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    『コンタクト・ゾーン』篠田節子

    コンタクト・ゾーン
    コンタクト・ゾーン
    篠田 節子 2003年 毎日新聞社
    ★★★★
    私って、難民なのよ。日本って国はね、実はたくさんの難民を出しているの。みんな気づいてないだけで。私は日本では幸せになれなかったわ。戻っても決して幸せになれないのはわかってるの。私は日本から逃げることができて、ここで落ち着いたの

    海外旅行ずれした三人の独身、三十代後半、の女達。
    彼女達が今回旅行先に選んだのは、経済危機に端を発した政治危機の深刻化する、テオマバル。
    政情不安定のため、キャンセルの相次ぐ中「今ならシャネルだってグッチだって、買い放題」「客が少ないからオプショナルツアーもビーチも空いてるし。」と、言い放つ彼女達。

    訳ありの現地日本人ガイドの男は、心の中で「バカ、確信犯的バカ」とつぶやき、しぶしぶ市内から百キロ離れた島「ラグジュアリーな大人の隠れ家、極上のエステート空間、究極の楽園リゾート」と銘打つパヤン・アイランド・リゾートへと案内する。

    初日から彼女達の我がまま放題の行動に振り回されるガイドの男は「日本で男に相手にされない、お局とバブリー後遺症ワンレン女と白ブタ。」と悪態をつき、危険な夜の町に男の警告も振り切って出かける彼女達に、悔し涙をこぼさんばかりに唇を噛み締め「ばかやろう、ばかやろう」とつぶやく。

    日本の女はいつからこんなになってしまったのか…日本の繁栄に疑問を通り越して敵意を覚える男。

    男にお局と呼ばれるのは、日本では得られないロマンスを求め、半年に一度の海外旅行でのガス抜きだけを楽しみに生きている、国家公務員の真央子。
    バブリー後遺症ワンレン女は、医師の資格を持ちながら、自分探しの旅を続ける買い物依存症の女、大病院の娘、祝子。
    白ブタと呼ばれるのは、今でこそぶくぶく太ってしまったが、もともとは清楚でほっそりしていた、男好きのする、ありさ。

    いよいよ事態は緊迫し、何かが起こる、という日、三人は「今日はホテルから一歩も出るな」というガイドの言葉を無視し、勝手自由にタクシーに乗り込み、ブランド品を買いあさるため、市民と軍隊がにらみ合う暴動の最中の町へと走らせる。
    そこで彼女達が目にしたのは、ゲリラの襲撃によって、学生達が立て篭もった議場が炎に包まれ焼け落ちる様子。本物の銃弾が飛び交い、大勢の人間が焼き殺される様を目の当たりにして、初めて彼女達は危機感を感じ、安全地帯のはずの「リゾート・ホテル」へと戻ろうとする。

    しかし、どうにか戻れたホテルは既に、大統領失脚後の空白の混乱に生じて、金目当てにリゾートホテルを襲う武装強盗たちの襲撃に遭い、観光客は全員射殺されていた。
    ようやく自分達の置かれている状況に気づき、部屋に立てこもる彼女達にも、襲撃の手は容赦なくのびる。
    生き残るために、自らの身体を差し出す真央子、そして、それすらも通じない相手に、祝子は必死に手にしたゴルフクラブを振り下ろし、三人は命からがらホテルを後にする。

    海辺につなぎとめられたボートで、何とかこの島を脱出し、三人が辿りついた無人島、と思われたのは、実は島の反対側だった。
    そして、ここから始まる真実のパヤン島での、彼女達三人のサバイバル生活…。
    彼女達が身を寄せることとなる村で巻き込まれるのは、解放軍同士の仲間割れによる闘い、そして解放軍と政府軍との村を巻き込む戦争…。

    天国のようなリゾート地から、本当の地獄を体験することになった彼女達に、日本政府からの救援の手が差し伸べられる日は、果たしてやって来るのだろうか…。


    長い…ハードカバーで、厚さ5センチぐらいあって、しかも二段組み…。
    ちびちび読んでたら、前の方のページの話、忘れてしまいそうになった。

    篠田さんの描く30代の独身女の生き方が、私はとても好きです。
    『女たちのジハード』も、そうだけど、最初は何なんだこいつら、と思っていても、どんどん逞しくなる彼女達に、やっぱり共感を覚えるし、応援したくなる。
    ここに出てくる三人の生き方は、バラバラで、女友達って、こんなんだと思うけど、結構お互いを見る目は厳しかったりする。
    何となく突き放した感じの描き方も良い。

    この三人には、それぞれ得意な分野があって、それを生かして村のために役立とうとする。
    自分には何かができるのかな?と考えてしまう。
    残酷なシーンもたくさんあるけど、村人との交流や、日本人が押し寄せるリゾート地の、本当の姿や、そのためにどれだけの人間の生活が脅かされることになったか、などの重いテーマもあって、ものすごく読み応えのある小説…。

    女三人っていうのが、何かすごくリアリティがある気がする。
    私も旅行に行くのはいつも三人だったし。
    そのうちの二人が結婚してからは、海外にも行けてないし…。
    女友達って……こんなもんだ、と思う。

    そして、ありさの台詞「彼は命がけで私を守ってくれた。……そんな人、だれも日本にはいないのよ」は、心の底から納得。
    まあ、そういう命がけの状況も、そうはないんだけど…。
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