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    『回転木馬』柴田よしき

    回転木馬
    回転木馬
    柴田 よしき 2007/3/20発行 祥伝社 P.369 ¥1,785
    ★★★★
    自分と貴之とは、並んだ木馬に乗っていた。そのまま何事もなければ、回転が停まるその時まで、木馬は二つ、並んだまま、そして二人も、並んだままでいられただろう。だが途中で、貴之は、別の木馬に跨った。回転は続く。終わりの日が来るまで続く。そして、回転木馬の上で、それぞれの木馬は決して変わることがない。……
    そして、回転が終わるその日まで、自分の手は、貴之の心に届かないのだろう。
    貴之が、それを望んだのだ。

    最愛の夫、貴之の突然の失踪後、貴之の興した探偵事務所を引き継ぎ、ずぶの素人から始め、ほそぼそと夫の居場所を守り続けてきた女探偵、下澤唯。

    夫の帰りを待ち続けるだけの12年…大手探偵事務所の下請けとして引き受けた調査の途中、思いもかけない場所で偶然貴之らしき人物とすれ違った唯は、大手探偵事務所に夫の捜索を依頼し、自身も細い糸のような手がかりを手繰り寄せるように夫の捜索を開始することに。

    生きていたなら、自分を裏切っていないはずがない…それでも、逢いたいという一心の唯。
    そんな唯の前に現れた「ゆい」と名付けられた少女、そしてかつて二人が寄り添っていた頃の思い出の数々。

    それらを手がかりに、夫貴之の居場所を突き止めた時、12年もの間、たった一人で貴之を待ち続けた唯につきつけられた、あまりにも残酷な現実……。

    『「逢いたい。もう一度彼に逢いたい」
    失踪した夫を追い続ける女探偵・下澤唯の前に、
    忌まわしい過去の事件が浮かび上がる……
    希望と哀しみが交錯する著者渾身の感動ミステリー
    作家 新井素子さんも推薦!』だ、そうで。


    実に12年も経ってようやく完結した、前作『観覧車』の続編の物語でもあり、これだけでも充分に読み応えのある、哀しい人間たちの物語でもあり。

    唯が僅かな手がかりとして訪れた病院で出会った、愛人を失くした女性然り、自殺未遂を繰り返す、理不尽な事件で大切な人たちを失った女性然り、そして夫、貴之然り、本当に哀しいし、切なくて泣けてしまった。

    特に「逢いたい」と切望し続ける人にもう二度と逢えなくて、最後に別の生き方を選択する女性の気持ちが痛いほど伝わってきて、まだ最愛の人に逢える望みのある唯にその思いを託すところがなんとも良かったなと。
    でも、待つ女って本当に辛いなとつくづく。

    敵討ちを心に誓う女性のエピソードも良かったし。

    ただ、夫の失踪の真相は何だか「はいからさんが通る」のような展開かも…。
    でも、読み終わった後、心から「良かった」と思えてしまった。

    JUGEMテーマ:読書


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      『観覧車』柴田よしき

      観覧車 (祥伝社文庫)
      観覧車 (祥伝社文庫)
      柴田 よしき 2005/6/20文庫化 祥伝社文庫 P.317 ¥630
      ★★★★
      知らない方が幸せだなんて、そんなのは嘘だ。
      嘘だ。
      でも、知ってしまったらその先は、どうすればいい? 何ができる?

      私立探偵だった夫・貴之の突然の失踪後、探偵事務所を引き継ぎ、ひたすら夫を待ち続ける下澤唯、32歳。

      貴之の失踪から3年が経ち、ずぶの素人から始めた探偵業もすっかり板につき、意地で続けるという唯の元に舞い込んだ依頼は、単身赴任先の京都から戻ってこない夫を探してほしいという、妻からの捜索願い。

      無断欠勤を続ける男の愛人でもあった部下の女に目をつけ、張り込みを開始した唯。
      ところが女は、来る日も来る日も、ただ鄙びた遊園地の観覧車に乗り続けるだけの毎日を送るだけ…。

      何かに絶望し「普通に生きること」を放棄した女は、別れ話のもつれから不倫相手を殺害してしまったのか…表題作『観覧車』に始まり、

      男と女の哀しすぎる様々な依頼を引き受ける唯が、調査のために訪れた佐渡で、失踪中の夫、貴之にそっくりの男を発見し、調査を放棄してまで後を追おうとしたものの、見失ってしまい……。

