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    『四十回のまばたき』重松清

    四十回のまばたき
    四十回のまばたき
    重松 清 2000年 幻冬舎文庫
    ★★★★
    誰かが誰かになにかを伝える郵便物を飲み込みつづけ、巡回する郵便局の収集係がやってくると吐き出していく。ポストは毎日それを繰り返している。街じゅうの伝えたいことがこのポストに集められ、それぞれの目的地へ散っていく。けれど、ポストはなにも代弁してはいない。もちろん、演出も、だ。
     できるなら、ぼくは、ポストのような存在でありたい。

    SAD(季節性感情障害)という特殊な欝病のため、冬が来ると一日の殆どを眠りの中で過ごす「ぼく」の義理の妹。
    冬の間、一日二時間を除いて、眠り続ける義妹は、そうでなくても、生まれ故郷では、みんなのやっかいものだった。
    誰とでもすぐに寝る女…。

    自分の同級生も何人か、その相手の中に含まれているらしく、同窓会にも出られなくなったと嘆く「ぼく」の妻である彼女の姉。
    両親も失くし、親戚にも見放されてしまった義妹のために、毎年冬の間だけ「ぼく」達夫婦のマンションの、日当たりの良い一部屋が用意されている。

    外に出て、バリバリ働くキャリアウーマンの妻は、家事を一切放棄していた。
    一日中家にいる、下手くそで売れない翻訳家の「ぼく」が家事全般を引き受けて、何とか夫婦のバランスは保たれている、と思っていた。

    そして「ぼく」の翻訳した新作本が店頭に並んだ日、妻は交通事故を起こし、この世からいなくなってしまった。
    突然の出来事に、現実感のないまま葬儀をやりこなし、悲嘆に暮れていた「ぼく」。
    事故の夜、実は彼女はホテルで不倫相手と会っていたのだと、妻の同僚達から聞かされるまでは…。

    それから「ぼく」は妻を許すことが、どうしてもできない。
    妻のために泣いてやることが、できない。
    そして、男は傍らの義妹に、救いを求めてしまった。
    これで、終わりだと思っていた。

    ところが、義妹はいつもの年のように、ふたたび「ぼく」のマンションにやって来た。
    しかも、彼女は誰の子かもわからない子を、お腹に宿し、どうしても産みたいという。

    そして、「ぼく」と義妹の不思議な生活が始まり、やがて、冬がやって来る…。


    文庫化されていた重松さんの作品の中で、あまり触手が動かなかった本。
    あらすじだけ見て「冬眠する義妹と、妻を失くした男との同居生活」みたいなことが書いてあったので、てっきりSFか何かだと誤解して、つまんなそう、と思って避けてた。馬鹿だった…。
    冬眠て…きちんと病名もある鬱病だし…。

    誰とでも寝るという、義妹の気持ちも、読み進めて行くと、わからなくはない。
    赤ちゃんができてからの義妹の気持ちは、よくわかる気がした(産んだことないけど)。

    何よりも「ぼく」が翻訳を手がけて、ベストセラーとなった作品の、アメリカ人作家、通称「セイウチさん」が、ものすごく魅力的で、いっぺんで好きになった。
    ボブ・サップか、ブッチャーのイメージなんだけど、よく考えたら白人さんかな?(あんまりごつい白人さんて、イメージが浮かばないから、ブッチャーでいいや…)

    動物園の、大好きなオラウータンの檻の前で、彼らを見つめるセイウチさん、気に入らない編集者を殴りつけ、返り血を浴びるセイウチさん、亡き妻を想って咆えるセイウチさん…。セイウチさんの切ないストーリーが、この小説の中で一番好きだった。

    そして、セイウチさんの教えてくれた「四十回のまばたき」の意味も…。

    セイウチさんの、本の一文として出てくる言葉の一つ一つに感動した。
    豪快で、そしてあまりにも哀しい、セイウチさんとの出会いが主人公の心を解きほぐしていく。

    あんまり期待していなかった分、良かったのかも。
    「欠落感を抱えて生きている全ての人へ」と書いてあるから、きっとこれを読んで心に沁みた私は、そうなのかも…。

    そして料理の得意な主人公が、義妹のために食事のしたくをするシーンがたくさん出てくるのだけど、それが、どれもすごく美味しそうで…。
    スパゲッティに、マヨネーズとおかかと醤油をまぶしたの、って…試したくなる。

    に、しても、妻の不倫相手の男の風体、どこかで見たなと思ったら『流星ワゴン』で、ホテルから出てきた妻の不倫相手も、貧相な中年おやじ、だったような…。

    男の人は、妻の浮気相手が、そんな奴なら許せるのか、それとも、もっと腹立つのか?どっちなんだろ…。
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        コメント
        こんばんわ^^
        はじめましてじゃないの、知ってましたよ〜^^
        大丈夫です〜。
        「死者の学園祭」のカキコからジャンプしてお伺いしました^^
        アニメ化は違ったんですね。
        ですよね。アニメ化というよりは映像化のほうがあっているような気がしました。

        この作品は、重松さんの初読作品でした。
        数冊読んだ今となっては、この作風は珍しい感じなのかなぁと思います。
        でも、私は嫌いではないです。
        「僕」と耀子の関係がいいなぁと思いましたし、セイウチとの関係もいいと思いました。
        私も「欠落感を抱えて生きている」のかなぁ。なんて^^
        SADという季節性の鬱病があるのですか。季節の変わり目は体がダラける脱力感を感じる最近のタジイです。
        浮気相手は、仮にもし私の場合だとしたら相手は自分の勤める会社の嫌いなタイプだと怒りそう。ああいや、、誰が相手でも怒りそうですねえ。でも相手が貧相だと、、、許しそう。。
        何故でしょうかねえ(笑)
        苗坊さん
        さっき、『陰日向に咲く』をTBさせてもらおうと思ったら、何回やってもエラーになってしまいました…。
        『四十回のまばたき』は、アマゾンのレビューとか読んでて、あんまり評判がよくないのが不思議な気がしました。苗坊さんが、好きで良かった(^^)
        • uririn
        • 2006/04/25 12:33 AM
        タジイさん
        この病気、聞いたことないけど、多分あるのでしょう(^^;
        相手が貧相だと、許せちゃいますか。結婚したことなから、浮気もしようがないけど、もしそういう状況になったら、貧相な人を相手にしたいと思います(^^;いや、それはないな…。
        • uririn
        • 2006/04/25 12:40 AM
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        「耀子」は冬眠する女である。 なんだか村上春樹の小説みたいだが、これはSAD(季節性感情障害)という病気。百科事典にも出ていた。冬になると鬱の症状が出て、行動する気をなくす。人によって症例は様々だが、耀子の場
        • ぱんどら日記
        • 2006/10/30 3:20 PM
        四十回のまばたき 売れない翻訳家の圭は、妻の玲子と2人暮らし。 しかし、夏の終わりになると、玲子の妹耀子が”冬眠”しにやってくる。 毎年の事だったが、今年はいつもと違っていた。 玲子が交通事故でなくなったり、圭の翻訳した本がベストセラーになったり。
        • 苗坊の読書日記
        • 2006/04/23 11:52 PM

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