スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『死神』篠田節子

    死神
    死神
    篠田 節子 1999年 文春文庫
    ★★★★★
    人間が輝きが失せたあとすぐに死んでしまう蛍のようなものなら、生きていくというのはどれほど楽ですてきなことだろう。

    この市で初めての女性ケースワーカー。家に帰れば、妻、嫁、母の三役をこなす、この道25年、47歳の、都下の市町村ではたった一人の女性福祉事務所長の大船朋子。
    仕事が終わると即座に自転車に飛び乗り、家族のために奮闘する、この仕事に就いて20年のベテラン、係長の赤倉政子。
    もうすぐ40に手の届く、この道15年の優しいケースワーカー、独身の大場元子。
    独り身の方が精神衛生上いいと考える、32歳、中堅職員の山口みゆき。
    そして、この仕事に就いて丸一年の28歳の富樫由梨江。

    身寄りのない高齢者や、母子家庭の母親、理由あって働けない人達、いわゆる社会的弱者と呼ばれる人達が、人間らしい生活をできるように必要なサービスを提供するのが、彼女達ケースワーカーの仕事である。

    この仕事が長ければ長いほど、どうしようもないケースを幾つも目の当たりにし、「弱者」にとっての最良の道を懸命に模索し、日々奮闘し続けている。
    糞尿で汚れた部屋を訪問しなければならない場合もあれば、首吊り死体を抱き下ろすこともある。並みの神経では務まる仕事ではない。

    そんな彼女達の遭遇する事件(ケース)を通して、現代社会が抱える闇、そして人間のしたたかさが、年齢や置かれている立場がそれぞれ異なる、ケースワーカー達の視点から描かれる。

    かつて花街一の名妓と呼ばれた老女は、捨てられた男の帰りを、汚いぼろアパートで、姿のない愛犬と共に、ずっと待っている…「しだれ梅の下」

    夫が家に金を入れず、家賃を滞納しマンションを追われ、小さな娘と公園で野宿をしているところを保護された女。女にはまるで自分の意思はなく、けれど男をたらしこむことには長けていた…「花道」

    身体を壊し働けなくなった飲み屋の女は、若い男性ケースワーカーを、衰えた肉体で罠に陥れる…「七人の敵」

    ノイローゼで仕事を辞めた亭主を捨てるという、ケースワーカーのみゆきの古くからの友人…「選手交替」

    前の家族に対しても、新しい妻に対しても、生活上の責任を一切負うつもりのない、やくざまがいの男。新しい妻は、ダメ島と呼ばれる男性ケースワーカーが、昔思いを寄せていた女性…「失われた二本の指へ」

    50過ぎまで結婚詐欺で荒稼ぎしたものの、服役して帰ってきた今は一文無しの、まだまだ女を捨てていない老女と、アパートに住み着く亡霊との話…「緋の襦袢」

    精神と健康を損ねた男性ケースワーカーと、長い付き合いのアル中のやくざ上がりの男との壮絶な死闘…「死神」

    栄養失調で倒れたところを保護された、まだ36歳の、夢ばかり見ているような、売れなくなった女流作家…「ファンタジア」
    の8編から成る連作短編集。


    篠田さんの本を読むと、何となく自分もきちんとした大人の女にならなければ、と思わされる。
    ここに出てくるケースワーカーとして働く女性達は、みんなとても強くて逞しい。
    タフでなければやっていけない仕事なんだろうけど、それにしても強い。
    旦那に浮気をされても「あ、そう、それで?」という感じ。
    別れたいと告げられても、一人でも十分やっていけるし、家事の負担が少なくなる分、楽でいい、と開き直りさえする。

    結婚していればしていたで、きちんと仕事と家庭を両立させているし、独身でも、きちんと自立していて、とても尊敬してしまう…。

    そして、彼女達以上に逞しくて、私が好きなのは「緋の襦袢」の老女。
    結婚詐欺ができなくなると、霊感商法まがいのことをするのだけど、実は彼女には本当に霊が見えていて…。
    老人施設の中でも、色香をふりまいて、じいさんたちを虜にするというのも、すごくいい。
    そんな、いつまでも女を忘れない老婆になりたいと思ってしまった。

    何故かここに登場する男性ケースワーカーは、みんなへなちょこなんだけど、私の職場の同年代の男の人もみんなへなちょこだ。

    役所の職員とか、学校の先生とかって、女の方が強くなってしまう職場なのかな(あくまでも、同年代で)。
    0

      スポンサーサイト

      0
        • -
        • 23:35
        • -
        • -
        • by スポンサードリンク

        コメント
        コメントする








           
        この記事のトラックバックURL
        トラックバック

        calendar

        S M T W T F S
              1
        2345678
        9101112131415
        16171819202122
        23242526272829
        3031     
        << July 2017 >>

        読書メーター

        uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

        新刊チェック

        selected entries

        categories

        archives

        recent comment

        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          uririn
        • 『痺れる』沼田まほかる
          uririn
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          uririn
        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          いちれん
        • 『痺れる』沼田まほかる
          くり
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          智広
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          uririn
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          苗坊
        • 『永遠の0』百田尚樹
          uririn
        • 『永遠の0』百田尚樹
          苗坊

        recent trackback

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        悪人
        悪人 (JUGEMレビュー »)
        吉田 修一
        読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

        recommend

        しずく
        しずく (JUGEMレビュー »)
        西 加奈子
        サイン本買っちゃった。

        recommend

        recommend

        たぶん最後の御挨拶
        たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
        東野 圭吾
        猫なんです…。

        recommend

        recommend

        recommend

        ねこの肉球 完全版
        ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
        荒川 千尋,板東 寛司
        たまらん。

        recommend

        ニャ夢ウェイ
        ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
        松尾 スズキ, 河井 克夫
        たまらん…

        recommend

        recommend

        僕たちの戦争
        僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
        荻原 浩
        とにかくお薦め。

        recommend

        出口のない海
        出口のない海 (JUGEMレビュー »)
        横山 秀夫
        たくさんの人に読んでほしい…

        links

        profile

        search this site.

        others

        mobile

        qrcode

        powered

        みんなのブログポータル JUGEM

        使用素材のHP

        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

        PR