      「めっちゃ、切ない…
      3年、5年、10年…失踪した夫を待ち続ける女探偵・下澤唯の物語。
      静かな感動を呼ぶ恋愛ミステリー。」だ、そうで。


      主人公、唯の夫、貴之の失踪の謎がベースとなって、一見バラバラな依頼も繋がって…と、独立した短編としても、事件の真相が憐れで読み応えがあって、夫を待ち続ける唯の心の揺れも、本当に哀しくて切なくて、大人の女性の心理が見事に描かれてるなぁと。

      「生きていたのだから、あたしを裏切っていないはずがない。」

      その現実と向き合うのは、辛すぎる…。
      それでも、

      「むちゃくちゃに、好き。
       まだ。」

      と、どんな結果が待ち受けていようとも、夫を探し続ける唯に、この先どんな真実がつきつけられるのか。
      続編の『回転木馬』、すぐにも読みたいけど、本当のことなんて知りたくないような気も…。

      そして、解説の新井素子さんの「男の嘘」の見解に「なるほどなぁ」と、ものすごく唸らされてしまった。「男は決してついてはならない嘘をつく生き物なのと同時に、“約束”と“希望的観測”の区別がつかない、単なる莫迦なんじゃないのか?」と…確かに思い当たるふしが。

      JUGEMテーマ:読書


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        『求愛』柴田よしき

        求愛
        求愛
        柴田 よしき 2006年 徳間書店 P.325
        ★★★★★
        ……憎悪とはたぶん、もともと理不尽な感情なのに違いない。誰かが誰かを憎み、復讐をはたせば、またその行為を別の誰かが憎んで復讐する。そしてまた他の誰かが……憎悪の連鎖は、どこかで憎しみを呑み込み、乗り越えなければいつまで行っても止まることがない。

        勘付いていたのに…到着するのが遅れたがために救えなかった、親友の死。

        死後に送られてきた一通の葉書から、彼女の死の真相をつきとめた弘美は、その哀しい事件のきっかけを作り出した人物への復讐のため、フリーの翻訳家の仕事を辞め、勧められるまま、探偵事務所で調査員として働くことに…。

        そして調査員としての仕事を数々こなす弘美は、様々な人間模様を目の当たりにし、自分の職業の不毛さを嘆き、自身の存在価値に葛藤しながらも、自分自身の奥底に潜んでいた熱情に目覚めることになるのだが…。

        『金と銀の香り(1999年)』『細い指輪(2000年)』『憎しみの連鎖(2000年)』『紫陽花輪舞(2001年)』『飛魚の頃(2001年)』『ライヤー(2001年)』『復讐(2002年)』『求愛(2006年)』の8編から成る、連作短編集?なのか、長編なのか…。

        「フリーランスの翻訳者・弘美は、親友の死の真相をつきとめたことをきっかけに、探偵事務所の調査員となる。ささやかな毎日を懸命に生きる女たちと関わって、弘美自身が掴んだ人生の真実とは…。サスペンス・ロマン。」だ、そうで。


        なんだかややこしい話…というか一貫性がないというか…違和感を感じたのは、間をおいての7年間の連載ものだったからなのかな(なので、一応それぞれの掲載年も書き出してみた)。

        それぞれの短篇として読めば、探偵事務所で働き出してからの弘美の視点は、なかなかに面白くて、『紫陽花輪舞』の、自殺を図りそうな女子中学生の尾行調査や、『飛魚の頃』の、医師のセレブな奥様の浮気調査や、『ライヤー』に出てくる破壊願望の主婦の後日譚なんかは、ものすごく興味深くて、凝らしてあるなぁと感じたけど、前後がどうも…。

        7年の間に、書きたいことが異なったとしか思えないような、最終章の突然の弘美の気持ちの変化にもついていけなかったし(書いてあることは、女としてものすごく共感できるけど、何もこの小説の中でなくても…と思えてしまった)。

        図書館の予約待ちで2ヶ月ぐらい待った本だっただけに、ちょっとがっかりしたかも。

        ただ、図書館本なだけに、これを私より前に読んだ人の痕跡が最後の4ページほどに、ものすごく残っていて(多分、どう見ても涙の跡?涎ではないと思いたい…)、その人のことがすごく気になってしまった…。

        そこ読んで泣けるということは…そういうことを希求している人なんだろうなぁと(私もそうかもしれないんだけど)。
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          『ワーキングガール・ウォーズ』柴田よしき

