化されれば是非、是非。
        • uririn
        • 2006/12/24 1:55 AM
        コメントする








           
        この記事のトラックバックURL
        トラックバック
        僕たちの戦争 (双葉文庫)荻原 浩双葉社このアイテムの詳細を見る 今回は、荻原浩『僕たちの戦争』を紹介します。所謂、第二次世界大戦期と現代(2001年)タイムスリップ小説です。フリーターである尾島健太と海軍航空隊の石庭吾一が時空を超えて入れ替わってしまった。二
        • itchy1976の日記
        • 2010/07/21 5:37 PM
        僕たちの戦争『僕たちの戦争』 (ぼくたちのせんそう) は2004年に双葉社から刊行された荻原浩の小説。および同小説を基に製作されたテレビドラマならびにラジオドラマ。概要2001年9月12日の日本、サーフィンをしていたフリーターの健太は大波に飲み込
        • みくのblog
        • 2007/06/05 10:29 AM
         荻原 浩:著 『僕たちの戦争』    初・荻原さんです。  初めてその名を認識したのは、  映画 「明日の記憶」 の同名原作本の著者  として、でした。  (こちらも読みたいと思ってて、予約待ち中です)  で、この 「僕たちの戦争」。  読み始めてから気づき
        • miyukichin’mu*me*mo*
        • 2007/02/12 4:11 PM
        僕たちの戦争 荻原 浩 吾一の現代へのタイムスリップと健太の終戦間近へのタイムスリップ 私は現代へのタイムスリップの方がいいと思った 思ったんだけど・・・ 途中でわからなくなった 現代に生きる現代ではいわゆる普通の青年健太と終戦間近の日本海軍の
        • 柚子すき毎日
        • 2006/06/21 9:06 AM
        著者:荻原浩 2001年9月12日、バイトを辞め、恋人のミナミとも喧嘩をしている
        • たこの感想文
        • 2006/06/20 2:23 PM
        根拠なしポジティブ度★★★★★ まだ読んでない本あるんだけど… すばらしい!!荻原作品ベスト1 こんなに読み終わるのがもったいない、と思った作品にはなかなか出会えない!
        • おいしい読書生活
        • 2006/06/06 5:45 PM
        僕たちの戦争荻原 浩 双葉社 2004-08by G-Tools 居酒屋のアルバイトを首になったばかりの現代っ子、フリーターでサーファーの健太。軍国主義の日本で、特攻隊員としてお国のために命をささげようとしていた吾一。同じ年の二人が、海での事故の拍子に、時を越えて入れ
        • IN MY BOOK by ゆうき
        • 2006/06/03 10:02 AM

        calendar

        S M T W T F S
             12
        3456789
        10111213141516
        17181920212223
        24252627282930
        << September 2017 >>

        読書メーター

        uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

        新刊チェック

        selected entries

        categories

        archives

        recent comment

        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          uririn
        • 『痺れる』沼田まほかる
          uririn
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          uririn
        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          いちれん
        • 『痺れる』沼田まほかる
          くり
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          智広
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          uririn
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          苗坊
        • 『永遠の0』百田尚樹
          uririn
        • 『永遠の0』百田尚樹
          苗坊

        recent trackback

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        悪人
        悪人 (JUGEMレビュー »)
        吉田 修一
        読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

        recommend

        しずく
        しずく (JUGEMレビュー »)
        西 加奈子
        サイン本買っちゃった。

        recommend

        recommend

        たぶん最後の御挨拶
        たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
        東野 圭吾
        猫なんです…。

        recommend

        recommend

        recommend

        ねこの肉球 完全版
        ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
        荒川 千尋,板東 寛司
        たまらん。

        recommend

        ニャ夢ウェイ
        ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
        松尾 スズキ, 河井 克夫
        たまらん…

        recommend

        recommend

        僕たちの戦争
        僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
        荻原 浩
        とにかくお薦め。

        recommend

        出口のない海
        出口のない海 (JUGEMレビュー »)
        横山 秀夫
        たくさんの人に読んでほしい…

        links

        profile

        search this site.

        others

        mobile

        qrcode

        powered

        みんなのブログポータル JUGEM

        使用素材のHP

        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

        PR