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    『容疑者Xの献身』東野圭吾

    容疑者Xの献身
    容疑者Xの献身
    東野 圭吾 2005年 文藝春秋
    ★★★★ 
    純粋なんですよ。石神という男はね。彼の求める解答は常にシンプルです。いくつかのものを同時に求めたりしない。そこに到達するために選ぶ手段もまたシンプルです。だから迷いがない。少々のことでぐらついたりもしない。でもそれは、生き方があまり上手くないということでもあります。得られるものはすべてかゼロか。いつもそういう危険と隣り合わせだ

    アパートの隣人に密かに好意を寄せる、独身の冴えない数学教師、石神。
    隣に住んでいるのは、夫と離婚し、女手一つで娘を育てている女性。
    彼女の働く弁当屋に、彼女の休みの日を除いて、ほぼ毎日のように足を運ぶのが、彼の精一杯だった。
    彼女とは目を合わせることもろくにできず…。

    ある日、彼はアパートの隣室で起こっているただならぬ事態に気づき、声を掛ける。
    隙間から見た部屋の様子と、彼女の狼狽振りから、全てを察知した彼は「何か手伝いたい」と申し出る。
    そして、彼は母娘のために、完璧な理論を構築し、彼女達の犯罪を隠蔽することにした。

    今でこそ、しがない高校の数学教師であったが、非凡な頭脳の持ち主であり、学生時代には、天才という名をほしいままにしていた石神。
    ただ、人間関係においては彼はとても不器用だった。

    事件が発覚し、刑事が尋ねてきても、彼女達のアリバイは完璧で、ましてや彼に疑いの目を向ける者もいなかった。
    そんなある日、久しく誰も訪ねることのなかった彼の元に、実に二十数年ぶりの懐かしい人物が訪ねて来る。

    石神がただ一人、大学時代に親しく付き合うことができた、今も母校の大学で研究を続けている天才物理学者の湯川。
    いぶかしく思いながらも、旧友の訪問を歓迎し、久しぶりに数学について語れたことを楽しいと思った。

    石神は思う、この男以外に自分のことを理解してくれる者はおらず、また自分が対等の人間として認められる者もいなかったのかもしれないと。
    そして、二人の天才の再会が石神をやがて追い詰めていくのだが…。


    天才物理学者湯川と、草薙刑事とのガリレオシリーズ『探偵ガリレオ』『予知夢』に続く三作目。
    前の二作が短編集だったので、今回の長編に最初戸惑ってしまった。
    いつもは、あくまでもクールに淡々と、草薙に事件の全容を解明していく湯川なのに、今回はものすごく苦悩する。
    こんなに人間臭い人だったのかと、初めて知った気がした。
    その苦悩する様が、読んでいても辛かった。

    石神にとって、唯一の理解者である湯川との再会が、こんな形でなかったら、もっと早くに再会していたら、と思ってしまった。
    あまりにも二人ともが可哀相で…。
    石神は、教師としても、ものすごく良い先生なんじゃないかと私には、思えた。

    あまりにも理解しすぎていたから、そんな些細なことで、石神の気持ちに気付いてしまったというのが、皮肉だ。
    娘と、母親の気持ちの違いというか、何だろう、男を見る目が娘の方があったのかな。娘の気持ちは少し嬉しかった。

    東野さんの描く犯人の動機というのに、いつもすごく納得させられるけど、今回もやっぱり納得する。
    そして感心する。

    湯川の最後の台詞には、思いっきり泣かされた。

    湯川のイメージは佐野史郎だと、どれかの本の解説には書いてあるけど、私の中ではずっと阿部寛なのですが…。
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        コメント
        もっと早くに再会していたらって思わずにはいられなかった気持ち、一緒です。イメージの人私だったら誰かなぁ。
        イメージする人、誰でしょう?
        • uririn
        • 2006/05/16 12:58 AM
        うーん。一日考えてみたんですがやっぱり分からない。(俳優さんを知らない^^;)佐野史郎はナルホドと思ったんですが。湯浅教授と伊良部先生が同一人物になってた時期があって・・・(どうしてそうなったかは未だにわからない)
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        東野圭吾「ガリレオ」シリーズは、つい先達て単行本が2冊同時に刊行となった。私は『探偵ガリレオ』から『容疑者Xの献身』まで文庫本で揃えているので最新刊は文庫落ちを待つつもりだ。とは云っても、石神の事件の後の湯川や草薙の消息は気になる。ああ、悩ましい。
        • MESCALINE DRIVE
        • 2008/11/04 6:44 AM
        表紙がいい。 黒地に深紅のバラ一輪。 シンプルで美しく、どこか哀しげな感じ。この小説の世界をうまく表現していると思う。 本の帯に「命がけの純愛が生んだ犯罪」とあるが、「純愛」なんて手あかがついた言葉を安
        • ぱんどら日記
        • 2006/07/31 2:43 PM
        東野圭吾さんの本は自分でも結構持ってるし、新作が出ればすぐに読んでいるのですが、今回の本は直木賞受賞作ということで、ますます期待して読みました。 実はこの本を読む前に、「純愛小説だ」というような話を聞いていたのですが、純愛ものより普通のミステリーの方
        • Yuhiの読書日記+α
        • 2006/06/18 11:58 PM
        容疑者Xの献身文藝春秋このアイテムの詳細を見る 今回は、東野圭吾『容疑者Xの献身』を紹介します。本書は、直木賞の受賞作ということで、結構評価が高いとおもいますが、私は普通に面白いとは思いましたが、そんなに評価が高いと言うことに驚いています。私は、本書よ
        • itchy1976の日記
        • 2006/06/12 7:19 PM
        容疑者Xの献身 東野 圭吾 なんてこと− 母娘に付きまとう元夫。そんな元夫を殺してしまう母娘。 隣人であり高校で数学の教師をしている石神はそんな母靖子に想いを密かな寄せている。彼は刑事草薙とともにいくつもの難事件を解決している大学の助教授である湯
        • 柚子すき毎日
        • 2006/05/15 9:17 AM
        著者:東野圭吾 天才数学者と言われながらも、現在は高校の数学教師になっている石神
        • たこの感想文
        • 2006/05/14 8:37 PM
        文藝春秋より¥1680で発売中 第134回直木賞受賞作品 <あらすじ> 天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか 東野さんが「自分が今まで書いてきた作品の中でまちがいな
        • みるき~うぇい
        • 2006/05/14 4:01 PM

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