          ワーキングガール・ウォーズ
          ワーキングガール・ウォーズ
          柴田 よしき 2004年 新潮社 P.284
          ★★★★
          しょせん会社も人間の集団のひとつであって、どんなに教師が懸命になっても学校には虐めがつきものなのと同様、会社にも虐めや戦いは普遍的に存在しているのだ。それが人間が集まった場における自然法則であり、虐められてそこを去るか戦って生き残るかは、優劣の問題ではなく、生き方の問題だった。

          女子大生の憧れの就職先、大手総合音楽企業の企画部第二企画課で係長の役職につく墨田翔子、37歳、独身。

          入社して14年と10ヶ月、ひとつの部署に長く居座り、いわゆる一昔前の言葉でいうところの「お局様」な翔子は、ある時だけは重宝され、便利がられても、ランチや遊びには誘われることはなく、周囲からは煙たがられる存在。

          人並み以上の給料があっても、ブランド品を買い漁るわけでもなく、身を飾るもの一切に興味を持たない、自分のことを「面白みのない女」と自己分析する翔子が、突然一週間の有給休暇を取って、オーストラリアのケアンズへ旅行することを思い立ち、メーリングリストへの書込みを発信したことから、物語は動き出す(冒頭の爪の色から動いてたかな…)。

          高学歴で仕事もできて、おまけに若くして処世術に長ける、入社一年目の神林。
          翔子が、企画部のアイドルだと思っていた神林に、突然向けられた「悪意」とは…『ピンクネイル・ジャーニー』

          念願のオーストラリアに到着した翔子は、メーリングリストで知り合った、ケアンズ在住の、旅行代理店のガイドを務める愛美から、一人旅のある女性を見張っていて欲しいと頼まれて…『ペリカンズ・バトル』

          有給休暇を終え、日常生活に戻った翔子が感じた、休暇前と、後の社内の微妙な変化。
          アイドルだったはずの神林がこのところ、一人ぼっちでランチを取っている。
          そして、翔子を嫌っていたはずの神林から相談を持ちかけられ…『リバーサイド・ムーン』

          まとまった休暇を取ってケアンズから日本に一時帰国した愛美。
          関空に降り立った愛美は、日本人の女の子を追いかけて、一枚の紙切れだけを頼りに日本にやってきたという、日本語の話せないフランス人と出会い、人探しを手伝うはめに…『ホリデー・イン・ディセンバー』

          部下の女子社員から、女子トイレで起きた、些細な盗難事件の相談を持ちかけられた翔子。
          神林の次の標的なのかもと懸念する彼女をなだめ、盗難事件の犯人探しを始めたのだが…『ブラディマリーズ・ナイト』

          ケアンズで新婚旅行客相手にガイドを務めていた愛美の元に、『ペリカンズ・バトル』で知り合った、嶺奈が、婚約者を伴って現れた。
          どうやら、結婚を迷っている様子なのだが…『バイバイ・ロストキャメル』

          派遣の女の子から、上司のセクハラの話を聞いた翔子。
          その上司とは、実は翔子の昔の恋人で…『ワーキングガール・ウォーズ』

          の、翔子と愛美の視点で交互に語られる短編としても楽しめて、でも、翔子の会社での一つの事件がずっと後をひいてる、長編になるのかな?

          「働く女の本音と弱音をリアルに描いた、本格『負け犬』小説、誕生!」だ、そうです。


          本当にリアルで、すごく面白かった。

          「十年前から愛用してる化粧品」も、服装も「シーズン前に先駆けを少しと、シーズンの終わりにバーゲン品を少し…部屋着は専ら安いことで有名な量販店のカジュアルウェア」というのも、悲しいかな、うなづける。

          最初「よしき」という名前から、作者は男の人かと思ってたけど、読んでて「絶対男には無理」というような描写が多々あったので、「良く知ってるなぁ」と感心したけど、やっぱり女性だったのか…と、納得。

          愛美と翔子のお互いの、メールでの第一印象も、その後の付き合い方も。
          翔子の会社での事件の、社員達の心の声も。
          女のいやらしさというか、本音というか…すごく良く描かれてるなぁと。

          帯には「人望ナシ」とか、書かれてるけど、いやいやなかなか愛されてるみたいで。

          シュレッダーのランプは、本当に…その時点で使ってる人が捨ててくれ、と、常々思っているので、かなり物語に入り込めてしまった。

          『バイバイ・ロストキャメル』の、野良駱駝の話には、ちょっと感動…。
          そして、ラストのひと言も、私もそう思う。


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