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    『変身』嶽本野ばら

    変身
    変身
    嶽本 野ばら 2007/4/3発行 小学館 P.269 ¥1,470
    ★★★★
    嗚呼、神様、ご免なさい。今日も沢山の女子に騒がれ、本も売れて、俺は有頂天、調子をこき過ぎてしまいました。もう、スクリーントーンで人生を語ったりしません。兄貴の墓参りにもちゃんといきます。ですから、今回だけはお見逃し下さいまし。デビューの話も、凍結して下さって結構です。なので、お願いです。不細工に戻すのだけは赦して下さい……。もう少しだけ、ハンサムでいさせて下さい……。

    コンビニのバイトの傍ら、売れない漫画をひたすら描き続け、毎週日曜日に路上で販売するも、ただ一人の顧客をのぞいては、殆ど見向きもされない不細工な漫画家、星沢皇児、三十歳。

    ただの不細工ではなく、整形外科医からも見放され、慰められるほど不細工だった、深海魚のような、ホームベースのような顔を持つ男、星沢皇児が、ある朝目覚めると、超ハンサムな男に変身し…。

    そして顔が男前になった皇児は、ただそれだけで、憧れていた女の子をデートに誘うことに成功し、路上販売の自費出版の漫画も飛ぶように売れ、噂が噂を呼び、出版社からデビューの話も持ち上がり、何もかも順調すぎるほど、順調に、ことが運んでいたかのように思えたのだが……。

    「ある朝、目ざめたら、男前になっていた…ンなバカな!
    あの『下妻物語』から3年…沈黙を破って遂に登場!
    笑いと涙の(お待たせっ)スーパーエンターテイメント!!」だ、そうで。


    本屋さんで、パラパラとページを捲った一瞬のうちだけで虜になってしまうほど、つかみが面白い…。

    カフカの『変身』の不条理さもさることながら(何で家族があんなに冷静なのか、初めて読んだ時にはそれが可笑しくて仕方なかったけど)、これもなかなか…何で、そうなるの?なんだけど、違和感なく物語は進むし(実際、そんなことが誰かの身に起これば、それはそれで宝くじに当たったようにラッキーというか、面白そうだし)。

    見た目が変わっただけで、これまで見向きもされなかった皇児の漫画が、飛ぶように売れるというのも、悲しいかな、現実っぽいお話で…。

    でも、いくら顔が男前になっても、中身は以前と変わらぬ皇児の、女の子に接する態度は、痛いし、重いし、キモいし、いくら男前でも、それはちょっと…ご免なさいという感じ(いい人なんだろうけど…)。

    そして幾つかの失敗を経て、皇児が気付く真実もまた、美し。

    独特の文体と、「美」への拘りと、畳み掛けるような薀蓄とが醸し出す、野ばらさんワールド、かなり好きかも。

    そして、カルーセル…と言えば、やっぱり私も麻紀しか思い浮かばないけど、「としまえん」のそれを、ひと目見たくなってしまった(そんな由緒正しいものだったとは、かなり驚きだし)。
    乗ってる自分の姿を想像すると、かなり恥ずかしいから決して乗ろうとは思わないけど…。

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      『ミシン』嶽本野ばら

      ミシン
      ミシン
      嶽本 野ばら 2000年 小学館 P.134
      ★★★★
      僕は何故、もっと君の傍にいようとしなかったのでしょう。僕は何処で、間違ってしまったのでしょう。どうして人は、本当に大切なことを喪失の後にしか気付けないのでしょう。

      「どんなお店でもいいから…」と、ビルのオーナーに懇願され、廃墟と見紛うような雑居ビルの一室で、ガラクタや駄玩具など、現代から隔絶した品物ばかりを扱う、蝋燭の灯りを灯しただけの「世界の終わり」と名づけた小さな雑貨店を開くことにした「僕」。

      はなから売ることを目的としない、「僕」のためだけの空間のような店。

      雑誌に取り上げられてしまってからは、ぽつりぽつりと興味本位の客が入りだし、そうしてやって来た客の中の一人、全身をVivienne Westwoodで固めた、その女の子はひときわ「僕」の目を惹く存在だった。

      学校に行く様子もなく、毎日のようにやって来ては、一日中狭い店内を見て回る不思議な女の子。

      オーナーが代わり、店の立ち退きを迫られた「僕」は、何故だか突然、彼女を連れて駆け落ちすることを思い付き、彼女にその計画を口走ってしまう。
      そして「僕」と彼女の逃避行が始まった…『世界の終わりという名の雑貨店』

      クラシックの音楽、中原淳一の挿絵、そういった古い物にしか興味が持てない「私」は、大正ロマンの乙女心溢れる小説の世界に浸り「女の子どうし」の美しい恋愛に憧れていた。

      男の子に全く興味が持てない「私」が心を奪われた理想の相手は、過激なコメントやパフォーマンスで有名になった、パンクバンドのボーカリスト「ミシン」。

      「ミシン」に少しでも近づきたくて、「ミシン」の行きつけの店で服を買い、「彼女と近づけますように」と、神社で神様に祈り続ける「私」。

      「私」の祈り(呪い)が届いてしまったのか、「ミシン」に近づける最大のチャンスが「私」に訪れた…『ミシン』
      の2編を収めた短編集。

      「吉本ばななさん推薦!魂の恋物語」だ、そうな。


      ちょっと前にテレビでやってた映画「下妻物語」が思いの外面白かったので(ビデオに録って、何回も見てしまったほどに…)、野ばらさんの他のも、読んでみたくなって、これが最初に書かれた小説と言うので読んでみた。

      もう、のっけから文章の美しさに、心を鷲掴みにされてしまった(少々オーバーかな)。
      綺麗過ぎて、綺麗過ぎて泣けてしまった。
      平成の耽美派と、紹介されていたけど、なるほど納得。

      京都の宇治市出身ということもあって、親近感も増してしまい、すっかり嵌ってしまったかも…。
      今はもう失くしてしまった遠き日の乙女心をくすぐられてしまった(恐らく同年代の女の人ならわかってもらえそうな)。

      高校生の頃、MILKの服が欲しくて欲しくて、でもとても手が出なかったので、似たようなバッタもんのぶりぶりの服とか着てたなぁ、とか。

      仲の良かった友達とは、全身お揃いの格好とか平気でしてたし、財布とか小物も色違いで持ってたりして。

      今考えると気持悪いけど、そういうのも一種の「エス」とやら、だったのかな。

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