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    『愛がなんだ』角田光代

    愛がなんだ
    愛がなんだ
    角田 光代 2006年 角川文庫
    ★★★★★
    好きになってごめんなさいと、
    あやまんなきゃいけないような気がするときもある

    山田テルコ28歳、通称テルちゃん。
    とある飲み会で知り合った田中守、通称マモちゃんからの電話だけをひたすら待つ女。
    携帯の番号を知っているのも、マモちゃんと、親友の葉子の二人だけだし、葉子は携帯を持っていないから滅多にかけてはこない。なので実質、携帯はマモちゃん専用。
    マモちゃんからかかってくれば、仕事の電話を放ったらかしてでも、携帯で長電話をする。
    どんなに仕事が忙しくても、マモちゃんに呼び出されれば、早々に退社する。
    かと思えば、食事に誘われたときのことを考え、用もないのに、ひとり居残り残業するふりをする。

    同僚から、旅行に誘われても、食事に誘われても、マモちゃんから誘いがかかればドタキャンも平気だ。
    そんなテルちゃんに、当然周囲の目は冷たく、ランチに誘ってくれる同僚も今では、いない。

    マモちゃん以外のことは「どうでもいい」ことなので、仕事をクビになっても、全然動じない。
    マモちゃんに会えさえすれば…。

    けれど、マモちゃんにとって、テルちゃんはただ便利な女として、存在していた。
    夜中に飲みたくて、でも他にだーれもつかまらないとき、電話一本で飛んでくる女。
    マモちゃんは、さっきまでにこにこ笑っていて、突然人を拒絶する男。
    親友の葉子に言わせれば、「ちびっこい、ガリで地味な顔立ちの、○○○のちっちゃそうな、エッチ下手そうな、前戯ねちっこそうな」おれ様男。

    そして、テルちゃん自身も自分の立場をよくよく承知している。
    だから、自分からは電話もかけない、会社の近くまで行っても、絶対見つからないように、見張る。人畜無害のストーカー。

    そんなマモちゃんからの連絡が、ある日を境に突然途絶えてしまった。
    事故に遭ったのかと心配するあまり携帯にかけても、留守電に替わり、会社にかけても取り次いでもらえず…テルちゃんには、避けられている理由がわからない。

    そしてまた、ひょっこり電話がかかってきて呼び出された場所にいそいそと行くと、そこにはもう一人女がいて、しかもマモちゃんの隣に座っている。
    彼女は一体マモちゃんの何なのだ…。


    面白すぎて、サクサク読めてしまった。
    表現の一つ一つがめちゃくちゃ面白い。
    マモちゃんの会社の近くのファミレスの、バイトのきれいなお姉さんに嫉妬して「早く辞めてくれないだろうか…」と思ったりするところは思わず、わかる、わかると思ってしまった…。

    テルちゃんの控え目なストーカーっぷりも、間違った愛情表現も。
    何をおいても、テルちゃんを優先させてしまうところも。
    過去の失敗だらけの自分の姿をちょこっと垣間見たようだった。

    そして、マモちゃんみたいな男はそこらにいっぱいいる。
    一人が淋しいんだか何だか知らないけれど、女をめいっぱい利用する男。
    自分でも、自分に自信がなくて、どこが気に入られてるのかわからなくても、相手の気持ちを知ってて優位に立つと、俄然、偉そうにする男。

    甘えさせているテルちゃんも、テルちゃんだけど、そこはただもう一途に好きなので、仕方ない…。
    馬鹿だなぁと、溜め息が出るけど…。
    自分でも十分わかっているので周囲が何を言っても無駄。
    最後にとった行動も、こういう屈折した感情は、すごく良く分かる気がした。
    それでも、愛は、愛なのだから仕方ない。
    そんなんでも、会いたいんだから…。

    ストーカー同盟から降りてしまったナカハラ君みたいな人の方が、きっと賢い生き方なんだろうけど…片思いを歪んだ形でも貫くテルちゃんみたいな生き方も、ありだと思う。
    もう少し歳を取ってからのテルちゃんの物語も、ぜひ読んでみたいと思った。
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        コメント
        きっと男にとっては都合のいい女になっちゃうんだろうなぁ、とは思うけど、
        それを分かっていても
        愛する男を求めていく・・・。
        僕はダメですけどね。
        でも、そういうのもありかな、と。
        す〜さん、こんばんわ(^^)

        愛されることより、愛することに一生懸命になれるって、ある意味すごいなぁと思ってしまいました。
        自分なら絶対嫌だけどね。
        • uririn
        • 2006/05/25 11:26 PM
        こんにちは。
        トラバ&コメントありがとうございました!!
        実は何気にストーカーのようにこちらに遊びに来させていただいてました。
        ここ最近は、なぜか読書ブームで常に何か読む本がないと落ち着かなくなってきています(笑)
        読書暦は小学生以来なので、レビューを参考にさせてもらってます。

        恋愛小説ってほとんど読まないのに、この作品は読破してしまいました。
        やっぱ、リアリティを感じられたからでしょうか?
        角田さんの書く文章がとても素敵でした。

        みづきさん、こんばんわ(^^)
        こちらこそ有難うございます。
        見てていただいて本当に嬉しく思います。
        私も、最近恋愛小説に目覚めたものの(遅い)苦手な分野でした。でも、角田さんのは、本当に面白かったです。リアリティ、ありましたよね。周囲にもこういうタイプ結構いるいる、という感じでした。恋は盲目、ですからね。
        では、また私もお邪魔させていただきますね。
        • uririn
        • 2006/05/28 12:04 AM
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        年下の「オレ様男」に惚れた代償として、 「都合のいい女」として振り回される、三十路前の女。 読んでて、「いい加減目を覚ませよ!」 とイライラするくらい、どうしようもない女。 だけども、共感できるんだなぁコレが。。。 好きな人のためならば、どん
        • *モナミ*
        • 2006/07/15 7:48 PM
        角川文庫より¥500で発売中 <あらすじ> OLのテルコはマモちゃんにベタ惚れだ。彼から電話があれば仕事中に長電話、デートとなれば即退社。全てがマモちゃん最優先で会社もクビ寸前。だが彼はテルコに恋していないのだ。その思いは更にエスカレートし…。 (角
        • みるき~うぇい
        • 2006/05/26 12:22 AM
        片想いって素敵だよな〜。 なんて言葉が消え去ってしまうくらいの女性の話。 ってか、ここまでいったら軽くストーカーだよな。 本人も軽く感じながら いや、こんなのはストーカ
        • My Favorite Things
        • 2006/05/25 8:43 PM
        ひとことで言ってしまえば、 ダメダメ女のダメダメ恋愛小説。 男のほうもかなりダメダメかな。 女の気持ちにちっとも気づかず(気づいてないふりか?)、女を都合よく使っちゃう。たとえば風邪を引いて動けないときに「なにか食べるもの持ってきて」とか言
        • ぱんどら日記
        • 2006/05/25 9:32 AM

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